修了式前日。
Y奈の描いてくれた、かわいらしいモンスターたちに囲まれた放課後の教室で、鍵閉めの点検をしていました。
ふと、ホワイトボードに目をやると、ホワイトボード消しが、ない。
ボードの裏側についているのかな?と思ってうしろ側を見ても、ない。
教卓にもロッカーにもゴミ箱の中にも…どこにもない。
これは・・・
みんなのいたずらに私が気づいた時の、彼らの小悪魔のような笑顔が脳裏に浮かびました。
「K太か、K正か?・・・あるいはM里??まさか、K太郎!?それとも・・・???」
ぱっと走馬灯のように、これまでの彼らの悪事が思い出されました。
ホワイトボードの日付を、毎日1月1日に書き換えてお年玉をせびってみたり(R太、君です)、私のペンケースがロッカーの教科書ボックスの裏側にうまい具合に眠っていたり。ホワイトボードに「鬼村先生へ」と書かれた、しょうもない落書きの数々。(だれが鬼じゃ、Uさん!!
)。椅子にスライムがしこんであったことも…
。教室での鬼ごっこ、こづきあいがエスカレートしての大げんか
。片づけてから帰れと口を酸っぱくしていったのに、机の上に読みかけのジャンプが置いてあったり。
最後の最後まで…
「…やったなぁ~~~
」
言葉が汚くて大変申し訳ないが、マジでブチ切れそうになりました(笑)
待て待て。
ここで教室中を探しまわったり(もう充分探したけれど)、明日の朝一番で「こら!!!」と鬼ババ化したら、それこそ彼らの思う壺。ここはクールなN征のように冷静に、平静に…。
と、教室を後にした時には、それが君たちの計画の中で生じたちょっとしたミスだったとは、不覚にも気がつきもしませんでした。
修了式当日。
ホワイトボード消しをどこへやったの?とさりげなく聞いた瞬間の、君たちの
「あっっっ!!しまった!!!」
という表情。
とってもナイスでした。
ここ数日間、君たちがひそひそこそこそ、不穏な言動をしていることには、気がついていました。
でも、あんなにうれしい出来事が待っていようとは。
修了式後。
メッセージでいっぱいのホワイトボードと、かわいらしいコルクボードを見た瞬間、めまぐるしいほどの思い出が込み上げてきました。
君たち一人ひとりと出会った時のこと、朝顔を植えた時のこと、ザリガニやカマキリをつかまえたときのこと、体中が痛くなるまでみんなで走り続けた鬼ごっこ、晴れた日のバドミントンにキャッチボール、学級日記に書いたことで笑いあう姿、みんなで巨大すごろくを作って大笑いしながら遊んだこと、教室でふたり向かい合って話したこと、涙した目。
鬼ババの威厳を保たねばならぬと涙こそ流さなかったものの、言葉につまったよ。
こちらこそ、ほんとうに、ありがとう。
とても輝かしい13歳の君たちの、笑顔も、涙も、伝えてくれた想いも、一緒に過ごした日々も、私の宝物です。
そして、まるで不審者と見紛うかのような姿勢で、ベランダから1年生の様子を見守ってくれていたけんた先生。(T一くん、けんた先生を教室に入れてくれてありがとね)
新たな仲間も含めて全員で協力して取り組んだことを、先生が見守っていてくださって。
ほんとうにありがとうございました。
うれしいことがあると抱き合ってよろこんで、だれか落ち込むと眉をひそめて心配して、腹が立つことがあると心の底からけんかして、悩みがあると頭を抱えて涙を流して。
この1年間教室で、ひとりひとりが、それぞれの悩みで胸をいっぱいにしていましたね。
でもよくがんばった。
君たちのがんばる姿と1年間一緒に過ごすことができて、幸せです。
学級日誌の最後のページにはY伽から、こんなメッセージが書かれていました。
「2年生になったら、今よりも、もっともっと1日1日を大切にしたいと思います。」
平凡な1日も、退屈な1日も、不機嫌な1日も、もう二度と戻らない1日。
そんな日々の中、自分のことを大事にできるのは、自分しかいません。心と体とじっくり向き合って、自分を大事にしてあげてね。
そして、教室をつくっていくのは、かけがえのない君たち一人ひとり。仲間を大事にね。
中等部2年生のみんな、高等部1、2年生のみなさんもそれぞれの思いを胸に、今年度最後の1日を過ごしたと思います。
ここまでの歩みを振り返って、新たなスタートに向けての準備をしてください。
来年度がみなさんにとって、よりよい1年となりますように。
4月にはひと足早いですが、進級おめでとう。
あや