令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・変そして因幡へ編(07)昔の人し

2011年12月23日 | 家待・変そして因幡へ編
【掲載日:平成23年12月23日】

うつり行く 時見るごとに
         心痛く 昔の人し 思ほゆるかも




目まぐるしい  状況変化の中
六月二十三日 三形みかたおう屋敷にての うたげ
家持 詠いし心 何処いずれ

うつり行く 時見るごとに 心痛く 昔の人し 思ほゆるかも
《時うつり 世うつたびに 胸痛い うなった人 思い出される》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四八三)

昔の人は 橘諸兄もろえなりや
こうしんかなめを偲び 橘諸兄もろえ有りせばか・・・

六月二十九日 最終謀議ぼうぎ 塩汁すすり 蜂起ほうき誓い
七月 二日 夕刻を期し
田村藤原仲麻呂なかまろ邸襲撃
仲麻呂 殺害 
皇太子・皇太后・孝謙帝退しりぞけ 
王位 交替実現

六月末より 密告しき
山背王やましろおう巨勢堺麻呂こせのさかいまろ上道かみつみちの・犬養佐美麻呂・佐味さみの宮守みやもり
蜂起ほうき計画 筒抜け

二日 より 逮捕相次ぐ
拷問ごうもん撲殺ぼくさつ
黄文きぶみおう道祖王ふなどおう・大伴古麻呂・丹比たじひの犢養うしかい・小野東人あずまひと賀茂かものつのたり
 流罪】
安宿あすかべおう夫妻・佐伯さえきの大成おおなり・大伴古慈斐こじひ丹比国人たじひのくにひと・大伴駿河麻呂・答本たほの忠節ちゅうせつ
 失脚・投獄・獄死?】
丹比たじひのいや麻呂まろ・大伴池主・丹比鷹主たじひのたかぬし・大伴兄人えひと

再三誘い受けし 佐伯さえきの全成またなり 自白後自害
くわだて知りし 右大臣藤原ふじわらのとよなり・三男乙縄おとただ 左遷
記録 は触れない 首謀者奈良麻呂
おそらくは 極刑きょっけい免れ得ず

騒然そうぜんたる 変後の 内裏だいり内外
一人  家持は 身を振り返っていた

咲く花は うつろふ時あり あしひきの やますがの根し 長くはありけり
《美しに 咲く花何時いつか おとろえて 菅の根だけは 長う伸びとる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四八四)

時の花 いやめづらしも かくしこそ あきらめめ 秋立つごとに
《秋の花 見事咲いてる 秋ごとに 花見て心 晴らされてたな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四八五)

 花も移ろい 時も移ろい 人もまた・・・
 伴造とものみやつこ役目の心決め 悔いはせぬが・・・
 独り 残って仕舞しもうた
  あの人も この人も
  花見ての 心晴らし されていたに
  見ても 晴れぬわ)

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