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すちゃらかな日常 松岡美樹

積極財政などの政治経済をすちゃらかな視点で見ます。ワクチン後遺症など社会問題やメディア論、サッカー、音楽ネタも。

【立民・参院選】中小零細を潰したい自公政権を側面支援する「食料品の消費税0%」を公約に

2025-04-26 01:50:31 | 政治経済
実質的な「自公・立民」大連立の序曲か?

 立憲民主党の野田佳彦代表は4月25日、夏の参議院選挙の公約として、1年限定で食料品の消費税を0%にすることを盛り込む考えを明らかにした。

 ただし経済情勢を見て1回限り、0%の期間を延長できる。また財源は赤字国債に頼らない、という。

 さらにその1年後には、現金給付や所得税の控除を行なう(同党がこれまで主張してきた)「給付つき税額控除」に移行させる考えだ。

 もともと立民では昨年12月に江田憲司・元代表代行が、食料品の消費税0%を唱え70人からなる「食料品の消費税ゼロ%を実現する会」を立ち上げていた。
https://note.com/yutax55/n/nb66cf5c3cbc0

 また参院選・兵庫選挙区(改選数3)に無所属で出馬を表明している元兵庫県明石市長の泉房穂氏も、かねてから同じ主張をしている。
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202504230000141.html

 さらに江田氏の勉強会は今年4月15日に、「物価上昇が続く当分の間は食料品の消費税を0%にすべきだ」などとする提言をまとめていた。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025041500978&g=pol

 この流れを見ると「食料品の消費税0%」へと政局が大きく動くかに見えるが……疑問点は数多い。

 まず最大の謎は、果たして食料品だけ消費税0%にするこの政策は、「そもそも本当に有効なのか?」という基本的な疑問だ。

 例えば元自民党議員で税理士、消費税「廃止論者」の安藤裕氏は、食料品の消費税を0%にすると「飲食店は仕入れ税額控除が受けられなくなり、逆に増税になる。飲食店がバタバタ潰れる」と過去から再三、警告している。

怒り心頭】徹底的に国民を○○だと思っている食料品の消費税ゼロを推進する政治家(安藤裕チャンネル ひろしの視点)
✳︎食料品の消費税を0%にすると、なぜ逆に飲食店は増税になるのか? この政策の欠陥を怒りに燃えながら解説する安藤氏。

 しかも江田氏が立ち上げた例の勉強会には、馬淵澄夫・会長代行や松木謙公・副代表、落合貴之・幹事長代行(すべて「勉強会における役職」)など、(山本太郎シンパとも思しき)経済にいかにも明るそうなメンバーもいる。

 なのになぜ、彼らはこの点に気づかないのか? 

 しかもこの公約は、財務省など政府側にとっても都合がいい。

 なぜなら新自由主義の日本政府は従来から大企業だけを優遇し、中小零細企業を整理統合(つまり潰して)この日本社会を「効率化」しようとしているからだ。

 つまりこの立民の政策は、自公政権を「側面支援」する実質的な自公・立民の大連立ともいえる。

 実際、4月24日付の共同通信は、その公明党が「飲食料品などに適用されている消費税の軽減税率引き下げも選択肢の一つとして党で検討している」と明らかにしたと報じている。ほら、話ができてるじゃないか。
https://www.47news.jp/12489631.html

 おまけにこんな仕組みでは税率が「0」%(食料品)、「8」%(新聞)、「10」%(その他)の3つになり、ワク組みが複雑怪奇になる。

 何もいいことがない。

 前出の元自民党議員・安藤氏は言う。

「こんな小幅の減税で収まるなら、そりゃ財務省も納得しますよ。そもそもいま財務省はしきりに世間の減税圧力に押されている。で、消費税一律5%にしろとか、廃止だとか言われると彼らは困る。それとくらべれば食料品0%ならしょうがないかな、ということです。

 加えてこんなふうに複数税率化が進めば、食料品は残してあとのものは改めて将来、増税できるな、という狙いもある。つまりインボイスが残り、複数税率が確保されてそのあと税率がアップする仕掛けです」
https://www.youtube.com/watch?v=D9DrEpzZgOI

見せかけの政策で選挙に勝ちたいだけ

 ほかにも残念ポイントは、3つある。

 ひとつは立民が「こんな見せかけの政策で選挙に勝ちたいだけ」だということが、図らずも丸見えになったこと。

 もう1点は「ただし国債発行には頼らない」などと、またも経済オンチな知識不足をさらけ出している点だ。

 立民は基本的には緊縮財政でやってきたクセに、いよいよ参院選が押し迫ってくるとこんな形だけの下策に頼ろうとする。

 つまり彼らは「国民のために政治をやろう」とか、「この日本をどう良くするのか?」なんていう発想がそもそもない。

 彼らにあるのは「どうすれば自党が選挙で有利になるか?」だけだ。

 選挙のたびに発言や政策がコロコロ変わる、国民民主党の玉木雄一郎代表とまるで同じだ。

 それに立民の「国債発行には頼らない」発言には反論する気も起こらないが……国債のやり取りは日銀が民間の金融機関を挟んで政府と間接的に絡むことで、実質的には通貨発行とイコールの機能が生まれる。

 つまり政府が国債を発行すれば、それだけ結果的におカネの量が増えて資金不足の市場をマネーでマンマンと満たすことができ、消費を盛んにして景気をよくするプラスの作用が生まれる、ということが彼らには見えてない。

この公約自体が「減税ポピュリズム」では?

 加えて最大のハイライトは、4月12日に「消費税減税なんて減税ポピュリズムだ」「減税をいうヤツは党から出て行け」と言い放ったばかりの立民・最高顧問の枝野幸男氏だ。

 最高顧問があんなことを言ったのに、その真逆になる今回の党の決定はいったい何だ?

「減税なんて欺瞞だ」という人がいたり、「(逆に増税につながる)見せかけの減税策で票を得よう」とする人がいたり、この党はもう収集がつかない。

 今だからこそ言えるが……あの希望の党・騒動のとき、枝野氏が小池百合子・東京都知事の「排除します」発言に反発し立民を創設したあの日は興奮したし、熱烈に支持したものだ。

 だが経済に疎く肝心の財政政策を回せないのでは、国のリーダーはとても任せられない。

 そろそろ彼にはお引き取り願いたいものだ。

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