新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

日本のラグビーとスーパーリーグ

2016-04-25 07:56:12 | コラム
我が国のラグビーが進歩したことは認めるが:

些か古い話になってしまった恨みが残るが、23日に東京で開催されたラグビーのスーパーリーグなるもので、参加以来7戦全敗だった我が国の「サンウルブズ」と称する混成テイームが、アルゼンチン代表を主力とするジャガーズと対戦した試合は、最初から最後までテレビ中継で観戦した。報道によれば、W杯の前日本代表のヘッドコーチだったエデイ-・ジョーンズ氏はその不成績を評して「すっかり以前の日本のラグビーに戻っていた」と指摘したそうだ。

私は勝つか負けるかよりも、数えていたわけでもないが、妙な髪型をして両腕に入れ墨を入れたような外国人(帰化したか否かの問題ではない)が何人いるかにも注目していた)を含めて選抜された連中がどのようなラグビーを展開するかにも大いに興味関心もあった。即ち、このサンウルブズなる準日本代表テイームにはあのW杯の代表たちが数多くいるからだ。因みに、準アルゼンチン代表の戦績は1勝6敗だったそうだ。

結果的には終始押し気味だったジャガーズが最後の最後にガス欠状態になって無用な反則を犯してペナルテイー・キックを決められたり、奮起した日本代表の立川が見事なトライを決めるなどして38対26で見事に初勝利となったのは結構だった。

だが、私のようにどちらかといえば我が国のラグビーを批判的に見る冷静な(サッカー経験者の)評論家にとっては疑問に感じる点が残っていた。戦術的な面から見れば、W杯ではジョーンズ氏が南ア戦(だけだった訳でもあるまいが)に備えて徹底的に体力と身体能力を鍛え上げて、誤ったカタカナ語にいう「フィジカル」(この後にストレングスをつけて初めて意味を為す)を強化したので、大きな外国人に当たり負けしなかったのだった。だが、あのジャガーズ戦を見ている限り、最早あの時の当たり負けしない力はかなり希釈されていたにも拘わらず、それを頼りにしていたのではないかというか、多少の過信があったのが苦戦の大きな原因の一つだったと見た。

次に気懸かりだった点は、勝因の一つだと思ってみていたサモア出身のトシ・ピシなるスタンド・オフの存在が大きかったということ。ラグビー界では3年だったかその国でプレーすれば代表に云々という規定があり、我が国では多くのラグビー強豪国の連中を補強している。規定がある以上それはそれで良いと言わざるを得ないが、ジャガーズにはアルゼンチン以外の者がいたかと言えば、少なくとも放送中には一切言及されなかった。それにあの私には大いに疑問に思える風体の者たちを一国の代表に加えてまで「世界」に出ていく理由と根拠には疑問を抱かざるを得ない。

トシ・ピシは多くのキックを決めて大いに勝利に貢献したのは間違いない。一方にのジャガーズは前半にトライ後のコンバージョンを3度失敗して言わば当然の権利だった6点をあっさりと失う、一寸相手を舐めたような失態があった。私はこれは後になって効いてくると思ってみていたが、その通りになっていた。ジャガーズがリードしていた間のラグビーを見ていれば、どうやら彼らの力が上かと思わせていたが、あの6点の失敗が示す油断が敗因だったと断定したいほど力に差は認められなかった。

マスコミは何回負けたの、初めて勝てば歴史的な一勝などと騒ぐが、私はそういう問題ではないと思っている。あのような辛い試合を数多く経験しない限り、白人を主体とする身体能力に優れた連中と互角に戦える力がついてこないのだから、勝った負けたの視点からは論ずるべきではないと言いたい。但し、我が国独特の決まり切った形でスタンド・オフからスリークオーターバックスに展開していくラグビーは明らかに世界では前世紀の遺物で、自由自在にパスを回す方式が一般化していると見ている。

身体能力の強化の後は日本人独特の敏捷性と器用さを活かすバックス間の展開を考えないと、何時まで経っても外国人の体の大きさに圧倒されてしまうだろうと思っている。また、外国人たちは「我こそは」との自己主張がきついので、素晴らしい個人技を展開してはくれるが、テイーム全体の為を考えることは動もすると二の次になる嫌いがある。その点をどう活かすかも指導者の問題だが、指導者に外国人を連れてくる限り永遠の課題として残りはしないか。


2 コメント

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Unknown (kazk)
2016-04-25 20:49:26
お久しぶりです。
サンウルブスに関しては、まあようやっと勝ってくれた、という思いとまあこんなものかな、という思いとがありましたね。スーパーラグビーに参加してすぐに良い結果なんて出るはずありません。今季は3勝もできれば御の字と思ってました。全敗もありと思ってたくらいですから。

とにかくこのチーム準日本代表といえば言えないこともないかな、という感じのチームです。とにかくスタートはそれなりに早かったのですがいろいろなゴタゴタでリクルートに失敗した、というのが実態です。このためセットプレーの練習ができず準備不足は明らかでした。サッカーと異なりラグビーのセットプレーの準備不足は即成績に響きます。特にセットスクラムはひどく人が入れ替わるとこうも狂うかと思ったものです。

今回相手のジャガースは正真正銘準アルゼンチン代表と言って良いチームです。ほとんど自国人で固めてるチームです。アルゼンチンは御存知の通りRWCで4位という強豪ですが、昨日のメンツだけでもおそらくワールドカップの本選でベスト8には入ろうという連中です。それだけスーパーラグビーのレベルが高いという裏返しなんですが、連中だって苦労してるということなんです。

代表がどうあるべきかは確かに議論が有るところですが、外国出身選手、特に帰化して日本人となった連中はそう問題があるものとは小生思ってません。NZやスコットランドやウェールズの代表にだって外国出身選手はおり実力で出てきてるのですから総問題はないものと認識してます。
外国人は代表の場合、完全に特定のポジションに集中しています。即ちFW3列とセンターです。はっきり言ってロックはなんとかなる所まで来ましたがここだけは本当に何ともなりません。レベルが違うのです。これは何も民族的特性とやらの問題ではなく単純にラグビーの強化の遅れです。97年の145のおかげで日本のラグビーは完全に狂いました。愚かなことを8年以上続けたのです。その報いが今来てるということだと思ってます。

ラグビーはプロ化とワールドカップ体制で完全に世界が変わったのですが、一番重要な時期に協会が馬鹿をやり続けたのです。本当はこんな事10年前にやらなければいけなかったことなのです。

ともあれアルゼンチンの本当の実力を見てみるのが良いと思います。これはワールドカップのセミファイナル、オーストラリア戦です。
結果的にアルゼンチンが玉砕した試合ですが、このラグビーは2015の語り草になると思われるものです。
https://www.youtube.com/watch?v=mvHoL-owIq4

小生などはラグビーはここまで来てしまったか、という思いを持ったものです。


Unknown (kazk)
2016-04-25 21:04:42
そうだ、一つ忘れてました。
実は日本代表は実はアジアラグビーチャンピオンシップという大会に代表を送り込んでるんですがそのメンツは完全に2軍以下です。本来これは2019のRWCに大きく響くはずのものでしたが、日本は開催国枠でなく予選リーグ3位に入りましたので予選免除になりました。だからこんなことをやっても良いのです。

代表の最強の連中は海外で腕を磨き、アジア選手獲などは2軍の人材の発掘の場で良い、そういう所まで来てるのです。これで7人制の世界でオリンピックで結果を出し、代表の真の強化を進めれば2019はある程度以上の結果は間違いなく出ます。
あれだけバカやり続けたラグビー協会が何とかなったのですからJFAもアジアではもはや敬遠されて試合が出来ないくらいになってもらいたいものです。

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