マキペディア(発行人・牧野紀之)

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公立学校の「学力公約」

2009年04月09日 | カ行
 「自治体の学力調査で正答率を95%に」(小学校)、「3年生の60%が英検合格」(中学校)。公立の小中学校で、数値目標を掲げた「マニフェスト」が広がっている。学力向上を求める声が保護者に強まったことが背景にあるが、子どもや現場の教員にプレッシャーがかかり、教育が変質しないか心配する声もある。

 今年度から「学力向上マニフェスト」を導入した東京都荒川区。「学力向上はいまの学校の大きなテーマ。各校の創意工夫も伸ばしたい」という区教委の指示のもと、33の全区立小中学校が各ホームページで内容を公表した。物品購入などに1校当たり80万円が使える。

 峡田(はけた)小学校は「繰り上がりのある足し算、繰り下がりのある引き算」(1年)▽「九九の習得度」(2年)▽「小数の乗法、除法」(5年)など算数で学年ごとに「100%達成」を掲げた。松崎勝校長は「落ち着いて勉強する環境づくりを中心に数値目標を示した」と話す。南千住第二中学校は、生徒による授業評価を全教員が年3回以上受けることを約束した。

 各校はどの程度達成できたかを年度末に自己評価し、学校評議員や保護者にも評価してもらう。達成できない場合の原因分析も含め結果をホームページで公表する。区教委は「達成度が低くても予算に直結はさせない」という。

 こうした取り組みは5年ほど前から各地で出始めた。東京都教委は2003年度、都立高校に学校経営計画を義務づけたところ、「東大合格者20人以上」「早慶上智で計100人以上」といった目標を掲げる高校が現れ、徐々に小中学校でも動きが出てきた。

 福岡県八女市が導入したのは2004年度。学年末の学力テストの平均点に共通目標を設けたところ、昨年度、小6は75点の月標に対し84.3点、中3は65点の目標に対し72.8点の平均点があった。市教委は「実績は確実に上がっている。子どもへのプレッシャーにはなっていない」。

 岩手県の小中学校は漢字の読み書きや算数のほか「縄跳びで80回以上前跳びができる」といった目標も盛り込む。

 元教員で教育評論家の尾木直樹さんは「数値目標を掲げた途端、教育は窒息しないか。1人でも『切り捨てられた』という思いを持ったら失敗だ」と批判的だ。一方、政府の教育再生懇談会のメンバーで渋谷教育学園理事長の田村哲夫さんは「学校が一生懸命になること自体は悪いと思わない」。ただし、慎重さは必要と言い「子どもや保護者らの意見を聴くことが大事だ。単なる数字合わせなら現場の先生は意気消沈するだろう」と注文を付ける。

   荒川区立校の主なマニフェスト

・区の学力調査で低学年は正答率95%、中学年85%、高学年80%達成(小学校)
・1年生400字、5年生1200字などの作文を8割以上が達成(小学校)
・授業を集中して受けていると自己評価できる子を90%以上に(小学校)
・辞書引き学習を進め、1人平均500から1000の言葉を調べる(小学校)
・1日あたりのテレビゲームの時間を1時間以内にする(小学校)
・不登校、いじめをゼロにする(小学校、中学校)
・3年で英検、漠検各3級に60%合格、数検3級は40%合格(中学校)
・全生徒の部活動加入率を90%以上にする(中学校)
・漢字や計算力のコンテストの上位表彰者を30%以上にする(中学校)

  (朝日、2008年11月09日。片山健志)

     感想

 かつて千葉商科大学の学長の加藤寛氏が、「大学にも製造物の結果責任がある」と言って、英検2級、簿記2級とあと1つ何かあったと思いますが、そういう基準を設けて、自学の卒業生がその基準を満たしていないことが分かったら、教育し直すから、送り返して欲しい、と企業に知らせたことがあったと思います。

 「議員の通信簿をつける会」のような住民の自主的な監視と評価が沢山行われるといいと思います。国民の主権者意識の問題だと思います。


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