「将来、何なりたい?」
よくある質問だ。
「プロ野球選手」「小児科医」・・・。過去の俺が目指した夢たち。
プロ野球選手にはなれなかったのではなく、ならなかった(笑)
小児科医にもなれなかったのではなく、ならなかった(笑)
そして今の自分がいる。
日曜日は、所属する草野球チームの試合だった。
先週の日曜日も試合で、0対0の同点だったので、何としても勝ちたかった。
みんなも気合いが入っていて「今日は負けられねーぞ!!」
などと口にしていた。
暖かいというよりも、暑いくらいの昼下がり、試合が始まった。
しかし・・・見方も相手も全く打てず、スコアボードの得点はゼロゼロゼロゼロ・・・・。
結局0対0のまま、9回の裏を迎えた。「また、0対0の同点か・・・」
不安が頭をよぎる。
9回の裏、我がチームの攻撃。なんと先頭打者のケンジがヒットで出塁。そして・・・続く打者はカッちゃん。
あ、そういえば言い忘れた。
その日、チームの監督がどうしても外せない用事があるとのことで不在。だからキャプテンである俺が監督代行を務めたのだ。
監督代行の俺は、カッちゃんに「ヒット&ラン」のサインを出した。
「送りバントよりも、ここはヒット&ランにしろ」神様が俺にそう呟いたのだ。
カッちゃんは、俺のサインにうなずき、ランナーのケンジもうなずいた。
ピッチャーが投球モーションに入った。ランナーのケンジのスタートはオッケー!!
あとはカッちゃんがバットに当てて転がすだけだ!!!
「ストライ~ク!!!」
さっきサインにうなずいたのに、カッちゃんは来た球を平然と見逃したのだ。
キャッチャーは素早くボールを2塁に投げた・・・。
ケンジは180センチ以上ある体を揺らし、一生懸命走っている。
「セーフ!!!」
ケンジは、単独の盗塁に成功したのだ。「ヒット&ラン」のはずが、「盗塁」になった。
まぁ、セーフだから結果オーライ。みんなも胸をなでおろした。
カッちゃんはその後、ボテボテのサードゴロを打ち、あまりにボテボテだった為、ケンジは3塁に進んだ。
ワンアウト3塁。1点取ればサヨナラ勝利だ。
ここで、監督代行の俺は判断を迫られた。打つのかスクイズなのか。
ドキドキした。だけど、その瞬間をすごく楽しんだ。判断次第ではこのチャンスをいかせず、試合が終わる。
結局3球目にスクイズのサインを出した。今度はしっかり決まって、勝利を手に入れた。「あぁ~よかった」
仲間と勝利を喜びあうと同時に、「嬉しい」とはまた違った感情が湧いた。
「俺はやっぱり高校野球の監督になりたい。」
自分が教員を志したキッカケは、他でもない。「高校野球の監督になりたい」そう思ったことだった。
もちろん、その夢を失ったわけじゃなかったけど、しばらく忘れていた。
だけどこの試合ではっきりと思い出した。
いつか・・・この夢を実現できるように、俺は努力しよう。そう思った。
誰かが「夢は逃げていかない、自分が夢から逃げているんだ」というようなことを言っていました。
みんなはどうだ?!夢があるなら、逃げずに一緒に戦わないか?!
ガク