ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

猿越ダム

2022-09-01 12:00:00 | 富山県
2022年7月29日 猿越ダム
 
猿越ダムは富山県富山市八尾町切詰の一級河川神通川水系井田川(大長谷川)上流部にある富山県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により日本発送電は解体され北陸では新たに北陸電力(株)が誕生します。
同社は戦後の電力不足を補うために積極的な電源開発を進めますが、同社だけでは開発の手が足りず北陸三県では公営発電である各県企業局による電源開発が併せて進められました。
富山県企業局は電源開発の手が付けられていなかった神通川水系山田川および井田川(上流は大長谷川)で水利権を獲得、1950年代半ばより順次発電所の建設に着手します。
猿越ダムは1981年(昭和56年)に竣工し、ここで取水された水は約5キロの導水路で大長谷第三発電所に送られ、最大8000キロワットのダム水路式発電を行います。
 
大長谷川沿いに国道471号線を南下し、右手の林道猿越線を辿ると大長谷第四発電所に到着します。
発電所のすぐ先に猿越ダムがあります。
クレスト自由越流頂1門と右岸に放流ゲートを備えています。


親柱の銘版。


天端は林道で車両通行ができ、この先は200名山である金剛堂山のサブコース登山口になっています。
上流側には建屋が二つあり手前は取水ゲート、奥は放流ゲートの操作室。


取水ゲート操作建屋と水利使用標識。


天端から
減勢工の先にはコンクリートブロックが四つ並んでいます。
右手の放流ゲートから維持放流中。


こちらは貯水池側。
貯水池と言っても水の貯留はなく、ダム便覧にも貯水容量は記載されていません。


左岸のリムトンネル
登山者のものと思しき車が一台止まっています。


ダムの貯水池に下りてみます。
左が放流ゲート、右が大長谷第三発電所の取水ゲート。
普段は維持放流用の水以外はすべて取水口に流入してるようです。


こちらはダムのすぐ手前にある大長谷第四発電所。
1989年(平成元年)完成で、最大266キロワットの水路式発電を行います。
取水堰は大長谷川のさらに上流にあり猿越ダムと水のやり取りはありません。


大長谷第四発電所のそばに第三発電所の沈砂池があり、猿越ダムで取水した水と第四発電所の放流水が流入します。


3590 猿越ダム(1880) 
富山県富山市八尾町切詰 
神通川水系井田川(大長谷川)
 
 
29.6メートル 
68メートル 
----千㎥/----千㎥ 
富山県企業局 
1981年


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