先週の“メグレ警視”は、“野菜畑事件”と“マダム・キャトルと子供たち”の2本を見た。
どちらも、聞きなれない題名である。
またしても、長島良三編『名探偵読本2 メグレ警視』(パシフィカ)で調べてみたのだが、どちらも「メグレ警視事件簿」の作品一覧表にはなかった(と思う)。
テレビでは、“野菜畑事件”は“Le deuil de Fonsine”というのが原作となっていたが、一覧表にはない。“マダム・キャトルと子供たち”は“D'apres la nouvelle de Georges Simenon”となっていたから、何かの翻案ものなのだろう。
いずれも、それぞれそれなりに面白かった。
“野菜畑”のほうは、フランスの片田舎が舞台で、雨がよく降り道はいつもぬかるんでいるため、殺人事件の捜査にやって来たメグレの黒い革靴が汚れる。捜査の拠点となったカフェ(?)の太った女主人が、それを磨いている。
そんな、田舎の風景を背景に、二つの家族の人間関係が次第に明らかになり、事件は解決に向かっていく。
一見絆の強そうだった家族のほうが実は家族関係がうまくいっておらず、外見は険悪そうに見えた家族のほうが実は結束が固かった。そして、……。
もう一つの“マダム・キャトルと子供たち”(“マダム・キャトル”とは“4号室の女”くらいの意味である)は、「夫が人を殺した、自分も命を狙われている」と警察に駆け込んできた女の物語。
メグレが女の身辺警護のために、女と同じホテルに泊まりこむが、メグレにも女の訴えが狂言なのか真実なのか判断がつかない。
ちょっと、ヒチコックのようなサスペンス仕立ての展開で、これもそれなりに面白かった。
こちらのホテルの女主人も、ロシア女性のような太った女だった。
* 写真は、FOX CRIME(247ch)“メグレ警視 マダム・キャトルと子供たち”のマダム・キャトルとメグレが宿泊するホテルの全景。