すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー・ロシアW杯予選】アジア2次予選モードのタクティクスが必要だ

2015-06-20 11:42:01 | サッカー日本代表
対戦相手がリトリートしてくる2次予選はこう戦え

 シンガポール戦では、相手はワントップを残して9人が自陣に引き込んだ。低く構えて自陣のスペースを完全に消し、(もしチャンスがあれば)ロングカウンター狙いの引き分け仕様できた。

 そんな相手にハリル・ジャパンは「いつもの縦に速いサッカー」で挑み、十二分にチャンスを作った。完全に崩した形もあり、あとは最後の決定力だけの問題だった。

 だから今後も同じやり方でもいいのだが、戦況に応じて効率的にモードチェンジする方法もある。つまり立ち上がりから一定時間、いつものやり方=縦パスとワンツーを軸にした中央突破を仕掛け、もしラチがあかないようなら試合中にやり方を変えるテだ。

敵をボールサイドに引きつけ、一気にサイドチェンジする

 ハリル監督が考えている「ダイレクトプレーを使ったハイプレスからの縦に速いショートカウンター」てのは、明らかにヨーロッパの一流強豪国とやるための戦術だ。だがアジア2次予選予選ではシンガポールと同じく、対戦国は日本をリスペクトし「引き籠りサッカー」をやってくるだろう。ならばアジア予選用の戦い方が必要になる。

 対戦相手が徹底的にリトリートしてくるなら、敵陣にスペースはない。最終ラインの裏のスペースも消されている。となればゾーンプレスを破るときと同じテが通用する。サイドを使い、ボールサイドを囮にして素早く逆サイドに展開することだ。

 例えば右サイドにボールを出したとき。敵がつられてフィールドの右半分に重心をかけてきたら、必ず逆サイドが空く。そこで今度は左サイドへの斜めのサイドチェンジで、逆サイドのスペースを使う。

 そしてボールを反対サイドに振ったら、そこから速い攻撃を仕掛ける。なぜならそこで何度もボールをつないで時間をかけてしまうと、また敵がポジションを修正し、またもやスペースがないイモこぎ状態になるからだ。

同サイドMFとサイドバックの連携でサイドにスペースを作る

 もうひとつはやはりサイドを使うこと。シンガポール戦でも、たまたま流れでクロスが入る形になればチャンスを作れていた。このパターンを自動化したい。

 同サイドのMFとサイドバックの連携でサイドにスペースを作り、サイドバックが縦方向に敵陣深く侵入し、サイドを崩し切った状態でクロスを入れる。具体的には、同サイドのMFが絞る⇒サイドにスペースができる⇒サイドバックが上がる。このパターンを自動化したい。

 次はフィニッシュだ。

 ゴール前中央を厚く固められているときは、(1)ゴールへ向かうドリブルで積極的に仕掛ける(足を引っ掛けてさえくれればバイタル近くでFKがもらえる)、(2)ミドルシュートを打ち敵を引っ張り出す、(3)中央でクサビを入れワンツーなど動きながら崩す――これらは前回、詳しく書いたので省略する。

監督は形を指示するのでなく「なぜそうするのか?」論拠も示せ
チームコンセプトを実現するには徹底したパターン練習も必要だ


 おそらくハリルホジッチ監督は、まだ日本人のメンタリティを理解していない。シンガポール戦のように太田を呼び「今日は君の日だ」なーんて「本人だけ」に言葉をかけたり、「逆サイドにダイアゴナルのパスを出せ」などと言葉だけで指示しても日本人はその通りできない。

 日本人はマニュアル脳だ。自分の頭では考えない。監督の指示を「うわべの形だけ」そのままやろうとする。「なぜそうすることが必要なのか?」なんて考えない。

「縦に速く」といえば状況がどうであれ、愚直にそればっかりやる。「監督からはこう指示されたが、今は試合の状況が○○なんだから指示と違ってこう対応しよう」なんて応用問題は解けない。これは日本人の根深い文化の問題である。サッカーに限らず国民的な問題だが、そこを直すには100年かかる。

 とすれば監督は試合を控えた練習で、「こうしろ」と形を示すだけではだめだ。「なぜそうすることが必要なのか?」その裏付けになる理論も説明してやる必要がある。そうすれば選手は、「なるほど。それであの動きが必要なのか」と理解する。

 と同時に本番でその形を実現するため、練習でしつこいくらいパターン練習をする必要がある。マニュアル脳の日本人には絶対パターン練習がいる。で、頭だけでなくカラダに覚えこませる。上に書いたような戦い方も、言葉で説明するだけじゃなくパターン練習でカラダに染み込ませる。で、ふだんから動きを自動化しておくことが重要だ。

 もしそれでも実戦で指示通り動かない選手がいれば、そのときは容赦なく選手交代させる。なんせ舞台はまだ2次予選、もともと控えの選手でも勝てるレースのはずだ。バックアッパーを育てる練習用に実戦を使ってもいいくらいである。しかも日本は選手層がそれなりに厚い。

 ならば、「チームコンセプトに従えないヤツはいらない」という毅然とした態度を監督が示すべきだ。選手は試合に出てナンボ。交代させられるとわかれば、さすがに言うことを聞く。監督には、これくらいハッキリした選手のコントロール術が必要になる。

アジア2次予選でボランチは2枚必要か?

 次はシステムの話へ行こう。相手が引き籠ってくるのがわかっているアジア2次予選で、はたしてボランチは2枚も必要なのか? 疑問がある。

 いかにもフォワード出身らしく、ハリルホジッチは攻撃重視の選手選びと起用法をしている。宇佐美や原口、武藤などドリブルできる選手を重用し、柴崎のようなパッサーも重視している。同じボランチでも、逆に守備が得意な山口蛍のような選手は控えに回している。非常に分かりやすい選手起用だ。

 想像だが、おそらくハリルは攻撃的な柴崎を中盤でどうしても使いたいのだろう(守備なら明らかに山口蛍のほうが上だ)。それならアジア2次予選に特化したやり方として、ボランチを1枚にして柴崎を2列目に上げるテもあるのではないか? 相手はどうせリトリートして攻めてこないのだから、初めからボランチを2枚置く必要はない、という考え方である。

 とすれば4-1-4-1でボランチは長谷部。2列目の左に宇佐美、真ん中に本田と柴崎、右に武藤を使うイキのいい豪華布陣が実現する。本田のプレイを見ていると、やはり彼は真ん中の選手だからこのほうがいいかもしれない。

本田を1.5列目にしトップ下の香川と組ませるテも

 あるいはどうしても香川を使いたいなら、中央で本田を1.5列目にしてトップ下の香川と組ませ、左に宇佐美、右を柴崎にする。これだと4-1-3-1-1のような形になる。

 本田も香川も明らかに真ん中でのプレイのほうが得意だ。ゆえにこの布陣なら両雄が並び立つかも? (ただし中央突破オンリーになるかもしれないが(笑)。で、点を取ってリードし時間が立てば柴崎を引っ込め、クローザーとして山口蛍を入れボランチを2枚にする方法もある。あるいは途中で柴崎を1列下げてボランチにするテもあるな。

 青山がいれば長谷部と組ませてボランチで使い、左右両サイドに開く長くて正確なボールを青山に入れさせ、柴崎は2列目で使うというテもあるのだが……。いずれにしろ、もし本田をサイドで使えば彼は必ず中へカットインするから、同サイドのサイドバックとの連携でサイド攻撃を機能させることが必須になるだろう。

 最後は妄想と願望がごっちゃになっておちゃらけたが、いずれにしろサッカーは相手に応じ臨機応変に戦うことが重要だ。とすれば「アジア2次予選専用」の戦い方も必要になるのではないか? と問題提起しておこう。

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