写真が見辛い点容赦願いたい。20-25cmの口径の盤が多いなかで、この麒麟文盤は約25cmと比較的大きな部類に属し、翠色に発色した釉薬と鉄絵文様や化粧土が、鎬文状に掻きとられた技巧の良さから、優品の一つである。
見込み中央の麒麟文は達筆で、絵付け専門の職人の存在を伺わせるほど巧みである。多分同工の手ないしは関連した画工の手と思われるものに、獅子文様の盤がある。下段の写真は、完器ではなく見込み部分の破片だが、そこに描かれている獅子文様である。このように麒麟と獅子文様を見ることができるが、龍文様をサンカンペーンでは見ない。
尚、麒麟文盤の外側面は無釉であり、高台幅は狭く、低いのは他の多くの盤と共通している。胎土は砂噛みで高台裏は、その為の同心円状の削り痕と唐傘をみることができる。
出土地がチェンマイ県オムコイ郡メーテン村で、2009年に発掘されており、その履歴が比較的はっきりしている盤の一つである。