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寝台特急「あけぼの」号(4)~B寝台開放室編

2009-07-02 | 鉄道[東北]

   

先月MAKIKYUが乗車した寝台特急「あけぼの」号に関しては、既に何度か「MAKIKYUのページ」でも取り上げていますが、今日はB寝台開放室の様子に関して取り上げたいと思います。

「あけぼの」号は通常8両連結されている寝台客車の中で、1両のA寝台個室車を除く7両がB寝台車となっており、その中で1人用個室「ソロ」の2両を除く5両が開放室B寝台となっていますので、所定編成の過半数を占めています。

この開放室B寝台の客車外観は以前の記事で取り上げ、その車両形態はよくここまで違う車両ばかりを…と思わせる有様ですが、客室の様子は車掌室の有無とそれに伴う寝台数・定員の違い以外には大差ないものとなっています。

設備的にも座席モケット程度は変わっていても、国鉄時代からの設備をほぼそのまま保っており、車内には今や列車内で見かける機会も少なくなった冷水機&紙製の簡易カップ(?)なども健在です。

製造から30年程度が経過した今日においては、就寝時もカーテンで仕切られただけの空間でありながら、乗車券+特急料金に加えて6300円もの寝台料金(B寝台2段式の場合は、基本的に上下共この料金で同額です)を要します。

「あけぼの」号は1人用個室「ソロ」を2両連結し、こちらも寝台料金は同額である事を考えると、国鉄時代さながらの雰囲気を楽しみたい方や、個室の閉塞感を嫌う方、それと複数人でのグループ利用などを除くと、個室満室時以外には余りおススメできない状況です。

そのためB寝台開放室の利用状況は個室に比べて芳しくないですが、座席車とは異なるゆったりとした雰囲気は寝台車ならではで、一部車両は羽後本荘~青森間で特急座席車扱い(下りは立席特急券=定員を限定しているものの、実態は号車指定の自由席:上りは指定席)としていますので、夜が明けた後(下りの場合)は「ソロ」利用でも狭い個室から抜け出し、こちらへ移動した方が快適に感じる程でした。

ちなみに下り「あけぼの」号で立席特急券の利用対象号車は、「ソロ」の隣に連結されている4号車で、座席(寝台)が埋まっていた場合でも、通路部分に設けられた折り畳み座席に腰掛けながら、移り行く車窓を眺めるのも悪くないものです。

またB寝台開放室は設備的に個室と大きな格差が出る事もあって、一部車両は「ゴロンとシート」として寝台扱いではなく、リネン類の設備を省略して普通車指定席扱いとして運用しているのは、他の寝台列車にはない「あけぼの」号の大きな特徴となっています。

この車両は他の一部寝台列車で特定の区間(専ら起終点付近:夜が明けた後の運行区間など)のみ乗車券+立席特急券or指定席特急券で乗車可能な取り扱いを、深夜帯も含めた全区間に拡大したものと言え、5両のB寝台開放室中、2両が「ゴロンとシート」となっています。

「ゴロンとシート」は設備的に他のB寝台開放室車と大差ないものの、キャラクターのイラストが描かれた「ゴロンとシート」車である事を示したステッカー付きの車両が用いられており、基本的に運用車両は限定されている様です。

 
その内1両は女性専用車「レディースゴロンとシート」になっているのですが、この車両はキャラクターのステッカーもしっかりと「レディ」になっているのも特徴です。

この車両は旧態依然とした開放室B寝台車ながらも、夜を越すのに体を倒せるのか否かでは疲労度も大きく変わる事もあり、座席(指定席)扱いで乗車できるとなればかなりのお値打ちだけあって、B寝台開放室と異なり、利用率が高く指定券も取り難い車両となっています。

その上1利用当りで算定される寝台料金と異なり、指定席特急料金は短距離では比較的割安になり、MAKIKYUが「あけぼの」号を利用した際には酒田からの利用も見かける程(さすがに6300円の寝台料金を要するのであれば、下り列車に酒田から乗車する事はまずないと思います)でした。

「ゴロンとシート」の盛況振りを見れば、寝台列車も運用方法次第ではまだまだ利用が見込めるのでは…と感じると共に、この場合は一つの寝台を区間毎に発売する事で利用効率を向上させる事も可能(中国などでは1つの寝台を区間毎に発売する事も行われていますが、日本ではリネン類を用意する都合などもあり、寝台車は立席特急券での利用などを除いて1泊=1人の利用が原則です)ですので、これなら定員を確保できる3段寝台車が今も残っていれば…と感じた程です。

ただ「あけぼの」号は「ゴロンとシート」設定をはじめ、割引率の高い各種フリーきっぷでのB寝台車利用が可能であるなど、旧態依然とした雰囲気の強い列車でありながらも、運用方法の工夫で今日の情勢に見合う列車としている点は評価できるものですが、MAKIKYUが依然立席特急券で大館~弘前間などを利用した際には秋田以北で乗務していた車内販売が、現在は廃止されている点は要注意です。

また当然ながら食堂車などの連結はなく、それどころか自動販売機での冷凍食品程度の併食設備すらない上に、途中駅の停車時間も比較的短い(下り列車では一応秋田駅で多少の停車時間が確保され、車内で売店の案内も流れるのですが…)など、食料確保が厄介な列車である事は、北海道方面へ向かう一部列車を除いた他の寝台列車と同様です。

そのためこの様な事を知らず、食料の持ち合わせもない乗客は、夜が明けてから朝食になかなかありつけず、一度利用したら空腹に懲りて…という事態にもなりかねないと感じたのは困ったもの(一応駅構内の放送で車内販売などがない事はアナウンスされていますが…)です。

「ゴロンとシート」の様な粋なサービスを展開する列車だけに、余りコストがかかる事は難しいにしろ、夜が明けてからの秋田駅停車時間をもう少し確保するか、冷凍食品の自動販売機(夜行フェリーなどでは良く見かけます)を設置するなど、何らかの一工夫が欲しいと感じたものでした。

「あけぼの」号に関しては、A寝台個室の様子に関しても別記事で近日中に取り上げたいと思います。



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