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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

歴史編(11)茜さす

2009年07月27日 | 歴史編
【掲載日:平成21年6月29日】


あかねさす 紫野むらさきの行き 標野しめの行き
          野守のもりは見ずや 君が袖振る

【蒲生野は、水田の下に静かな眠りについている】


天智七年(668) 
都が近江へ変って一年余り 
遷都騒動も ようやく落ち着きを見せていた 
時は春 
ここ蒲生野がもうのでは 薬狩りが行われている

額田王ぬかたのおおきみは お付きの女官と共に 久方ぶりの 楽しみを味わっていた 

カツ カツ カツ 遠くに響くひづめの音
何気なく 仰ぐと  
あれは 大海人皇子おおあまおうじ
(あれ あんなに袖を振って わたしを誘っている) 
ふと 額田王おおきみは 二人の若かりし日を思った
(はしたないことを 人目もあるに 
 昔と変わらぬ皇子だこと) 

大海人皇子は 馬を近づける・・・ 
それを見やって 額田王おおきみは うたい懸ける
あかねさす 紫野むらさきの行き 標野しめの行き 野守のもりは見ずや 君が袖振る
《春野摘み 野守見るやん 行き来い きして うち、、向こて 袖なぞ振って》
                         ―額田王―(巻一・二〇)
近づく大海人 思わず 馬を止め 
微笑ほほえみかけながら うたい返す
紫の にほえるいもを 憎くあらば
人妻ゆゑに われ恋ひめやも

《そういな 可愛いお前に 連れ合いが るん承知で さそたんやから》
                       ―大海人皇子―(巻一・二一)
にっこりと 微笑み返す 額田王ぬかたのおおきみ

「ワッハハハ・・・」 
豪快な笑い声を残し 駆け去って行く大海人皇子 

蒲生野に 春の日差しが揺れている 



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