ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

落合ダム

2016-10-24 20:00:00 | 岐阜県
2015年11月22日 落合ダム
2016年10月22日 
 
落合ダムは左岸が岐阜県中津川市落合、右岸が同市瀬戸の一級河川木曾川本流中流部にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
戦前の5大電力の一つで福沢桃介率いる大同電力は急流かつ水量豊富な木曾川に着目し、1923年(大正12年)に読書発電所、1924年(大正13年)に大井ダムと大井発電所を完成させます。
次いで1926年(大正15年)に建設されたのが落合ダム・落合発電所で、落合ダムで取水された水は約180メートルの導水路で落合発電所に送られ最大1万4700キロワットのダム水路式発電を行っていました。
しかし大同電力の発電施設は1939年(昭和14年)の配電統制令により日本発送電に接収され、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により関西電力が事業継承しました。
その後のオイルショックによる火力発電コスト上昇や家電普及に伴う電力消費の日中格差拡大に対処するため、電力会社は既設発電施設の再開発を進めますが、落合ダムでも1980年(昭和55年)に新落合発電所(最大出力1万8900キロワット)を増設、以来新落合発電所では常時発電を、落合発電所では電力需要繁忙時のピーク発電を行っています。
落合ダムおよび落合発電所は土木建築物としての歴史的価値を評価してCランクの近代土木遺産に選ばれています。
またダム湖には岐阜県東部上水道用水供給事業(旧東濃用水道事業)の取水口が設けられ、東濃地区向け岐阜県営水道用水がここから取水されています。
 
落合ダムには2015年(平成27年)11月に初めて訪問し、翌年10月に再訪しました。
ダム下流から遠望
堤頂長215.1メートル、18門のラジアルゲートで木曾川を締め切っています。
 
ゲートをズームアップ
ゲートは関電おなじみブラックゲート、河川維持放流のため1門だけ開放されています。
 
左岸から
大正末期のダムと言うことで副ダム等の減勢設備はなく、減勢目的のために河床の岩盤とコンクリートの水叩きが併用されています。 
 
 
天端は生活道路として開放されています。
たぶんダム建設にあたり、周辺住民との交渉でダムを対岸への通路として開放することになったのでしょう。
 
天端から
木曾川、阿賀野川、只見川などの戦前の発電ダムでよくみられるように自然の岩盤を減勢目的で生かした作り。
 
ダム左岸には二つの取水ゲートが並びます
左は1926年(大正15年)完成の落合発電所の取水ゲート
右は1980年(昭和55年)完成の新落合発電所の取水ゲート。
 
ダム左岸の取水口
二つの発電所向けにかなり横幅の広い取水口になっています。
スクリーンの上には除塵機が並び、奥にはゴミ処理用の巨大なクレーンが鎮座します。
 
これは取水口の裏側、沈砂池になります。
 
ダム管理施設は立ち入り禁止。
 
ダムの上流面。
 
最後の写真を除き、2016年10月の再訪時の写真を使っています。
 
(追記)
落合ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1059 落合ダム(0057)
左岸 岐阜県中津川市落合
右岸      同市瀬戸
木曽川水系木曽川
33.3メートル
215.1メートル
3872千㎥/1000千㎥
関西電力(株)
1926年
◎治水協定が締結されたダム


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