飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

偏在する乱歩・A‐J→「甦る江戸川乱歩の世界展」(池袋・東武百貨店)

2010-08-08 | 江戸川乱歩
池袋の東武百貨店の美術画廊で開催している「甦る江戸川乱歩の世界展」(8/4で終了)を見てきました。ところで、ぼくがこのブログを書くきっかけになったのは40歳も半ばを過ぎた時の江戸川乱歩の発見でした。「少年探偵団」など超メジャーな小説家の一人である乱歩は、ボクにとっては、ーこのボクのブログ記事は一番乱歩に関する事が多いのでさぞかし乱歩フリークと思われてしまうのかも知れませんがー、実は彼の作品は読んだことはなくよく知られた怪人二十面相などのキャラクターとともに乱歩の名前だけ知っていたという存在に近かったのです。勝手な先入観で乱歩を見ていて、食わず嫌い読まず嫌いという部類に位置していました。それがあるきっかけで本を手にして、ひとたび乱歩を読んでみるとこれが目茶苦茶面白かった。もう止まらないって感じで、次の作品はどんなだろうと乱歩作品に対して年甲斐もなくワクワクしてしまったのです。今回の東武百貨店の展示の副タイトルどおりで、「乱歩先生、おもしろすぎます。」なのでありました。乱歩の小説は内容もさることながらその文体が読みやすい。これは凄い才能の人だなあと。漫画の世界で言えば手塚治虫くらいのインパクトと存在感があるんじゃないのか?と。



そんなわけで中年の親父が、一時、鞄に江戸川乱歩の本をしのばせ、通勤時間などの空き時間に乱歩ばかりを読み耽るということになってしまったのです。その時に思ったのが、この歳になってなかなか一人の作家に夢中になるなんて滅多にないことだろうな。ただ読み過ごしてしてしまうのはもったいない気がする。こちらは中年になり記憶力が落ちてきているし、正直、一晩眠るとかなりのことを忘れてしまっている。折角の読書体験をなにかの形で残せないものかと…。ボクなりの備忘録を作ればいい?そんな役目を持たせてブログを書きはじめることにしたのです。ボクにとってはブログを書く時の入口にいた江戸川乱歩ですが、最近はめっきり遠ざかってしまっているのが現状です。こうした乱歩関連のイベントなどが開催される時に、足を運んで記事にするという感じになってしまっています。ただ、ある時期集中して追っかけていたこともあるので、今回のイベントのように美術ギャラリーという小さなスペースでも、ひとつひとつの展示物に充実感を感じ取ることができてとても面白かったです。



この展示には「甦る」という修飾語がタイトルに付いているのですが、何が甦るかというと江戸川乱歩にインスパイアされたアーティストらの作品の展示が中心だからです。文字の世界で活躍した乱歩が作り上げた世界が生前のみならず死後時間が経ってもなおも影響力を放ち続けている。横尾忠則は講談社から出版された全集のイラストを描いている。あるいは自らの絵に度々少年探偵団が登場する。丸尾末広はつい最近「パノラマ島奇譚」「芋虫」を描き強烈で完成度も高い作品を発表した。石塚公昭は江戸川乱歩をを初めとする文豪らの人形をユニークな設定で作っている。橘小夢は乱歩の小説の挿絵を強烈なイメージで描いた。藤田新策は新しくなったポプラ社の少年探偵団の本の絵を、多賀新はオドロオドロしいその絵が文庫本の乱歩全集の表紙を飾っている。それらの作品は過去に情報を見つけてはまめに見てきたものが多いものの、何度見てもこのアーティストはどうしてこのようなイメージを作ったのだろうかなんて思い巡らすことができるので、たとえ小さなスペースの展示でもけっこう楽しいのであります。



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