ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

行入ダム

2017-06-28 11:48:16 | 大分県
2017年6月17日 行入ダム
 
行入で『ぎょうにゅう』と読みます。
行入ダムは大分県国東市国東町の田深川水系横手川にある大分県営の防災目的の重力式コンクリートダムです。
国東半島東部を横断し国東市中心部から伊予灘に注ぐ田深川は古くから流域に洪水被害をもたらし、終戦直後から河川改修が行われてきました。しかし1961年(昭和36年)10月の豪雨で流域に甚大な被害を引き起こしたのちもたびたび氾濫を繰り返し、抜本的な治水事業を求める声が高まりました。
これを受けて大分県は多目的ダムの建設を決定、1997年(平成9年)に田深川支流の横手川に竣工したのが行入ダムです。
当初は河川名を採り横手川ダムという名称で事業がすすめられましたが、地元の要望によりダム建設地の小字である行入へと名称が変更されました。
行入ダムは田深川および横手川の洪水調節、既得取水権への補給と安定した河川流量の保持を目的としています。
 
ダム建設地は国東半島特有の凝灰岩からなる地質で深い谷と奇峰、尖峰が立ち並ぶ景勝地となっており、行入ダム建設に当たってはシビックデザインを採用し周辺の景観や環境に調和するよう配慮が施されました。
また過疎化が進む周辺地域の振興策としてダム湖上流にパークゴルフ場や管理釣り場などが設けられているほか、ダムサイトがポケットパークになっており観光客やドライバーのレストポイントとしても重宝されています。
 
行入ダムは県道29号線沿いにありアプローチは簡単です。
まずはダム下から
クレストは自由越流式の非常用洪水吐が6門、一番左岸側(向かって右手)にオリフィスゲートがあります。
堤体や扶壁、導流壁などは四角く切り出された凝灰岩が使用されい石積みダムを彷彿とさせます。
また円形のバルコニーやゲート上部のアーチがダムを柔和なイメージに包み込んでいます。
 
高欄端の装飾。
 
下流面
古い石積み堰堤をモチーフにしたデザインで背後の岩峰と違和感なく調和しています。
 
上流面も石積み風。
 
天端もきれいに石が敷き詰められています。
照明もガス灯風。
 
三か所あるバルコニーには地域の行事や特産物などが彫り込まれています。
 
ダム下も公園になっています
減勢工は導流部左側に寄っており、左手に利水放流設備があります。
 
ダム湖は総貯水容量268万立米
上流にパークゴルフ場や管理釣り場があります。
 
管理事務所も寺院風のデザイン
事務所脇からインクラインが伸びています。
 
下流面
 
右岸上流から。
 
デザイン、周辺環境、そして管理人さん、いずれも素晴らしくまたホスピタリティに溢れたダムとなっています。
これまで1000余りのダムを回りましたがその中では十指に入る好印象のダムでした。
 
2800 行入ダム(1041)
大分県国東市国東町横手
田深川水系横手川
FN
 
43.5メートル
180メートル
大分県
1997年


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