植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

自治会は誰の為? だんだん見えてくる日本の特異性(前編)

2021年08月17日 | 雑感
日本全国で、自治会に関する悩みは深いようであります。

 ワタシは長年、地元の活動にはとんと興味もなく、若い頃から、残業ばかりの厳しい金融機関の仕事に就いていて、それどころではなかったのです。婦人会や自治会の用事も、全て家内任せでしたから、自治会や地元の行事などは家内に聞けば大体わかります。町内の住人の情報は、懇意にしている情報通「ほか弁デカ」さんなどから世間話を通じて入ってきます。自治会長の役を引き受けて以来、家内からの進言なしではやっていけません。

 最近ぐちが多くなった夫(下町奉行同心=ワタシ)を見て、すっかり最近では自治会長代行の役割を買って出ている家内(岡っ引き)がネットで調べてみると、出るは出るは、チェックしきれない程多くのボヤキや悩み・問題点が出回っているようです。

 そもそも「自治会」という組織は世界ではあまり例のない形態のようです。先進国なら、マンションやアパート単位で「管理組合」に似た任意団体とかグループが出来るのはよくあるらしいのですが、自治会というような形で、国全体の都市に共通する制度はないようです。また、後進国では部族・一族単位での共同体での自治が主流という国もあります。昨日ブログで書いたアフガニスタンがその典型であります。古くからの部族社会が国全体に無数にあって、中央集権とは無縁の「村長・部族長」による統治で成り立ってるのです。

 アジアでは、中国・韓国・北朝鮮にも似たような「隣組」組織があるのですが、その主目的は「相互監視」であります。住民同士でお互いに監視し、政府に批判的な言動・思想の人間を密告する、というのを奨励しているのです。

 そこで、わが国。日本ではほとんどの市町村で自治会が組織されており、町内の調整事や連絡係、町内共通の問題の相談所となっているのです。「共助」組織の代表といえます。一番大きな仕事と言えば市町村の施策を実施・運営・周知させる役割でしょう。市町村からの情報や指示、行政的な出来事などを住民に伝えるのです。また、子供の育成や高齢者対策にも直接的にかかわります。

 万一の災害時の避難や物資の手配にも自治会は大きな役割を期待されています。更に、町内のごみ収集・集積は、美化・衛生の観点から非常に重要な役割であります。また、各種募金も自治会の仕事で、班長に頼んで自治会費と同様集金して納めるのです。
 逆に、地元住民の意見や要望は、自治会を通じて行政に届けられ、組織だった改善や問題の解決が図られます。個人の声では動かないものも、自治会からさらに上部団体に繋がり、地域全体の意見が行政を動かす、というわけです。

 一方で、宗教や選挙といった思想信条に関わるものには一切関与しない、というのも重要であります。少数の人を押さえつけ、特定の人物や考え方を押し付けてはならないという基本的な考え方が徹底しています。(もっとも、地方の選挙ともなると、ごく一部の市町村では自治会が選挙の主戦場となることもあるのです)

 こんな事を書き連ねると、自治会はなんて素晴らしいのだと思われるかもしれません。確かに、日本固有の自治会によって、一般の町民は、何不自由なく安心して暮らせるし、楽しいコミュニティがありお互いに情報と関係を共有しながら、誰からも強制されずに自由に生活できます。

だからといって、もろ手を挙げて歓迎できるかというとそうでもないのです。
以下は次回に続きます。
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