ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

武周湖(武周ヶ池)

2022-08-28 18:00:00 | 福井県
2022年7月28日 武周湖(武周ヶ池)
 
武周湖は福井県福井市二ツ屋町の大味川水系本流上流部にある発電目的のアースフィルダムです。
現地案内板によればもとは1590年(天正18年)に発生した土石流により出現した堰止湖で、大正期に当時の武周電力が発電用にダム化、電力国家管理法により北陸配電に接収されたのち1951年(昭和26年)に電気事業再編成令により新たに誕生した北陸電力が事業を継承、現在に至っています。
ここで取水された水は約1.6キロの導水路で蒲生発電所に送られ最大1600キロワットのダム水路式発電を行っています。

福井市風尾町の県道6号福井四ヶ浦線から大味川沿いの市道を南に約4キロ進むと武周湖に到着します。
武周湖の直下には副ダム?下池?があり、ここには大味川の維持放流設備及び二ツ屋地区への灌漑用水(二ツ屋用水)のバルブがあります。
写真右手のコンクリートが大味川向け放流路、左が二ツ屋用水。


こちらが副ダム。
武周湖を発電用ダム化する際、大味川流域の既得灌漑用水向けに設けられたようです。


副ダムの上流にあるアースフィル堤体。
こちらが武周湖本体の堤体となります。
さすが電力会社管理で盛夏にもかかわらず堤体はきれいに刈られています。


右岸の洪水吐越しの堤体。
ダムの右岸側は下流に盛り土が施されています。


水利使用標識。

武周湖(武周ヶ池)に至る道は中部北陸自然歩道になっています。
こちらはその案内板。


右岸の洪水吐。


洪水吐と堤体の断面。


洪水吐導流部は隧道で、その後大味川となります。


上流面
右手は艇庫で湖面にインクラインが伸びます。
奥が取水口。


取水口をズームアップ
スクリーンと除塵機が設けられています。
ここから1枚目写真の維持放流および二ツ屋用水向けの水が分水されています。


正確にはダムは武周湖、貯水池は武周ヶ池となるんでしょう。
総貯水容量226万1000立米。山を越えるともう越前海岸で、蒲生発電所も海岸沿いにあります。


0936 武周湖(1872)
福井県福井市二ツ屋町
大味川水系大味川
20.3メートル
91.5メートル
2261千㎥/931千㎥
北陸電力(株)
1920年

足羽川ダム

2022-08-28 12:00:00 | 福井県
2022年7月27日 足羽川ダム
 
足羽川(あすわがわ)ダムは福井県今立郡池田町小畑の一級河川九頭竜川水系足羽川右支流部子川に国交省近畿地方整備局が建設中の治水目的の重力式コンクリートダムです。
足羽川は九頭竜川支流日野川に合流する九頭竜川の2次支流ですが、福井市中心部を貫流することからその治水は戦国時代からの為政者の至上課題となってきました。
1983年(昭和58年)に建設省(現国交省)により足羽川本流への多目的ダム建設事業が着手されますが、用地買収の難航に加えバブル崩壊以降の利水需要の低減や公共工事見直し機運の高まりなどもあり事業は停滞します。
しかし2004年(平成16年)7月福井豪雨により福井市街で甚大な洪水被害が発生したことを受け事態は一転、治水ダムを求める声が高まりダムの目的を『FNWI』の多目的ダムから『F』のみの治水ダムへ、建設地点を従来の足羽川本流から右支流部子川に変更することで事業継続が決まりました。
2014年(平成26年)より本体工事が着工され、2026年(令和8年)竣工をめどに現在は基礎掘削工事が行われています。
完成の暁には堤高96メートル、堤頂長351メートルの日本最大の流水型治水ダムとなる予定です。

ダムは支流の部子川に建設されますが、足羽川本流など4か所への分水施設と集水トンネルを整備することで流域面積105.2平方キロのうち7割の70平方キロがこれら集水トンネル経由となり、足羽川本流の洪水調節も可能になります。
分水施設及び集水トンネル(国交省足羽川ダム建設事務所HPより)


建設現場は平日昼間のみ、ダム左岸上流側に設けられた展望台から見学可能です。
現在は基礎掘削工事中
勾配60度を超える急傾斜のベルトコンベアに目が釘付け。










展望台にある建設工事マップ。


足羽川ダムの説明板。


建設現場に近接する『ダムギャラリーあすわ』
ここでダムカードがいただけます。


完成すればこんな感じ。

福井ならばまた訪問する機会もあるでしょう。
コンクリート打設が始まれば再訪したいものです。

0952 足羽川ダム(1871)
福井県今立郡池田町小畑 
九頭竜川水系部子川 
 
 
96メートル 
351メートル 
28700千㎥/28200千㎥ 
国交省近畿地方整備局 
2026年竣工予定