令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(34)越(こし)に五年(いつとせ)

2011年04月22日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年8月19日】

級離しなざかる 越に五年いつとせ 住み住みて
             立ち別れまく 惜しきよひかも




天平 勝宝三年(751)七月十七日
さくねんらいの び家持に
少納言 昇進 転任の報が届く

 長い 勤めであった
  都へ 京へと 思い過ごせし日々
  しかし いざ決まってみると
 妙に こし生活くらし 懐かしい
  心許しの友が 支えじゃった
 そう云えば 久米広縄ひろつな 租税報告に上京中
  逢えぬが 心残りじゃ
 そうそう これは 二月の出掛けどきの歌)

君がき もしひさにあらば 梅柳 たれとともにか 我がかづらかむ
《行って仕舞て なごうなったら わし誰と 梅と柳で かずらするんや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二三八)

 せめてもの 挨拶歌 残してやらねば)

あらたまの 年の長く あひてし その心引こころびき 忘らえめやも
年月としつきの なごう同じに つかえした 心くしを わし忘れんで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二四八)
石瀬野いはせのに 秋萩しのぎ 馬めて 初鷹狩とがりだに せずや別れむ
石瀬野いわせのへ 萩みしだき 馬並べ 一遍鷹狩かりに 行きたかったな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二四九)

いよいよ  出発の日
内蔵縄麻呂くらのつなまろ屋敷での 別れのおおやけうたげ
家持  
帰りたく もあり 帰りたくも無しの心

級離しなざかる 越に五年いつとせ 住み住みて 立ち別れまく 惜しきよひかも
《こここしに 五年の年を 過ごしたな 今宵限りや 名残なごりが惜しな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二五〇)

皆々 見送り途上 射水郡いみずのこおり郡司ぐんじ 屋敷前にて 待ち受けの餞別はなむけ

玉桙たまほこの 道に出で立ち 行く我れは 君が事跡こととを ひてし行かむ
《別れ道 都へ帰る このわしは みなの働き 伝えて来るぞ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二五一)

別れにと立ち寄りし 越前じょう 池主の館
なんと 偶々たまたま 帰路の久米広縄ひろつなが 居合わす
三人の 飲楽うたげ 久方話ひさかたばなしに 花が咲く

君が家に 植ゑたる萩の 初花はつはなを 折りて插頭かざさな 旅別るどち
池主あんた庭 植えた秋萩 初花はつはなを 折って髪挿かざそや 別れの友よ》
                         ―久米広縄くめのひろつな―(巻十九・四二五二)
立ちて居て 待てど待ちかね 出でてし 君に此処ここに逢ひ 插頭かざしつる萩
《待ちに待ち 待ち草臥くたびれて 出てきたが ここで逢えたな さあ萩插頭かざそ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二五三)

心残り消え 晴々ごころの家持 京へと急ぐ



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