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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「悪の法則」(監督:リドリー・スコット/2013年)

2014-11-11 | 江戸川乱歩

■製作年:2013年
■監督:リドリー・スコット
■出演:マイケル・ファスビンター、ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、ブラッド・ピット、キャメロン・ディアス、他

私が最近映画をよく見るようになってから、あたりまえですが、いろいろな俳優の名前を知るようになりました。この「悪の法則」という映画は、とても贅沢なビックスターが何人もキャスティングされています。マイケル・ファスビンター、ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、ブラッド・ピットにキャメロン・ディアスといった風です。おまけに監督はあの「エイリアン」「ブレードランナー」「ブラック・レイン」を撮ったリドリー・スコット ( こぼ映画の撮影中にこれまた寡作を残している弟で映画監督のトニー・スコットが自ら命を絶ったそうだ )。強力な布陣の映画で、冒頭からマイケル・ファスビンターとペネロペ・クルスのハードなラヴ・シーンから始まるインパクトあるスタート。以後、凝った映像や過激な映像が展開されていきます。例えば、キャメロン・ディアスが車と戯れるシーンや汚物処理車の中から死体を取り出すシーンなど強烈で、目を焼かれてしまいそうな映像があったりと、映像ならではと言えるものが多く描かれています。

しかし、描かれるエピソードは、悪のど真ん中、つまり、中心ではなく周縁を映し出しており、肝心のこれだ!というのは観客の側に委ねられているという、わかりづらい構造になっています。悪の向こうにさらに悪が潜んでおり、奥深いところに存在する悪 ( 映画ではメキシコの麻薬組織らしく描いていますが、その向こうにも何かあるという… ) ははっきりと描かれていません。見る側の臆測や推測で想像される血も凍るような恐ろしい存在、その確信、中心的存在は描かれておりません。周縁に位置する悪の存在は一様に「俺を巻き込まないでくれ!」と発言します。断片的に思わせ振りに描かれる残虐な出来事に、想像はふくらむばかりです。ある種そこには想像力により肥大化されていくイメージということも見てとれます。半ばそれは神話化されていく存在であるのかもしれません。しかし、一方では核となる存在がオブラートに被われているぶんだけ見る側にとって不完全燃焼に感じてしまうこともあると思いました。曖昧なまま映画は終わってしまいます。後は見る側に委ねられるという…。それが公開時、アメリカで不評を買ったとされる原因なのかもしれません。賛否両論、そんな見方に分かれそうなのがこの「悪の法則」という映画です。

このスッキリしない、わかりづらいと感じる「悪の法則」ですが、私は面白かった方です。もともと映画を見ていて自分自身どの程度ストーリーを把握しながら見ているかははなはだ疑問であり、あれ?あんな人物この前に出てきたっけ?と映画を見ながら感じることはしょっちゅうです。印象や感覚で映像を追っかけている。象徴的かつ超現実的なシュールな映像ならばわからんと素直に言いたくなりますが、この「悪の法則」のような曖昧性は、むしろ大きな勘違いをしながら見ているかもしれませんが、こちら側の想像を刺激され、悪の組織ってホンマにこんなに恐ろしいんだろうか?人間的な良心なんて微塵もない、なんて思いながら見ているからです。でも、この時のポイントとしては映像のセンスがいいか、ということが重要です。カッコいい映像であれば想像はふくらむし、逆に、あまりセンスの感じられない映像だとマイナスな感情をうんでしまうことがありそうだからです。その点ではこの「悪の法則」はドロドロしたことを描きながらスタイリッシュな映像で見せてくれたので、えげつなさやおどろおどろしさは緩和され、ある意味でまだ気を楽にして見ることができたのでした。

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1 コメント

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Unknown (映画マン)
2021-01-18 09:55:10
初めまして。映画ブログを運営しているものです。
悪の法則、とても豪華な俳優さんたちが出演していましたね。
怖いと思うシーンはいくつかありましたが、深い映画だったと思います。
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