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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

蟲麻呂編(8)火もち消ちつつ

2009年10月06日 | 蟲麻呂編
【掲載日:平成21年10月20日】

・・・燃ゆる火を 雪もちち 降る雪を 火もちちつつ・・・

【足柄峠から見た富士―凱風快晴―】


東海の道 
西にたどる一行がいる 
任解かれて 上京の旅  藤原宇合主従だ 
養老五年〔721〕春 
菜の花の向こう 富士が見える 
裾を 大きく引き  
見渡す限りの  野が 西に東に 広がっている
中ほどに 雲が巻き 
いただき 雪の中 噴煙けむりが昇り 火が赤い

一行に 遅れて 虫麻呂 筆を運ぶ 

なまよみの 甲斐かひの国 うち寄する 駿河するがの国と こちごちの 国のみなか
出で立てる 不尽ふじ高嶺たかね
 
《甲斐のお国と 駿河国するがくに 二つの国の まん中に デンと控える 富士の山》 
天雲あまぐもも い行きはばかり 飛ぶ鳥も 飛びものぼらず 
燃ゆる火を 雪もちち 降る雪を 火もちちつつ 
言ひもえず づけも知らず くすしくも います神かも
 
てん行く雲も 行きよどみ 空飛ぶ鳥も のぼられん
 噴火の炎  雪が消す 降り来る雪も 火が溶かす
 言うことなしの 神の山》 
石花の海と 名づけてあるも その山の つつめる海そ 
不尽河ふじがはと 人の渡るも その山の 水のたぎちそ
 
石花の海うんも せき止め湖 富士川流れも き水や》
もとの 大和やまとの国の しづめとも います神かも たからとも 
れる山かも 駿河なる 不尽の高嶺は 見れどかぬかも

《鎮めの山や この国の 宝物たからもんやで この国の ほんまえ山 富士の山》
                       ―高橋虫麻呂歌集―〔巻三・三一九〕 

不尽ふじに 降り置く雪は 六月みなつきの 十五日もちゆれば その降りけり
富士山ふじさんの 積もった雪は 真夏日に 消えたらその晩 もう降るんやで》 
                       ―高橋虫麻呂歌集―〔巻三・三二〇〕 
不尽の嶺を 高みかしこみ 天雲あまぐもも い行きはばかり たなびくものを
《雲行かず 棚引たなびいてるは 富士山を 高こうて偉い おもてるよって》
                       ―高橋虫麻呂歌集―〔巻三・三二一〕 

〔わしも 富士のように れぬものか
 雪をかぶっていれば いい 顔色見せずに
 雲が ちまたわずらい おおってくれる 
 誰もが あがめ たてまつる
 何よりも 孤高ひとりでいられる〕
思いとは別に 虫麻呂の心は つぶやく 
〔独りは・・・〕 



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