植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

女子サッカーもガタイが無いと勝てない時代になった

2021年08月01日 | スポーツ
 なでしこジャパンのオリンピックは終わりました。いくら献身的なプレーをしようが、根性や気持ちで勝てるほど甘くありませんでした。おそらく高倉ナデシコもこれにて終わり、新しい指導体制になるでしょう。岩渕真奈ちゃんの言う通り、やっとベスト8に滑り込んだのは、現在位置のとおりの成績だったと言えます。ここ半年でだいぶ選手の顔ぶれがまとまり、プレーの質も良くなってきました。格下とは言えテストマッチでは十分な戦いぶりをみせていましたが、屈強でレベルの高いチームと当たると見劣りがして、1勝1敗1分の予選ラウンドでした。

 準々決勝では、金メダル間違いなしと思われるアメリカを3-0で破ったFIFAランク2位のスウェーデンと当たりました。出だしから全開のスウェーデンにあっという間に先制されたものの、そのあとは相手のスピードや高さに慣れてなんとか無失点で頑張り、長谷川の絶妙なクロスにドンピシャで飛び込んだ田中美南のシュートで追いつきました。

 後半は、美南選手がペナルティーエリア内で相手にぶつかって転倒したのをPK判定されましたが、VARによって覆り、その後反対に自陣のペナルティーエリア内の三浦のプレーがスルーされた後、VARでハンドと認定され相手のPKでリードを許しました。これが勝負の綾で、結局3-1で敗れました。

 ワタシの見る限り、ナデシコの各選手はよく統率され奮戦し力を発揮できたと思います。しかし、その差は歴然で、何度対戦しても勝てないだろうと言う印象でした。負けるのも当然の戦力と戦術でしたね。

 日本の女子サッカーが11年前のワールドカップ優勝を頂点に、じりじりと成績を落とし、ランキングも下がってきました。澤・宮間・坂口を中心にした精緻なパスサッカーと、粘り強く献身的なプレーが彼女たちの年齢的な衰えとともに影を潜め、相対的に外国チームが伸びてきました。佐々木監督も、優勝の功労者達を使い続け、世代交代が進まない期間が長く続きました。前回オリンピックでアジア予選で敗れたのを機に高倉監督が引き継ぐことになりました。

 その間、岩渕の後にも、田中陽子・京川舞・猶本光などU20以下の国際試合でMVPレベルの活躍した選手が何人もいましたが、結局フル代表で活躍することはほとんどないまま消えていきました。あの時代、優勝メンバーに押され自由なプレーを遠慮し、出場機会も減りました。そして2018のU20ワールドカップで優勝したメンバーがようやく、ここにきて出てきました。遠藤純、宮川・宝田・南・北村などです。

 今回鮫島が招集されなかったのは結果として残念でした。彼女の経験と攻撃参加があったらもう少し展開が変わったかもしれません。真奈ちゃんは残るとしても、中島選手・熊谷あたりはそろそろ後進に譲る時期となりました。中盤の杉田、岩渕、長谷川という主力は当分変わらないでしょうが。

 高倉さんが一番言いたかったのは、日本選手のフィジカルがこのままだと世界に置いて行かれるということだったよう思います。スウェーデン戦では、高さにもスピードにも、足元の技術も遠く及びませんでした。体がぶつかるほどコンタクトするまでもなく長い脚が伸びて何度もシュートやパスが遮られました。走力も劣るので、背後に蹴られると追い抜かれるシーンのなんと多いことか。ヘディングはほとんど競り負け、というより頭の届かない場所でスウェーデンが先に当てていました。

 今から身長を伸ばせと言っても無理、体やストライドを欧米並みにするのは不可能です。俊敏で高い技術を持って大柄な選手を翻弄するというのもだんだん通用しなくなりました。ならば、瞬発力と短距離でのスピードがある選手を探すしかないと思います。170㎝位の身長で、短距離走をやるような選手を引き抜き、ディフェンスを一気に置き去りにするような選手を育てるしかありません。足元の技術は男子コーチがついて徹底的に鍛えるしかないと思います。

 シュートの力の無さもこれを機に見直すべきでしょう。キック力が弱いため枠に行かず、枠に飛んでも簡単にGKに止められていました。澤穂希、川澄や岩渕真奈ちゃんを凌ぐ強く早いシュートを打たなければ得点できません。下半身強化し筋トレで筋力や捻転する力を磨き、強くボールを蹴る練習を徹底的にやるしかないですね。

 今秋開幕するWEリーグが、転換点になることを期待します。かつてJリーグが作られ、海外のトップレベルの選手が来るようになって格段に強くなりました。それは、プロになることで「金」になることが立証され、子を持つ親がサッカーをやらせたことに他なりません。同様のことが女子サッカーに起きてほしいと願うばかりであります。

そして、U20を優勝に導いた田中監督が今度はフル代表になって熱血指導してくれることを期待しましょう。
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