ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大洞ダム

2022-03-15 18:07:32 | 埼玉県
2022年3月13日 大洞ダム
 
大洞ダムは埼玉県秩父市大滝の荒川水系大洞川にある東京発電(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
都心に近く急流が続く荒川上流部では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は日本発送電の接収を経て東京電力が引き継ぎました。
一方で戦後、荒川上流部の水利権は公営発電である埼玉県企業局が獲得、大洞ダムは同局によって1960年(昭和35年)に建設されました。
ここで取水された水は大洞第一発電所(最大出力1万1900キロワット)に送られダム水路式発電に供されます。
2008年(平成20年)に埼玉県企業局は発電事業から撤退し、同局が管理する発電施設はすべて東京発電(株)に移管されました。
同社は1928年(昭和3年)設立の姫川電力を起源とする東京電力の100%出資子会社で、主として中小水力発電やクリーンエネルギーを手掛け中小水力発電においては日本のトップ企業です。
また1995年(平成7年)に建設省(現国交省)により『荒川上流ダム再開発事業』が採択され、直轄事業により当ダム直下に堤高155メートル、総貯水容量3300万立米の大洞ダム(再)建設計画が着手されますが、こちらは2010年(平成22年)に検討対象となり2012年(平成24年)に中止が決定しました。

今回は、まず下流から大洞川を遡上しダム下に至る計画を立てましたが、大洞川の水量が予想以上に多く約2キロほどでギブアップ。
通常ルートでのアプローチとなりました。
二瀬ダムから三峰神社方面に進み、右手の雲取林道に入ると3キロほどで車止めのゲートとなります。


ゲートから1キロほど歩くとダムへの下降点。
荷揚げ用の簡易モノレールに沿った山道を標高差120メートルほど下ります。


10分ほどで眼下に大洞ダムが現れます。
ダム直下の斜面が大きく地滑りしています。
左手の取水設備からゴミ運搬用のベルトコンベアが伸びており、排出されたごみは簡易モノレールで林道まで荷揚げされます。


水利使用標識。


右岸高台のコンクリート構造物。
クレーンの台座でしょうか?


右岸取水口裏手に転がる巡視艇。
あんまり使われてなさそう。


河川維持放流。
ダム便覧の写真を見るとゲートに放流用の穴が開いています。


主ゲートは2段式ローラーゲートで上部にフラッシュボードがついています。


総貯水容量11万立米のダム湖と取水口。
この日は気温20度のぽかぽか陽気でしたが、ダム湖は半分程度凍結。
冬場は全面凍結しそう。


これは水位観測施設。
このデータは下流の二瀬ダムの運用に使われます。


ダム下の様子
地滑りの影響で巨岩が転がっています。
仮にダム下まで遡上できても、この巨岩群で立ち往生しそう。


左岸から。


ゲートを挟んで左右に2門ずつ自由越流頂があります。

0636 大洞ダム(1774)
埼玉県秩父市大滝
荒川水系大洞川
24.7メートル
45メートルメートル
110千㎥/55千㎥
東京発電(株)
1960年


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