飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

永遠の妖女#34・・・ビアズリーのサロメ

2008-03-27 | サロメ
オーブリー・ビアズリー「ベリーダンス」(1894年)

ここまでサロメについていろいろと書いてきていますが、ボクにとってのサロメはビアズリーの妖艶な挿絵から入っていったように思います。何といってもビアズリーのその絵は、悪魔的、退廃的、倒錯的、装飾過多・・・などといった形容詞がピタリとはまるエロティシズム溢れるインパクトがあります。初めて観たときは何とスゴイ絵なんだと、以来サロメといえばビアズリーの絵による魔性の妖女というイメージが焼きついてしまい、それを払拭するのが難しいほどであります。

調べてみるとオスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の挿絵として、ビアズリーがサロメを書いたのが22歳の時。22歳!すごい若者じゃないか。それは神様から贈られた才能とでもしか言いようがない。彼が生まれた年は1872年。短すぎる26年間を駆け抜けるように満ち溢れる才能を輝かせながらいっきに突き抜けていったのだ。

そのビアズリーについて荒俣宏は、“オーブリ・ビアズリーの作品は、世紀末を飾った、というよりはむしろ、世紀末を驚かせた”と言っている。 その理由は二つあって、“男性性器の描写にに集中した”“彼のあからさまなエロティシズム”と“醜悪なしかめっ面と、下卑た笑い顔とに強制的に 変更させられた”“渋面をつくる女たちの描写”であると。彼は“世紀末の人々に向け、心当たりのある人々は憤りのこもった 赤面を、また思いがけなぬ魂の真相を突きつけられた無知な人々へは、歓喜を秘めた狼狽を、おのおのもたらした”のであり、 それ故にビアズリーは世紀末を驚かせた画家であったのだとしているのである。なるほど当時のイギリスは知る由もないが、 言いえて妙な荒俣の指摘ではないだろうか?(「ビアズリーとロンドン」学習研究社より引用) ちなみに、彼が生きた同時代シーンには何が起こっていたのか?

 1876年ギュスターヴ・モロー「出現」
 1882年ワーグナー「パルシファル」、ルドン「エドガー・ポーに捧ぐ」
 1884年ユイスマンス「さかしま」
 1886年スティーブンスン「ジキル博士とハイド氏」
 1887年コナン・ドイル「緋色の研究」
 1888年切り裂きジャック事件
 1891年ランボー没
 1893年ムンク「叫び」
 1897年クリムト、ウィーン分離派結成

ちなみにオスカー・ワイルド作・ビアズリー挿絵による「サロメ」が出版されたのは1894年。その「サロメ」が リヒャルト・シュトラウスによってオペラ化され初演されたのが1905年。ビアズリーは世紀末の申し子として彗星のように現れ、そして世紀末を驚かせたんだなと年譜で見てもそう思う。

先の荒俣宏の言葉にもあったが、ワイルドの絵には様々な秘密が隠されているという。たとえば「サロメの化粧」、彼女が坐る椅子の背もたれは偽装した男根。


しかしこの「サロメの化粧」は出版に際して検閲があり、描き直したバージョンがある。そちらの方ははサロメを見ながら少年が自慰をしている。過激なのである。ちなみに書き直した絵の方にある本のタイトル、「サド侯爵」があるという。


同じように描き直したものがある「ヘロデヤ登場」である。右に描かれた少年は全裸になっている。それが出版社にとってはよくなかったらしい。


それが挿絵として掲載された時は、少年の陰部は無花果の葉で隠されている。が、もうひとつ隠されたものがあってそれは右側のへんちくりんな男で、異様に服が突っ張っているがそれはこの男が勃起しているのだという。ロウソクの火はその一物を焙っている。(熱そう)


こちらはサロメの冒頭の部分を描いた「月の中の女」。物語を支配する月があるが、オスカー・ワイルドの顔。ビアズリーとワイルドは仲があまりよくなかったらしい。ボクはワイルドの顔がオラウータンに見えてしまうのだが・・・。


象徴的な秘密に満ちたサロメでありました。

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2 コメント

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スタジオ・プライア (大阪 ベリーダンス)
2008-04-02 20:47:06
勉強になりました^^
返信する
みていただき (飾釦)
2008-04-03 08:30:19
ありがとうございます。
返信する

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