ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

阿武川ダム

2020-11-29 02:48:39 | 山口県
2020年11月20日 阿武川ダム
 
阿武川ダムは山口県萩市川上の阿武川水系阿武川中流部にある山口県土木建築部が管理する多目的重力式アーチダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、阿武川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、山口県企業局新阿武川発電所での最大1万9500キロワットのダム式発電を目的として1975年(昭和50年)に竣工しました。
 
ダム湖である阿武湖は総貯水容量1億5350万立米と中国地方最大、地方自治体管理のダムとしては全国第3位、全ダムで見ても全国23位の規模となっています。
また堤高95メートルは重力式アーチダムとして全国第2位を誇り、補助多目的ダムとしては日本最大クラスのダムの一つです。
阿武川ダム完成以降、日本で重力式アーチダムは建設されておらず、阿武川ダムは日本で最後に作られた重力式アーチダムとなっています。 
 
ダム下流にはダム建設工事中に湧出した阿武川温泉があり、温泉施設を抜けると目の前に阿武川ダムが聳え立ちます。
クレストには非常用洪水吐として左右2門ずつ計4門のローラーゲートを、コンジットには3門のバーチカルリフトローラーゲートを装備しています。
ダム左岸(向かって右手)に山口県企業局新阿武川発電所があります。
 
コンジットゲートをズームアップ
ずいぶん低位に位置しています。
 
発電所と放流口。
新阿武川発電所ではピーク発電を行っています。
 
左岸ダムサイトまで上がってきました。
ダムサイトには駐車場や管理事務所があります。
 
堤体から突き出た発電用水圧鉄管。
有効落差76.75メートルのダム式発電を行っています。
訪問時は点検作業中、人や車と比べると鉄管の太さがわかるかと思います。
 
天端はゲート手前で立ち入り禁止。
ゲートピアは被覆され豪雪地帯のダムのようです。
クレストゲートの間にコンジットの予備ゲート運搬用のガントリークレーンがあります。
 
左岸の管理事務所
 
天端から下流の眺め
赤い屋根は新阿武川発電所
副ダムの下流がカヌー競技場となります。訪問時は競技場の整備工事が行われていました。
 
阿武湖と命名されたダム湖。
総貯水容量1億5350万立米は中国地方最大。
 
上流から
堤体上部がずいぶんオーバーハングしています。
左から取水設備、クレストローラーゲート、コンジット予備ゲートと運搬用ガントリークレーン
ガントリーから吊り下げられた予備ゲートはキャタピラゲートのようにも見えます。
 
県ダムとしては日本有数のスケールを誇る阿武川ダム。
できればダム下で行われるカヌー競技を見てみたいものです。
 
追記(追記)
阿武川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2081 阿武川ダム(1573)
山口県萩市川上
阿武川水系阿武川
FNP
GA
95メートル
286メートル
153500千㎥/131500千㎥
山口県土木建築部
1974年
◎治水協定が締結されたダム