俺は負けず嫌いだ。
基本的に冷静でいることが多いけれど、ふとした瞬間に意地を張ったり、勝負事に熱くなったりする。
争うのは嫌いだけれども、譲れない何かができたとき、なかなか引き下がらないこともある。
おまけに頑固な人間だ。
これでも、以前に比べたらだいぶマシになってきている気もするけれど。
まだまだ自分でも駄目だなー、って思う時がよくある。
そんな私ですが、わからないことには素直にわからないと主張し、些細なものでも一から調べ上げようとする。
「素直になること=裸の自分をさらけ出すこと」
「謙虚であること=常に学ぼうとする姿勢でいる」
それが自分自身を高める秘訣だと気付いたのはいつの頃だろう。
中学・高校時代、相変わらず頑固で自己中心的な言動をしていました。
それでも人に迷惑をかけたり、人を傷つけたりすることはほとんどなかったと信じています。
基本的に真面目そうに見えていたかもしれないけれど本人はそれが当たり前だと思っていたし、結構おばかな振る舞いもしていたはず。
ところが高校で頑張って勉強したらテストで良い点が取れてしまった。
嬉しかったけれど、授業でやった内容がほとんどだからそれさえ記憶していれば、良い点がとれる。
やったはずの内容を先生がテストで試してきて、それに答えられない自分が情けなくて、腹が立って、悔しくて。
以前はそんなことを感じていました。
だからかな、授業にしっかりと参加し、ノートはほぼ完璧にとってた。
実はこっそり小説を読んだりしていた事もありましたが…。
だから本当は授業の内容なんてあまり頭には入っていない。
他に夢中になるものがあったのだと思います。
でもそんなノートをもとに、やった内容を必死で記憶して試験に臨めばやっぱり良い点が取れる。
がしかし、試験終了後は少しずつ、記憶したものが抜けていく。
そして某統一模試を学校内でやるとそんなに大した成績が出ない。
つまり学校内試験の成績は良くても、本人には実力がない。
それに誰よりも、本人が気づいていた。
けれども、学校内試験の結果ばかりをもとに周囲は会話する。
だから「○○くんは頭が良いね」なんて言われたりした。
自分は全然そんな風には思っていないのに。
3年生になってクラスが変わったら、新しく同じクラスになったクラスメートにはあだ名で呼んでもらえない。
あんなに嫌いだったあだ名なのに呼ばれないと悲しいのだ。
言葉の端々にも遠慮というか、距離を感じる。
敬遠されている、そう実感した。
すごく寂しかった。
実力もないのに、そんな風に思われるのがすごく嫌で、コンプレックスでもあった。
中途半端に真面目だからそれを崩すことができなくて、試験の度に維持しなければならないと、必死になって寝る間も惜しんで記憶を続けていた。
大学は高校時代からの習慣と興味のある分野だったから、進んで学習に励んだ。
しかし、大学4年生になり研究室に配属になったとき、今まで必死に築き上げてきたものが崩壊した。
目の前に「本物」が現れた。
理解力、行動力、実践力、考察力、etc…。
その全てが自分を上回っている人間が同じ研究室の同じ班にいた。
最初は素直になれなくて、事あるごとに対立していた。
性格は合わなかったし、本当の実力があることを認めたくなくて、悔しくて。
劣等感を抱いたまま日々が過ぎていった。
同じ研究をやっているから、自分が悩んでいる分野についての知識や助言は相談すればすぐに返ってくるはず。
けれども、聞くのもそんなこともわからないのかと比較されるのも悔しかったから、自分で何とかしようとした。
そのおかげで、お互いの関係も溝が深まってしまい、悩んでいる問題の解決までだいぶ回り道してしまうこともしばしば。
しかし、ある日気付いた。
一人でやるには限界がある、自分自身を高めるには嘘やごまかしのない裸の自分を見せなければならないと。
そう決心してからは正直性格の不一致で苛立つことはたくさんあったけど、自分から歩み寄り、わからないことは素直に相談した。
やっぱりバカにされたり、悔しい思いもしたけれど、そんなのわからないのだから当たり前。
だから一からやり直すし、なんでも聞く。
裸になったら、今まで固めてきた自分が嘘のように楽になった。
「自分には何もない。」
冗談混じりの話のネタでなく、本音でそう語り。
それゆえにどんなに恥をかいても、バカにされようとも学ぼうとする。
それができるようになると、とても自由になった。
自分はなんでも学んでいけるような気がした。
自分の尊厳を守るために必要なことは確かにある。
しかし、ちっぽけなプライドや意地ってのは早めに捨て去った方が良い。
今よりももっと成長するために障害になるのであれば、そんなものはいらない。
早めに気付くべきであり、早めに捨てるべきだ。
それがなされたとき、自身は何かの呪縛から解き放たれ、自由になる。
そしてまた1つ、成長できる。
自分から変わることができる。
世の中に不満をもらしたり、びくびくと何かに脅えながら日々過ごすのか。
あるいは、恥をかきながら裸になりながらでも、前を向き強い意志を持って生きていくのか。
全ては自分自身が決めることだろう。
あなたの人生、せっかく生きているんだから。
開き直って胸を張り、堂々と生きていこうじゃないか。
たき