豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

柴田錬三郎 絵草紙 『うろつき夜太』

2017年03月25日 | 本と雑誌

 昨日の朝のNHKラジオで、高橋源一郎が『締切り本』という本を紹介していた。

 原稿締切りをめぐる作家と」編集者の攻防をテーマとしたエッセイをまとめた本らしい。
 その話によると、締め切り破りの最高峰は、手塚治虫と井上ひさしだったらしい。井上は有名だが、手塚がそうだったとは知らなかった。
 “手塚遅虫”などというあだ名までついていたそうである。

 しかし、高橋が一番凄いエピソードとして紹介していたのが、柴田錬三郎の『うろつき夜太』だった。

          

 『うろつき夜太』は週刊プレーボーイの連載で、横尾忠則のユニークでセクシーな場面の多い挿絵(?)が印象的だった。
 そして、時折本文の中に、主人公“うろつき夜太”と著者、柴田との会話や、横尾忠則までもが登場したりするのである。

 横尾忠則の「東京ロマン主義」と言う朝日新聞の連載エッセイによると、うろつき夜太の(イラストの)モデルは田村亮で、柴田と横尾が1年間缶詰めになっていた高輪プリンスホテルにやってきてサムライの衣装をまとってモデルになったという(1996年2月4日付)。


 高橋によると、その連載中に、締切りに間に合わなかった柴田が、連載が書けなかった言い訳を、連載1回分の分量で書いているというのである。

 さっそく、単行本化された『うろつき夜太』(集英社、1975年)を見たが、その回は見つからなかった。
 そのかわり、と言っては何だが、わが浅間山の夕景が挿入されているのを見つけた(冒頭の写真)。
 
 あの連載に浅間山が登場したのは意外だったが、天明3年(1783年)の浅間山大噴火がフランス革命の遠因だったという説もある(桜井邦朋『夏が来なかった時代--歴史を動かした気候変動年』吉川弘文館、2003年)。

           

 その意味では、江戸時代とフランス革命期のフランスを行き来する“うろつき夜太”に浅間山が登場するのは必然かもしれない。

 あの連載に浅間山が登場したのは、おそらく柴田が連載の合間に軽井沢に滞在したからだろうと思うが・・・。
 横尾のエッセイによれば、横尾は柴田の手ほどきで日本中の名門ゴルフ場を回ったとあるから、軽井沢にも行ったことだろう。


 2017年3月25日 記


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2017年3月20日、誕生日

2017年03月20日 | あれこれ

 3月20日は、ぼくの誕生日。

 1950年3月20日生まれ、今年で67歳になる。
 67歳なんて齢が到来するとは、10代、20代の頃は考えてもみなかった。

 中学生の頃、“大沢ババア”などとあだ名をつけていた教師は、今から考えるとせいぜい30歳代半ばだったのではないだろうか。
 14、5歳の中学生には30歳代の女は、申し訳ないが「ババア」に見えたのであろう。

 今自分が67歳なんかになってしまって、中学生からみれば「ジジイ」どころではなく見えるのだろうけど、仕方あるまい。
 かつてのぼく自身の視線が、ブーメランのように自分自身に突き刺さっているのだ。


                


 しかし、67歳の人生にも、悪くないことは起きる。

 誕生祝いのデコレーションケーキを、近所の“おだふじ”に取りに行ったら、何と!!“67”番の予約番号札を渡されたのである。
 可愛らしい丸顔のアルバイトのお嬢さんから。

 「これ、偶然にも、ぼくの年齢です」と言ったら、その子はにこやかにほほ笑んで、「おめでとうございます!」と言ってくれたのである。

 「人生、生きていると、“ああ、生まれて来てよかったな”と思う瞬間がたまにはあるじゃないか。だから生きていくんだよ。」
 って、寅さんが吉岡秀隆に言っていた。


 なお、冒頭の写真は、きょうの浅間山。
 気象庁の浅間山観測所(追分)の定点カメラの画像。


 2017年3月20日 記

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モーム 秘密諜報部員(アシェンデン)

2017年03月07日 | サマセット・モーム

 久しぶりに、サマセット・モームを。

 最近のトイレでの読書は、もっぱらサマセット・モームの『秘密諜報部員 ashenden』)(創元推理文庫、龍口直太郎訳)である。

 各編が程よい短さなので、トイレ用にふさわしいのだが、第11編「売国奴」は長くて50ページ以上ある。
 そのため、ここ数週は、こいつがなかなか終わらない。
 季節がよければ、用済み後もトイレにとどまって読み終えてしまうのだが、寒いのでそうもいかない。

 結末も気になるので、もう今日中に終わらせてしまおうと決意して、トイレから持ち出して読み終えた。
 面白かった。
 結末の、あの犬の叫声!

 創元推理文庫とあれば、あの背表紙の黒猫のマークは欠かせない。
 背表紙も写るように撮影した。

         

 ついでに、時折気が向いたときに読んでいる同じモームの『中国の屏風』(ちくま文庫、小池滋訳)も・・・。

          

 奥付を見ると、1996年3月21日、第1刷発行とある。
 ちくま文庫がモームをせっせと復刊していたころから、もう20年以上も経ったのだ。20年以上もトイレの書棚に並べられていたせいで、帯が湿気っている。
 
 ちなみに、以前書き込みをしたモーム『片隅の人生』はいつしか読み終えた。『昔も今も』と同じように、途中で投げ出してしまうかと思ったのだが。


 2017/3/7 記

 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする