植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

印材三宝 もしかしたらもしかする

2021年08月13日 | 篆刻
このところヤフオクの戦果はほぼ0であります。他の人に高値を付けられて手が出ません。
 狙いは篆刻関連です。印材は消耗品、毎日数本のペースで彫っているので、安価で細工がしやすい練習用の印材が主目的なのです。従って、普及品・安物ばかりまとめて出品されるのを探せば、リーズナブルなお値段で買い集めることも出来るのですが。
 

 一般的に、大量に出回っているのは青田石で、やや青みがかった薄緑色の半透明の印材です。この石でできた岩盤が沢山あるようで切り出して直方体にカットして少し表面を磨いたものです。安い小さなものは20、30円から売られていて、あとは大きさ(重さ)に比例して販売されます。

 長年、大量乱掘で良質な青田石は少なくなり、質が悪いものばかりになっています。ガラス質や夾雑物が多く含まれているので、ガリガリした彫心地で、奇麗な線が出ないのです。脆くて硬い青田石に代わって普及したのが「寿山石」であります。こちらは、見た目は暗紅色を基調に灰色・茶色・白などが混ざっています。青田石より肌理が細かく彫りやすいので、値段が同じくらいの寿山石にとってかわられているのです。

 そうした印材探しをしているうちに、より良質な印材、価値の高い石質にどうしても目が向くようになります。印面に彫があろうとなかろうと目に留まったものにチェックを入れ、入札期限の夜9時頃には数件入札して床に入ります。翌朝案の定落札は出来ておりません。軒並み数万円の高値で落札されております。こちらで目が肥えて価値があるものがわかるようになれば、その道のプロが見逃すはずもなく、お宝は他の方の元へいってしまうのです。

 寿山石は、中国の寿山というところで産出される葉ろう石という成分が主体の印材です。ほとんどは青田石同様で、寿山石の層を切り出して、切り石として生産されています。ところが、一言で寿山石と言ってもその成分や見た目から100種類以上に分類され、中には非常に希少で高価なものも含まれます。
その代表格が「田黄石」なのです。寿山の麓にある田黄坂の水田の土の下にしか見つからない小さな丸石で、とっくに掘りつくされています。

 今、ヤフオクなどで出回るのは、真正の田黄石ならばほとんど数十年から数百年以上も前に世に出たものです。あとは「新田黄石」と言われる模造品で、石粉を溶剤で固めた人工物から、ラオス石やパリン石など色合いの似通ったもので、その価値は大幅に下がります。
 ヤフオクで何度も田黄石の入札を致しましたが、予算が数千円というしばりがあるワタシに、本物が入手できるはずもなく、試しに5千円で入札して翌朝起きてチェックしたら10万円以上で落札、ということが当たり前です。
それでも、まがい物、模造品、類似品などを数点所有しております。
例えばこれ。

いずれも、独特な飴色の半透明な印であります。左のものはひびが入り、割れたあとで接着しているようです。それでも1万円以上の落札価格だったので、もしかしたら程度が悪いけれど傷物の本物ではなかろうかと思っております。
 右の印は、4面にそれぞれ彫があり、今までネットでも見かけたことが無い珍品であります。まさか、こんな立派な角形の田黄石は無かろう、と皆さんはスルーしたのでしょう、5750円で落札出来ました。これらが田黄石かはわかりません。未だ田黄石の本物を手に取ってみたことがないのですから。

 もう一種、同じく黄土色の石が古印に使われているのに気が付きました。固く、しまった風合、色合い、と手触りから、寿山石の一種ではなかろうかと思います。

この二つともに、すでに印面が彫られていて、明らかに時代物であります。その手触りとずっしりとした重さが大層気に入っております。何より、田黄石の多くに見られる「薄意(側面の浮彫」があることが特徴で、その昔、珍重された印材であったことを想像させるのです。こうした印材の新品はネットでも見つかりません。もしかしたら、大変な銘品ではなかろうかと。

 このブログでは、印材三宝と言われる田黄石と鶏血石については何度か紹介しておりますが、もう一つ「芙蓉石」があります。滑らかつややかな彩色豊かな印材と聞きますが、そのバリュエーションが多いゆえに、ワタシら素人には特定できないのです。ワタシの所蔵物にこんなものがあります。
 こちらはもしかしたら、これが噂の芙蓉石ではなかろうか、と淡い期待を持っております。

コメント
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