2021年11月21日 津賀ダム
津賀ダムは左岸が高知県高岡郡四万十町大正大奈路、右岸が同町下道の渡川水系檮原川にある四国電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
愛媛県新居浜で金属精錬を行っていた住友鉱業(株)(現住友金属鉱山(株))は精錬用電力確保のため大正半ばより四国各所で電源開発に着手します。
渡川水系では傘下の渡川水力(株)を通じて電力開発が行われ、当ダムも1939年(昭和15年)に着工されますが、直後に電力管理法により日本発送電に接収されました。
ダムが未完成のまま1944年(昭和19年)に津賀発電所(最大出力1万8650キロワット)が稼働しダム便覧ではこれを津賀ダムの竣工年度としていますが、ダムが正式に竣工したのは戦後1951年(昭和26年)まで下ります。
そして同年の電気事業再編成により津賀ダムおよび発電所は四国電力(株)が事業継承しました。
その後、河川維持放流による小水力発電を行う津賀発電所3号機(最大550キロワット)が増設されました。
今回は土佐大正から国道439号線を北上して津賀ダムに至りました。
下流面が見れるのは右岸のみ
クレストにはラジアルゲートが10門並び、減勢工は左右両岸に絞りが入った昭和10年代設計らしいすり鉢状。
下流面。
右岸に繋がれた巡視艇。
右岸上流側に集落があり、天端は左岸の国道と右岸を結ぶ生活道路になっています。
上流側には巻き上げ機が並びますが、フェンスで厳重に隔離。
天端から
減勢工は四方形のすり鉢状。
この絞りの形状はほぼ同時期に着工された長沢ダムと酷似しています。
河川維持放流の義務化によって増設された津賀発電所3号機
最大550キロワットの小水力発電を行います。
ダム湖は上流に細長く続き総貯水容量は1930万立米に及びます。
水利使用標識。
四国電力おなじみの発電所説明版。
左岸から上流面
対岸に管理事務所と取水口があります。
管理事務所と取水口をズームアップ。
(追記)
津賀ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
2305 津賀ダム(1752)
左岸 高知県高岡郡四万十町大正大奈路
右岸 同町下道
渡川水系檮原川
P
G
44.5メートル
145メートル
19300千㎥/14000千㎥
四国電力(株)
1944年発電開始
1951年ダム完成
◎治水協定が締結されたダム