すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー戦術論】「ロストフの悲劇」なんてなかった ~トランジションの重要性

2020-12-10 06:53:57 | サッカー戦術論
セオリー通りだった「スーパーなカウンター」

 ロシア・ワールドカップ決勝トーナメント1回戦、日本対ベルギー戦の終了間際。

 あの日本のコーナーキックが終わった瞬間、ベルギーの選手たちは弾けるようにダッシュを始めた。何が起こっているのか、まったくわからず呆ける日本の選手たち。

 それを尻目にベルギーの選手たちはGKクルトワの素早いフィードからスルスルとピッチを激走し、日本陣に殺到して世にもスーパーなカウンター攻撃を決めて見せた。

 マスコミはあれを「ロストフの悲劇」と言う。

 冗談じゃない。あれは「ロストフの喜劇」だ。

 日本の選手がセオリー通り、ネガティブ・トランジションに対応していればふつうに防げた失点である。

ワンプレー終わったらすぐ切り替える

 日本の選手たちは自分たちのコーナーキックが終わり、ほっと一息、「精神的」に休憩した。だがマイボールでオンプレーのベルギーは当然のようにすぐ次のプレーに移った。

 たった、それだけの差だ。

 ワンプレー終わったら、すぐ次のプレーに移る。

 そのトランジションに対応できなかった日本は、いかに愚かで間抜けだったか?

 そしてセオリー通り、トランジションに対応したベルギーはいかに抜け目がなかったか?

 ただそれだけの話だ。

 マスコミはそれを「ロストフの悲劇」などと美談に変えて呼称し、日本代表を「悲劇のヒーロー」に仕立て上げた。とんでもない。あれは単なる「ロストフの喜劇」であり、悪くとも「ロストフの教訓」くらいには名付けて反省すべきだった。

 だが当時の日本代表監督は「あんなスーパーなカウンターを決められるなんて……」と、敗因にまったく気づく様子もなかった。

 そんなことでは困るのだ。

 歴史は繰り返す。

 あの「ドーハの悲劇」とやらのとき、もし日本がうまく時間を使って試合を終わらせていれば、日本はワールドカップに行けた。こういう試合運びの巧拙は勝敗に直結する。

 ロストフでも、それは起こった。

 歴史は繰り返すのだ。


【参考記事】

【サッカー戦術論】なぜトランジションが重要なのか?

【サッカー戦術論】日本が世界で勝てるサッカーとは?

【森保ジャパン】日本にトランジション・フットボール以外の選択肢はない

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