飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

乱歩NO.84・・・「妖しいメロディの美女 仮面の恐怖王」

2009-11-04 | 江戸川乱歩
■放送:1896年7月5日、テレビ朝日
■主演:北大路欣也、夏樹陽子、かたせ梨乃、坂上二郎、他

江戸川乱歩が生んだスーパーヒーロー・明智小五郎をテレビドラマ“美女”シリーズにおいて代名詞となるくらいの名演技で魅せてくれた天地茂。彼の死後、二代目として演じたのがこれまで見てきた北大路欣也であるわけす。明智小五郎=天地茂のイメージが強い中での演技なので、ある意味やりづらく相当なプレッシャーもあっただろうと容易に想像できるのですが、そこは北大路欣也、彼の個性を生かした天地茂とはまた違った明智小五郎像を見せてくれました。今回の作品は、その北大路欣也が明智を演じた第一作目の作品です。

ドラマで明智小五郎と対抗する形で登場する「恐怖王」、これはそうとは名乗りませんが完全に乱歩が生んだもう一人のスーパーヒーロー「怪人二十面相」その人であります。ですからその騙しのトリックが、とてもユニークでかつ漫画的であり、もとから笑えるほどに面白い要素を多分に持っているのです。もともと怪人二十面相というキャラクターは、殺人行為などせず、大の大人が小林少年と大真面目に探偵ごっこをしているのか?としか思えないほどに、微妙な立ち位置と動き方を見せるユニークで愛すべき悪人ヒーローです。ですので“美女”シリーズの小林少年が、成人男子で小説のような八面六臂の活躍をしないとなると、その変わりを明智自身でやるしかないということになってきます。そうなると恐怖王とのある種滑稽にも見えてしまう対決を大人の二枚目俳優が真顔で演じるわけで…、そのアンバランスさがこの“美女”シリーズの魅力の一つなのですが、北大路欣也はそれを堂々と演じきっておるのです。

しかし、恐怖王というキャラクターを持ってきながらも物語の展開はそれを突然、無視するかのように、別の犯罪者が登場します。恐怖王はあくまで狂言回し的な存在になってしまいます。ですから、恐怖王は逮捕されることなく、次回の登場を予感させながら明智の前からさってゆくのです。(全く二十面相と同じように)しかし、この恐怖王はその後、北大路欣也が明智小五郎を演じた“美女”シリーズには登場することはなかったのですが…。その意味で一体恐怖王はだれだったのか?それは謎のままこのシリーズは終了していまいます。

もったいないのは、せっかく夏樹陽子というセクシー度満タンの女優をキャスティングしながら色っぽい場面がなかったこと。あるいは、かたせ梨乃が演ずる役どころがレズピアンであるとしながらも濡れ場がなかったことです。かつて天地茂が明智小五郎を演じた“美女”シリーズはそうしたちょっとエッチなシーンも売り物のひとつであった。そうした要素がなくなっているのは少し残念です。

ただ、別にシリーズ最強ともいえる明智小五郎の驚愕の変装シーンがあります。それは見てのお楽しみで、おったまげて椅子から転げ落ちてしまうなんてことになるかも…ね。

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