マキペディア(発行人・牧野紀之)

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防潮林 掛川市

2014年12月29日 | ハ行

「森づくりを未来につなげる」全国サミット&シンポジウムin掛川。レポート

 11月28・29日、掛川市で「森づくりを未来につなげる全国サミット&シンポジウム」が開催された。森づくりを防災に生かそうと、全国各地の首長が集結。その様子をレポートしよう。

 「強い森を作る秘けつは、その土地に本来ある木を何種類も混ぜてえること。すると木が競い合って成長し、災害や病害虫に負けない森ができるのです」。

 11月29日、掛川市の大浜海岸。全国初の「森づくりサミット」のフィナーレを飾る植樹祭で、横浜国立大学名誉教授・宮脇昭さんが森づくりのポイントを参加者に伝授した。

 会場は遠州灘からほど近い、小高い丘の上。集まった市民約500人はタブノキやスダジイ、シラカシといった常緑広棄樹の苗木3500本を、力を合わせて植え込んだ。

 「植樹」というと、環境保全のために行われるのが一般的だが、それを「防災」に生かそうという取り組みが2年前から行われている。

 その名も「命を守る希望の森づくりプロジェクト」。高く盛り上げた土に木を植え、津波から市民を守るのが目的だ。波に負けない森を作ることで、災害時に住民の避難する時問を稼ぐとともに、引き潮で人々が海に流されるのを防ぐ。

「東日本大震災ではコンクリートの建物が次々と流される中、地域にある鎮守の森の木々は倒れることがなかった。火災が起きたときも、森が火の侵入を防ぐ役割を果たしました」と宮脇さん。自然の持つ力を今一度見直そうと、全国各地の自治体でこうした「緑の防潮堤」作りが行われている。

松井三郎掛川市長の話

「掛川市は2年前から、市民・団体・企業と協働で『命を守る希望の森づくり』に取り組んできました。森林はあらゆる生き物の『生命の源泉』です。今後も森づくりを通じた環境保全、災害防止の活動を子どもたちへ継承していくとともに、その意義を全国に発信していきたいと思います」

説明記事

 掛川市は平成24年から市内8ヵ所、約6万8000本の植樹を行ってきた。こうした活動を全国に広めようとNPO法人・時ノ寿の森クラブと協働で「森づくりサミット」を開催。北海道から鹿児島県まで、全国13市町の首長が掛川に集まり、事例発表やシンポジウムを行ったのだ。

 初日のサミットでは首長たちが活動を報告し合い、「自然の力を人工物で押さえつけるのではなく、折り合いをつけることが大切」「植樹した森は、公園やジョギングロードなど日常的に活用できるスポットにすべき」などの声が上がった。

 2日目のシンポジウムでは、企業や市民団体のほか、地元の小中学生もこれまでの活動を報告。「私たちが大人になるころには、植えた木が森となつているでしょう。森づくりを遠い未来にまでつなげるよう取り組んでいきます」と元気いっぱいに宣言し、会を締めくくつた。

時ノ寿の森クラブとは

 「森づくりを通じて自然を身近に感じてほしい」

 「時ノ寿の森クラブ」は今回掛川市と共同でサミットを開催したNPO法人。普段は市内の倉真(くらま)地区を拠点に活動している森づくりのの団体だ。「命を守る森づくり」をテーマに、荒れた森の間伐や植樹活動、炭焼き、都市と山村の交流事業を行っている。

 クラブ発足は2006年。理事長の松浦茂夫さんが、生まれ故郷である倉真の大沢集落跡地で間伐や炭焼きを始めたのがきっかけだ。「大沢集落は1975年に廃村になった村。子ども時代を過ごした場所が荒れ果てた森になっているのを見て『これはなんとかしなきゃ』と思いました」。

 荒れた森林は地面に光が届かないため草が生えず、土砂災害を引き起こしやすくなる。また、森林の保水力も低下するため、川の水量も減少。松浦さんは森林の荒廃を地域全体の問題ととらえ、これまで約200haの森林地帯で間伐作業を行ってきた。

 集落跡地には、間伐した木材を活用し、木造二階建てのクラブハウス「森の駅」を建築。今年7月にはカフェ「森の集会所」もオープンさせた。

 「森林や山村を身近に感じることで、環境保全や防災意識も高まると思います。まずは一度、私たちの森に足を運んでみてほしいと思います」。
(静岡新聞・びぶれ。2014年12月18日)

感想

 我が浜松市長はこのサミットに参加したのでしょうか。浜松市は静岡県と協働で、いま、「300億円をドブに捨てるクロマツ防潮堤」作りを進めています。その傍らでは縄文楽校による「いのちを守る防潮森つくり」が小さくても着々と進んでいます。皆さんはどちらの立場に立ちますか。


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