後期授業がスタートし、臨時講師として雇ってもらうことになる。授業数が少ないので、バイトもやらないとなあ~。
新学期の打ち合わせに参加し、何人かの講師の方とランチを食べに行く。石焼ビビンバ定食。美味しくてファンになり、三回目。
実は、その講師の方のおひとりから、姪御さんのピアノコンサートのチケットを買った。レストランを借り切っての、飲み物つきのコンサートだった。7月に行われたのだが、私がそこで、一番感動したのが、誘ってくださった先生のお着物姿だった。
地味な色、黒を貴重とした、大島のようなアンサンブル。着物についてほとんど知識のない私なので、お恥ずかしいが。。。とっても、地味でいて優雅で、先生の白髪の入られた髪ともマッチしていた。もともとおきれいな方でもあるのだが、知性が加わってきりりと凛とされている。背筋が伸びているが、どこか柔らかな伸び方で、スーツにハイヒールというイデタチにはないものを感じた。
そこで、当然のごとくに、その時の話になる。お着物姿素敵でした。
すると、先生から”ありがとう”といわれながら意外なお話を聞くことになった。
先生は、大学でも留学生に日本語を教えていらっしゃるのだが、その職場での話。
日本文化を継承させるとまでは言わないまでも、日常的に着物を着たいと思っていらした先生は、洋服と合わせて、着物で授業をされる日もあった。すると、同僚の女性、それも、先輩から場をワキマエるようにとの注意があったとか。不愉快になるとも言われたらしい。それも、大勢の講師の前で・・・・
え?と、ランチに居合わせた一堂(4人です)が驚いた。どうしてだろう?理解できない。着物は特別にお茶会、結婚式にだけ着るものではないはずだ。そりゃあ、振袖を着ていけば場違いになるかもしれないが、先生のあの着慣れたご様子ではそんな場違いな着物をお召しになっていたとも思えないが・・・。
私は着物を着たいと思っている。
大柄で、似合わないよ~なんて、自分も思っていたが、実は20代の時に、着物のモデルになってと言われたことがある。大柄な人の方が、綺麗に柄が出ていいのよと、いうのが理由だった。お金に関係ない着物を着せてもらったので、随分といい思いをした。
ただ、日ごろ着慣れないから、七五三状態になってしまう。そこで、もっと気軽にカジュアルに着物を着たいと日ごろから思っている。
問題は値段だ。着物の値段は、洋服の値段と一桁も二桁も違う。カジュアルにきられるわけがない。
前述の先生がおっしゃるに、だから、着物は受け継いでいくものと。祖母の着物、母の着物と受け継いで行けばいいのよ。
だけど、私のように、母親と極端に体型の違う人はどうすればいいのだろう。母の着物は一枚も残さず処分してしまった。祖母の着物に関しては、孫はわからない。
しかし、先生の功は、こうやって着物を着ない、着てこなかった世代にも、着てみたいと思わせるところにもあるではないか。
このままいくと、日本の伝統である着物は、妙なアレンジを加えられた奇抜なファッションの一端を担うか、特別な人が、特別なときに、特別なところに着ていくだけのものになってはしまわないだろうか。
女性の足を引っ張るのは女性。いやいや、先生がんばって、着て下さい。心から応援しています。