日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

ネパール 伝統の絵で女性の自立を

2018-02-24 07:00:00 | 報道/ニュース

1月27日 おはよう日本


ネパールの女性たちによって代々受け継がれてきたミティラー画という絵。
インドとネパールの国境をはさんだ「ミティラー地方」と呼ばれる地域で
3千年ほど前から
女性が自宅の土壁にヒンドゥー教の神話をモチーフに描いてきたものがもとになっている。
現代絵画の巨匠 ピカソも高く評価したとも言われている。

ミティラー地方は
ヒンドゥー教やイスラム教 仏教などが入り交じり
古くから独特の文化が栄えてきた。
♪ 神様 私たちを幸せにしてください
祝福の歌を歌いながら絵を描いている女性たち。
土壁に明るい色彩の人や花が描かれている。
まつりごとや結婚式などの祝い事があるたびに描かれ
自然と母から娘へと受け継がれていった。
この壁に描かれているのは
ヒンドゥー教の神様が結婚する際に花輪を交換するという神話の一場面である。
(絵を描いている女性)
「8年くらい前から描いています。
 絵を描いている時はとても幸せな気持ちになります。」
男尊女卑の風潮が根強く残るネパールでも農村部は特に保守的である。
今でも成人前に親から結婚を強制される女性や
結婚後 夫以外の男性と話す自由を与えられない女性が少なくない。
子どもを抱きながら重い水瓶を運ぶ女性。
壁画は
女性たちが苦労が多い日常生活を表現する数少ない場にもなってきた。
この壁画は1930年代にこの地域を訪れたイギリス人によってヨーロッパに広められ
芸術性が高く評価されてきた。
このミティラー画を女性の自立につなげようとしているNGOがある。
運営するのは地元の女性たち。
50人ほどの女性がミティラー画を施した絵画や刺しゅう 陶器などを制作し販売している。
30年ほど前から海外の支援を受けて始められた。
今では多くの観光客がミティラー画を目当てに訪れるようになり
女性たちの貴重な収入源となっている。
(観光客)
「この画家の絵は本当にいいですね。」
(NGO職員)
「ミティラー画はこれまであまり表に出ていませんでした。
 今では女性の経済的な自立に役立ち
 社会にも新たな価値を生みだしたのです。」
ミティラー画によって経済的な自立を実現できたスナイナ・サク―さん(31)。
17歳で結婚したスナイナさん。
家事や畑仕事に忙殺され
外出すらほとんど許されなかったと言う。
(スナイナ・サク―さん)
「私はなかなか外に出ることができませんでした。
 もし外に出ようものなら
 どこに行くのか何をするのかと非難されました。
 自由に学ぶことも出来ず
 私はとても苦しみました。」
自由が全くない生活を変えようとスナイナさんはプロの画家になることを決意。
夫の反対を押し切り
家族が寝静まった夜中に画を描き続けた。
スナイナさんの作品には
井戸からの水汲みや料理 縫い物など
仕事に追われながらも懸命に生きる女性たちの姿が鮮やかな色彩で描かれている。
スナイナさんの絵は今では日本円にして1枚3,000円ほどで売れるようになった。
国際的な賞を受賞したり外国で個展を開いたりするなど
ネパールを代表するミティラー画家の1人として活躍している。
(スナイナさん)
「ミティラー画がなければ今の私はありません。
 私の人生そのものなのです。」
はじめスナイナさんが画家になることを反対していた夫のシャンブーさん(48)。
今では彼女の活動を応援していると言う。
(夫 シャンブーさん)
「妻が賞を取ったことで
 彼女の才能をようやく信じることができました。」
スナイナさんには12歳の娘がいる。
自らの収入で大学まで卒業させるのがスナイナさんの願いである。
スナイナさんは8年前から村の女性たちに画の指導を始めている。
自分と同じように
自立した人生を手に入れてほしいという願いからである。
(生徒)
「ここに来て
 人にお金を借りなくてもやっていけるようになりました。」
(スナイナ・サク―さん)
「教育を受けていない人でも絵を描くことができます。
 私が教えた女性たちが自分の力で稼げるようになることが
 私にとってもっとも大切なことなのです。」
3千年の伝統を持つミティラー画。
その伝統を受け継いだ女性たちは今
男性優位の社会の中で
自立に向けた一歩を踏み出している。



コメント    この記事についてブログを書く
« 酒に ばくちに お侍さん 京都... | トップ | 芝の上の「供養」 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

報道/ニュース」カテゴリの最新記事