すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯】西野ジャパンとは何だったのか?

2018-07-11 10:50:55 | サッカー日本代表
3つのメンタル要因が躍進のカギに

 W杯の2ヶ月前やそこらにそそくさと結成され、グループリーグ突破という大きな結果を残した西野ジャパンとは、いったい何だったのか?

 第一義的にはハリルを電撃解任した日本サッカー協会による緊急避難所であり、一夜漬けで名目だけ立てた間に合わせの集合体だった。日本中のだれもがいい成績を上げるなどとは考えなかったし、おそらく当の協会自体がそうだったろう。つまり西野ジャパンを結成し、ロシアW杯に参加さえすればそれでよかったのだ。

 ではなぜその緊急避難所は「災害」にもめげずみるみる活性化し、W杯で一定の成績を上げられたのか? それは大きく3つの要素に分けられる。

西野ジャパンによって延命された選手たち

 ひとつは、ハリルに代表を切られる運命だった選手たちが西野ジャパンによって延命され、それによって彼らのモチベーションが高まったことだ。これはわかりやすい。

 なにしろハリルジャパンのままでは自分自身が排除される。とすれば西野ジャパンという救命具が投げられた以上、頑張らざるを得ない。こうして彼らは西野ジャパンによって救出され、やらざるを得ない状況に立たされた。そして火事場の馬鹿力を発揮したーー。

 一方、第2の要素としては、頑固なハリルに押さえつけられていた「自分たちのサッカーをしたい」という欲求の爆発だ。ハリルは集めた選手たちの特性や持ち味に合った戦術を、あとから決めるタイプの監督ではない。まず「速いショートカウンター」という戦術や、4-2-3-1などというシステムが(選手を選ぶより)先にある。

 ハリル「おまえらー、うちのチームではこの戦術とシステムで戦え。以上」

 それだけだ。

 集めた選手たちの特徴はこうだから、ならばこういう戦術で戦えば彼らにマッチする、などという発想はしない。で、ハリルに戦術を押し付けられた選手たちにフラストレーションが溜まった。

「自分のやりたいサッカーがしたい」

 で、西野監督という良くも悪くも自分がない人物が上に立つことで、選手たちはモノが言える環境になった。かくて選手たちは自分たちのサッカー観や考える戦術を西野監督にぶつけ、やがてパズルが組み上がるかのように「あのサッカー」ができて行った。

揶揄するメディア報道に反発心が高まった

 そして第3の要素も、やはり反発心だ。

 短期プロジェクトゆえ、ベテランの経験を重視し彼らの蓄積で急場を乗り切ろうとした西野監督に対し、「年功序列ジャパン」「おっさんジャパン」などと、当初メディアは厳しい報道をした。それによって反発した選手たちが「くそったれ、やってやる!」と、これまた火事場の馬鹿力を発揮した。

 おもしろいことに、こう見てくると西野ジャパン躍進のカギになったのは、すべてがメンタル要因だということになる。それだけスポーツにおけるメンタルは重要だということだ。

 さらに興味深いのは、世界に通用する高度な技術がありながらメンタルの弱さゆえ代表チームでは力を発揮できなかった香川が今回、水を得た魚のように活躍した点だ。つまりこれまで見てきたような3つのメンタル要因が香川の精神にプラスの作用をもたらし、彼の弱いメンタルを底上げし奮起させたわけだ。

 その意味では香川はまさに、西野ジャパン躍進の象徴的な選手といえるかもしれない。

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