令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(04)小田(をだ)なる山に

2011年08月09日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年5月3日】

・・・とりが鳴く あづまの国の 陸奥みちのくの 小田をだなる山に 黄金くがねありと・・・


歌作りの心は 高揚こうよう芽生めばえを見ていた
 人麻呂殿 赤人殿の名を 
 確固たるものとした長歌ちょうか
 その長歌 何としても おのれのものとせねば〕 
思いにふける家持のもと
感涙 の 文書が届く

先の 僧へいえいらいえつ時には もたらされなかった
天下公民に発せられた『黄金こがね出土』の詔書しょうしょ
大伴おおとも佐伯さえき両氏に 言葉及び
《・・・その祖先 朝廷親衛軍として つかえ来たり
 功績甚大じんだいにして 今に及ぶ
 子孫 たるもの
 同じ の心もて 仕え奉るを旨とし・・・》

大伴家の本領とする 伴造とものみやつこのその名
帝の 詔書しょうしょに 麗麗れいれいしく記載
家持 感奮かんふん極に達し
ほとばし胸中むねなか 口をいて 歌となる

葦原あしはらの 瑞穂みづほの国を 天降あまくだり らしめしける 
皇御祖すめろきの 神のみことの 御代みよかさね 天の日嗣ひつぎと らしる 君の御代みよ御代みよ
 
あし育ち みのり豊かな この国を 天下あまくだられて おさめ来た
 ご先祖せんぞかみは だい重ね 後をがれて おさめらる 天皇すめらみことの 御代みよ御代みよに》
きませる 四方よもの国には 山川を 広みあつみと 
たてまつる 御調みつき宝は 数へえず くしもかねつ
 
《おおさめなさる 卿々くにぐには 山川おおて 豊かやで
 献上けんじょうされる 宝物 数え切れんに 多数ようけある》
しかれども 我が大君おほきみの 諸人もろひとを いざなひ給ひ 善き事を 始め給ひて 
黄金くがねかも 確けくあらむと 思ほして した悩ますに
 
《そうした中で 聖武帝おおきみが 民に呼び掛け 導かれ 大きな事業 起こされて
 黄金こがねの量が りるかと 心ひそかに なやまれた》
とりが鳴く あづまの国の 陸奥みちのくの 小田をだなる山に 黄金くがねありと 
申し給へれ 心を あきらめ給ひ
 
《丁度その時 陸奥みちのくの 小田おだの山から 黄金こがね出て
 知らせを受けた 天皇おおきみは 心晴れ晴れ なさられて》
天地あめつちの 神あひうづなひ 皇御祖すめろきの 御霊みたま助けて 
とほき代に かかりし事を 御代みよに あらはしてあれ  す国は 栄えむものと
 
《「起こした事業 たふといと 天地神々かみがみ 思われて ご先祖御霊みたま ご加護
 遠い昔に 起きたのと おんなじことを 我れに 起こされたんは この国が 栄える証拠あかし 違いない」 
かむながら 思ほしめして 物部もののふの 八十やそともを 衣従まつろへの 向けのまにまに 
老人おいひとも をみな童児わらはも が願ふ 心だらひに で給ひ おさめ給へば・・・・・・
 
おおせなされて 諸々の 臣下の心 まとめられ
 おいわかきも おんなも 願うところの 安らぎを 得られする様に 申された・・・》
                              【「にこそ死なめ」へ続く】


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