世界の街角

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シンガポール・アジア文明博物館#11

2018-06-08 07:47:58 | 博物館・シンガポール

<最終回>

『シンガポール・アジア文明博物館#1』にて、シンガポールの南東600kmのインドネシア・ブリトゥン島に近いジャワ海の沈没船遺物として、大量の長沙窯陶磁などを紹介したが、その沈船遺物は陶磁器のみならず、多くの遺物が含まれていた。今回はその中から金製品を紹介し、後段に余談を記して最終回としたい。

キャップションによると、金・銀製品は数種類に限られている。それらは中国南部で9世紀に作られた。これらはアラブの宮殿で好まれたものである。八角形のワインカップは唐時代のもので、外国の君主への贈り物であったろうと記している。中には白居易の詩文を刻んだものがあったという。

 

 

 

 

 以下、余談である。下に掲げた2葉の写真は、いずれもシンガポール・アジア文明博物館の展示品である。

 この双魚型瓶は、キャップションによれば岳窯で830年頃とある。中国陶磁に双魚が初出するのは、いつであるか・・・不勉強で良く分からないが、知っている範囲では西晋時代・3世紀の越州窯の青磁双魚文洗がある。この洗の双魚は、上掲の双魚型瓶と同じ配置、つまり頭部の向きが同じで、腹部が向き合っている姿である。

2葉目の写真を上掲した。龍泉窯の青磁貼花双魚文盤の陶片である。この龍泉の盤から太極配置となっている。この太極図を中国では陰陽魚と呼び、道教のシンボルである。道家としての太平道は2世紀であるが、神仙思想をもとにした道教は5世紀に形成されたとされる。従って龍泉の太極配置の双魚は理解できる。してみると岳窯の瓶は830年(唐時代)とあるものの、陰陽配置ではない。どうでも良いがナゼ?・・・との疑問を抱いている。

<了>