新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

深紅の大優勝旗

2022-08-25 10:34:41 | コラム
Victoribus Palmae:

今回は目出度く初めて東北の地にこの深紅の大優勝旗を持ち返った仙台育英高校の優勝の話ではないのだ。

この大優勝旗に示されている外国語を見て、直ぐに「勝者に栄光あれ」と分かる方は、かなり次元が高い高校野球通だと思う。私は昭和24年(1949年)にこの深紅の優勝旗を湘南高校の校長室だったか職員室で、日曜日のサッカー部の練習が終わった後に見て、不届きにも触れることが出来たのだった。反省を籠めて言えば、無人の部屋に皆で忍び込めたということ。戦前からの優勝旗だったから、かなり草臥れていて綻びもあったが、そこに“Victorbus Palmae”とあったのは、何のことか誰にも解らなかった。

何故、そこに優勝旗が飾ってあったのかといえば、湘南高校の野球部は最初で最後の夏の甲子園野球に出場して、誰も予想できなかった優勝を成し遂げて、その深紅の大優勝旗(と呼ぶのだそうだが)を持ち帰ったのだった。凄いことを成し遂げたのだったが、我々サッカー部の者たちは「野球部もやるじゃないか」といった程度の受け止め方で、1回でも勝てば大手柄だろうなどと言っていた。

と言うのも、我々は昭和23年の第3回福岡国体の高校の部の決勝戦で、広島師範附属高に0対1で敗れたという実績を残していたので、まさか野球部が我々に優るような成績を甲子園で残して帰ってくるとは予期していなかったのだった。だが、その予想が外れたために、その大優勝旗を目の前で拝むことが出来たのだった。私はそれほどの高校野球の通ではないが、たった一度出て優勝した公立高校が他にもあったのだろうか、少なくとも戦後に。

ところで、そのVictoribus Palmaeだが、ラテン語だと知ったのは数年後の上智大学でのことだった。別に上智大学で教えて貰えた訳ではないが、ラテン語だとは分かったので、個人的な興味で調べてみただけのこと。また、教授である神父様には上智大学の校章にLVとあるのは、“LUX VERITATIS”というラテン語で「真理の光」の意味だと教えられたのも、Victoribus Palmaeとは何の事かと調べてみる気を起こさせてくれたのだった。

今回は、念の為に検索してVictoribus Palmaeの意味を確認してみた。発音は「ビクトリブス・パルマイ」とかになるそうだ。Victoribusはラテン語では複数形を示していて、優勝した学校の勝者は複数であることになるとあった。戦前にこのようなラテン語を優勝旗に掲げたとは、朝日新聞社は往年には知性が高かったようなのかなど感じた次第だ。なお、現在の深紅の優勝旗は作り直した物のようである。