毎週土曜日の夜は、うちの母の『定休日』とのことで、夕飯は父が作るのが有光家の習わし。
父は料理がうまく、餃子もパリッパリに焼くし、お好み焼きもフワッフワに焼くし、何よりパスタが得意中の大得意です。
ナポリタンも、カルボナーラも、ホタテとバター醤油のスパゲティも、エビたっぷりのトマトパスタも、何回食べても、飽きさせない味なのです。
『おふくろの味』が母の煮物だとしたら、『おやじの味』は、パスタでした。
小学校のときは、土曜日はプールの習いごとがあったので、腹ペコで食べたパスタ。
中学校のときは、土曜日は部活が長い時間あったので、腹ペコで食べたパスタ。
高校時代では、土曜日は乗馬をしていたので、やっぱり腹ペコで食べたパスタ。
大学時代は、土曜日は友達と飲みに行く日が多く、父のパスタを食べる日が激減。
でも、ときたまやっぱりパパのパスタが食べたくなり、予定がない土曜の夜は、即帰宅していました。
そんなこんなで育った私ですが、25歳で一人暮らしを始めて発見したことがありました。
まともなパスタを作ろうとしても、父の味を超えられないことです。簡単に作っているようで、実は難しい。
パスタをモチモチに茹で上げることさえ、なんだかうまくいかないのです。
実家に帰って作ってもらったパスタを食べ、やっぱりおいしいなぁと首をかしげる私。
「お父さんが作るから、当然、うまいのだ」と、得意気に笑う父にムッとしながら、絶品パスタは否定不可能でした。
そんな父が亡くなって、1年と8ヵ月が過ぎました。月命日は20日、先週の土曜日でした。
私は1人でご飯を食べるときは、わりと適当にゴハンを作るし、平日もサクサクっとありあわせで作ってしまうのですが、
なんとなくその日は時間もあったので、レシピを見ながら丁寧にパスタを作ってみようとチャレンジしてみたのです。
・・・でもやっぱり、パパのパスタは超えられませんでした。
いつだって当然のように食卓に並べられた土曜日のパパのパスタは、もう二度と味わえないのだと改めて実感した夜。
おいしい名産物もインターネットでお取り寄せができ、一流ホテルに行けば相応のものが食べられる昨今。
でも、父や母が作ってくれる手料理は、ずっとずっと食べられません。
どんなに願っても、二度と父の手料理は口にできないのです。
最後の晩餐は何を食べたいか?という問いがあったら、
私は迷わず、パパのパスタかお母さんのおにぎりと答えるでしょう。(あ!!ダブル炭水化物!!)
みなさんは、今日の夕飯を、おいしく残さず食べましたか??
いただきます、ごちそうさま、を言いましたか??
永遠に続くわけではない、今の食卓。実はかけがえのない時間なのだと言えそうです。
1人でご飯を食べる人も少なくないかもしれませんが、もし食事を用意してくれる家族と顔を合わせたら、
『おいしかった!ごちそうさま!!』と一言添えてみてはいかがでしょう。
マリオ