金環食などというものにはまったく興味はなかった。
先週の金曜日(5月11日)に、SANYOバーゲンで科学技術館に行ったときも、入口の売店で“金環食観察用色眼鏡”を1000円で売っていたが、まったく買う気は起こらなかった。
そもそも5月21日に晴れる保証もないではないか。
ところが、である。
5月21日の朝、「金環食、見れるわよ!」という女房の声で起こされた。
眠い目をこすりながら、東側の雨戸をあけ、「本当に日は出ているのだろうか?」と東の空を見上げた途端、太陽の光に目を刺されてしまった。
もちろん太陽を直視などしてはいけないことは承知していたのだが、まさか、そこに太陽があるとは思いもしなかったのだ・・・。
970年ぶりとか、次は170年後とか何とか、テレビが騒いでいるので(数字はあやふやな記憶による)、急にどうしても見ておきたくなった。
近所のコンビニや100円ショップを回ったが、どこにも“金環食観察用色眼鏡”はなかった。こんなことなら、あの時科学技術館で買っておくのだった。
仕方なく、テレビの画面で観賞することにした。
ところが、7時21分が近くなるにつれて、東京の東の空には厚い雲が流れるようになり、その雲がフィルターのかわりになって、肉眼でも太陽を見ることができるようになった。
そして、見事に金環食の瞬間も、雲間から指輪のような太陽を拝むことができたのだった。
数日経ったら、世間は“東京スカイツリー”一色となり、金環食のことなど誰も話題にしなくなってしまった。
ニッポンのマスコミの馬鹿騒ぎは、おかしくはないか。踊らされた僕も愚かではあるのだが。
2012/5/23 記