世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

サンカンペーン陶磁の銘盤シリーズ #5

2015-03-21 10:41:52 | サンカンペーン陶磁

 写真が見辛い点容赦願いたい。20-25cmの口径の盤が多いなかで、この麒麟文盤は約25cmと比較的大きな部類に属し、翠色に発色した釉薬と鉄絵文様や化粧土が、鎬文状に掻きとられた技巧の良さから、優品の一つである。


 見込み中央の麒麟文は達筆で、絵付け専門の職人の存在を伺わせるほど巧みである。多分同工の手ないしは関連した画工の手と思われるものに、獅子文様の盤がある。下段の写真は、完器ではなく見込み部分の破片だが、そこに描かれている獅子文様である。このように麒麟と獅子文様を見ることができるが、龍文様をサンカンペーンでは見ない。


 尚、麒麟文盤の外側面は無釉であり、高台幅は狭く、低いのは他の多くの盤と共通している。胎土は砂噛みで高台裏は、その為の同心円状の削り痕と唐傘をみることができる。
 出土地がチェンマイ県オムコイ郡メーテン村で、2009年に発掘されており、その履歴が比較的はっきりしている盤の一つである。


KL JLN Ampangの街路樹2題

2015-03-20 11:04:10 | クアラルンプール
 先日の朝、アンパン通りを散歩していると、花の咲く街路樹を見た。見ると遠目は桜のような色合いで懐かしく見える。それはピンクロージィ(英名:Pink rosy trumpet タイ語名;チョンプーパンティツプ)と呼ぶノウゼンカズラ科の花木とのことである。

 結構背が高い。ざっと見20mは越えるであろう。遠見の外観は桜ににている。しかし英名、タイ語名にあるように花弁はトランペットのごときである。落花した花を持ち帰りスケッチしたのが次の写真で、まさにラッパの形をしている。

 バンコクではスクンビット通りで見ることができるが、見たのは2月初旬でKLより半月程度早かった。
 次は黄炎木(英名:Yellow flame tree タイ語:ノンシー)で、KLやバンコクに限らず、東南アジア一帯で見ることができる。天に向かった枝に茶の丸い蕾をつけ、花弁が縮んだような山吹色の花をつける。原産地はマレー半島のようだ。樹皮から抽出される染料がバティックに使われる。

 KLでは都心の通りであるアンパン通りでも、バナナの花や小さな房を付けたものまで見ることができる。シンガポールに巻ける劣らず緑が多い。

KL繊維博物館

2015-03-19 10:56:08 | クアラルンプール
 繊維博物館は主としてバティックや刺繍、現地の繊維素材の染色、機織りの展示であったが、マレーシア国内の各民族の伝統衣装の展示もなされている。今回はそれを紹介する。
 写真左がマレー人の伝統衣装である。右はババノ二ャ(BABA NYONYA)の衣装であるが、途切れているため下に改めて掲げておく。ペナン島で多く見る。

 次はインディアンとキャップションに紹介されている。英国植民地時代にキャメロンハイランドが開発され、ティープランテーションの労働者として、インド南部から多くの人々がやって来た。それらの人々の伝統衣装である。

 下はORANG ASLIの衣装である。オラン・アスリとはマレー半島の先住民族で、18の民族からなり、17の民族はマレーシア(約9万人)に、1つの民族はインドネシアに主な居住地をもつという。身分制による階級社会が残存していると言われ、約6万年前にアフリカから渡って来たと推定されている。
 今から7-8年前の現役時代に、多いときは年4回イポーの現地法人に出張していた。現地のローカル幹部がキャメロンハイランドへ連れて行ってくれた。そこへ向かう途中の谷間の集落に、彼らの居住地があるとのことで寄り道したが、彼らは伝統衣装ではなく、普通の洋服を着用していたことを思い出した。


 次はLotudで、ボルネオ島サバ州に居住する先住民族で、人口は2万人と推定されているらしい。アニミズム信仰とのこてである。

 その次もボルネオのサラワクに居住するIBAN族とのことである。20世紀初頭まで移住と戦闘を繰り返し、首狩り族であったことが知られている。サラワク州南部の丘陵地帯で陸稲の焼畑耕作を営む。豚、鶏を飼育するほかイノシシなどの狩猟、河川での漁労もおこなうという。春日の部族滞在記で取り上げて欲しいものである。




Kuala Lumpur Education Fair 2015

2015-03-16 08:59:10 | クアラルンプール
 3月14日から15日の2日間の予定で、教育フェアーが催行されると云うので出かけてみた。場所はConvention Centreである。出掛ける理由は、文具や教材や教育機器、各種実験機器等々であろうからには一度見学し、当地でどのような教育が行われているか、その一端を見たかったのである。

 行ってみると写真のようなブースが並んでいる。聞くと学生募集のための各種専門学校や医科大学、工科大学、総合大学等々のブースで、教育内容や大学の概要について紹介しているという。あてが外れた。しかし折角行ったので一巡してみることにした。お菓子作りを実演している専門学校があった。パテシェを養成するのだろうか。

 どうでも良さそうで、どうでも良くはないか。英国は旧宗主国であるが、その英国の多くの大学がブースを設けているのは理解できるが、なぜか中国の大学がブースを設けている。東南アジアの最近は中国、中国である。マレーシアで中国の大学が留学生の呼び込みをしている。日本の大学は何している?日本の大学でブースを設けているのは1校もない。

 少子化で、いずれ3流大学は淘汰されるであろうが、少なくとも著名私学が出展しないのはなぜか? 世界大学ランキング2014-2015では、東大23位、シンガポール国大25位、京大59位で東大、京大を除けば日本の大学で100位以内は無い。
 なぜも大学教育の分野でも日本は遅れたのか? 東南アジアの優秀な学生を呼び集め、少子化による大学経営の先細りを補填し、価値観のことなる学生による活性化と知識レベルの向上を図ろうとしないのか? ここで中国に後れをとるわけにはいかない。 もはや国策とすべきであろう。文科省なにをしている、胡坐をかいているばかりでは、教育分野における失われた10年、20年になること間違いなし。

サンカンペーン陶磁の銘盤シリーズ #4

2015-03-15 09:50:35 | サンカンペーン陶磁

 写真の解像度が低く恐縮である。今回は京都・東南アジア陶磁館の敢木丁コレクションから鉄絵四魚文盤を紹介する。


 #1から#3まで紹介した盤は、何れも盤径が25cm以上で、サンカンペーンとしては比較的大振りの盤であった。その中にあって当該四魚文盤は、盤径19.8cmと小振りである。
 文様はシーサッチャナラーイと親縁関係を思わせ、盤全面にわたって魚文が配置されている。見込み中央は、ポピュラーな草花文であるが、これを鱗に見立てており、見込みの下側に魚の頭部を描いている。カベットには三匹の魚が右向きに回遊している文様を描いている。
 先にも断ったように、比較的小振りの盤を銘盤シリーズの中で紹介するのは、文様の構成と澱みのない筆致から、優れた文様であることによる。