セットプレーで勝つ
名古屋は前半22分、マテウスがキッカーを務めた左CKをCBの丸山祐市がヘッドで決めて先制。そのままスコアは1-0で動かず、難敵・広島をセットプレーのみで下す絵に描いたようなウノゼロ(1-0)勝ちを決めた。
名古屋のフォーメーションは攻撃時4-2-3-1、守備時4-4-2。スタメンはGKがランゲラック。最終ラインは右から宮原、中谷、丸山、吉田。
セントラルMFは稲垣と米本。2列目は右からマテウス、齋藤学、相馬。ワントップは柿谷だ。
サイドを変える大きな展開
名古屋は最終ラインからグラウンダーのボールでていねいにビルドアップする。インサイドキックから放たれるパスのボールスピードが速く、非常に気持ちいい。
スパン! という感じだ。
さて前半4分、右SBの宮原が左SHの相馬に向け、ピッチを斜めに横切る長い対角パスを送る。これが名古屋のトレードマークである「大きいサッカー」だ。
おそらく名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督は、口うるさく(笑)「サイドチェンジを入れてゆさぶれ」と繰り返しているのだろう。
ショートパス中心の川崎フロンターレあたりには見られない、大きな展開だ。このスケールの大きい組み立てが名古屋のサッカーにダイナミズムをもたらしている。
柿谷の守備意識に目を見張る
この日、左SHの相馬は意識してハーフスペースにポジショニングし、そのぶん同サイドのSB吉田が高い位置を取っている。
前半11分、中盤でボールを持ったその相馬が、広島のライン裏にできた大きなスペースにスルーパスを入れる。柿谷を飛び込ませる狙いだ。だが呼応して走り込んだ柿谷はシュートまで行けない。
しかしそれにしても柿谷の前線での守備の意識はすごい。最前線でプレッシングするだけでなく、プレスバックも丹念に怠らない。このあたり、守備にうるさいフィッカデンティ監督に口酸っぱく言われているのだろう。
さて、その10分後。冒頭に書いた通り左CKから丸山のヘディングシュートが決まり名古屋が先制する。ここから名古屋のお家芸であるウノゼロ劇場の始まりだ。
なにしろ守備の堅い名古屋に先制点をやると、相手チームにとっては実質、「2点分」の意味がある。それほどこのチームのゴールを割るのはむずかしい。
3センターの4-1-4-1に変える
そして1-0でリードしたままの後半30分には、フィッカデンティ監督は名古屋の攻撃の要であるマテウスに代えてセントラルMFの長澤を投入する。この日のハイライトだ。
これにより米本をアンカー、長澤を左インサイドMF、稲垣を右インサイドMFとし、真ん中を厚くしたシステムである4-1-4-1に変えたのだ。
つまりゲームが残り15分のところで、1-0でリードしたまま試合を終わらせる守備固めをしたのである。イタリア人であるフィッカデンティ監督には、こういう「ウノゼロの血」が流れているのだろう。
たぶんフィッカデンティ監督は、「残り15分だからあの選手とあの選手を代え、中盤真ん中を3センターにして堅陣にしよう」などと、あれこれチームを固くする策を練るのが大好きなんだろうな。
セットプレーで賢く先制し、4-1-4-1で逃げ切る。確かに手堅い采配だ。
ただし今季に関しては、個人的には大きな危惧がある。
ウノゼロでは優勝できない
首位を走る攻撃的な川崎フロンターレは、おそらく大量点を取ってマンチェスター・シティばりの全勝に近い勝ち方でシーズンを終わるだろう。
それに対し2位の名古屋が彼らを凌駕して優勝するには、ウノゼロ、つまり1-0の勝ち方では上回れない。
まだシーズン序盤のいまならいいが、シーズン中盤から終盤にかけて両者全勝に近い形で競ってくると得失点差や総得点数がモノを言う。
「2位でいい」ならウノゼロを楽しむのもいいが、優勝を狙う気があるならそれでは困る。どこかで点を取りに行く勝負をかける必要が出てくるだろう。
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名古屋のフォーメーションは攻撃時4-2-3-1、守備時4-4-2。スタメンはGKがランゲラック。最終ラインは右から宮原、中谷、丸山、吉田。
セントラルMFは稲垣と米本。2列目は右からマテウス、齋藤学、相馬。ワントップは柿谷だ。
サイドを変える大きな展開
名古屋は最終ラインからグラウンダーのボールでていねいにビルドアップする。インサイドキックから放たれるパスのボールスピードが速く、非常に気持ちいい。
スパン! という感じだ。
さて前半4分、右SBの宮原が左SHの相馬に向け、ピッチを斜めに横切る長い対角パスを送る。これが名古屋のトレードマークである「大きいサッカー」だ。
おそらく名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督は、口うるさく(笑)「サイドチェンジを入れてゆさぶれ」と繰り返しているのだろう。
ショートパス中心の川崎フロンターレあたりには見られない、大きな展開だ。このスケールの大きい組み立てが名古屋のサッカーにダイナミズムをもたらしている。
柿谷の守備意識に目を見張る
この日、左SHの相馬は意識してハーフスペースにポジショニングし、そのぶん同サイドのSB吉田が高い位置を取っている。
前半11分、中盤でボールを持ったその相馬が、広島のライン裏にできた大きなスペースにスルーパスを入れる。柿谷を飛び込ませる狙いだ。だが呼応して走り込んだ柿谷はシュートまで行けない。
しかしそれにしても柿谷の前線での守備の意識はすごい。最前線でプレッシングするだけでなく、プレスバックも丹念に怠らない。このあたり、守備にうるさいフィッカデンティ監督に口酸っぱく言われているのだろう。
さて、その10分後。冒頭に書いた通り左CKから丸山のヘディングシュートが決まり名古屋が先制する。ここから名古屋のお家芸であるウノゼロ劇場の始まりだ。
なにしろ守備の堅い名古屋に先制点をやると、相手チームにとっては実質、「2点分」の意味がある。それほどこのチームのゴールを割るのはむずかしい。
3センターの4-1-4-1に変える
そして1-0でリードしたままの後半30分には、フィッカデンティ監督は名古屋の攻撃の要であるマテウスに代えてセントラルMFの長澤を投入する。この日のハイライトだ。
これにより米本をアンカー、長澤を左インサイドMF、稲垣を右インサイドMFとし、真ん中を厚くしたシステムである4-1-4-1に変えたのだ。
つまりゲームが残り15分のところで、1-0でリードしたまま試合を終わらせる守備固めをしたのである。イタリア人であるフィッカデンティ監督には、こういう「ウノゼロの血」が流れているのだろう。
たぶんフィッカデンティ監督は、「残り15分だからあの選手とあの選手を代え、中盤真ん中を3センターにして堅陣にしよう」などと、あれこれチームを固くする策を練るのが大好きなんだろうな。
セットプレーで賢く先制し、4-1-4-1で逃げ切る。確かに手堅い采配だ。
ただし今季に関しては、個人的には大きな危惧がある。
ウノゼロでは優勝できない
首位を走る攻撃的な川崎フロンターレは、おそらく大量点を取ってマンチェスター・シティばりの全勝に近い勝ち方でシーズンを終わるだろう。
それに対し2位の名古屋が彼らを凌駕して優勝するには、ウノゼロ、つまり1-0の勝ち方では上回れない。
まだシーズン序盤のいまならいいが、シーズン中盤から終盤にかけて両者全勝に近い形で競ってくると得失点差や総得点数がモノを言う。
「2位でいい」ならウノゼロを楽しむのもいいが、優勝を狙う気があるならそれでは困る。どこかで点を取りに行く勝負をかける必要が出てくるだろう。
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