英語で日本語を教えることになった。といっても、来て三年。普段から語学修練が嫌いな私のレベルは、正直ひどいもの。では、何故私にその大役が・・・・。帰国した友人が私を推薦したらしい。初めてのこと。教会で私を待っていたのは、帰国しタ友の両隣の住人、そして自分のクラスに日本人の男の子が入ってきて、コミュニケーションに困り果てている、切羽詰まった学校の先生の女性三人だった。切羽詰った教師は、さすがに飲み込みが早い。そして、三人ともがもともと、日本人に対して好意的で、私にとっては非常に居心地が良い。考えていた内容は突っ込まれてしまうと、説明にしどろもどろ。日本語ってどうしてこんなに説明するのが難しいのだろう。楽しい時間の中で、出てくるのは、友人の話だった。たまたま、ここで知り合った日本人同士はもともと縁もゆかりもない。それぞれの事情で帰国したり、残ったり。別れを惜しむよりも、これから先もどうやって、良い関係を保っていけるかを考えることにしていた。そうやって私は、ひとつひとつの別れを悲しまないでいこうとしてきた。友人が帰ってもう何ヶ月になるのだろう。彼女が残していった物に触れた私は、初めてここに居ない友を実感し、涙が止まらなかった。
