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仙石線を走る架線下気動車~矢本以東ではキハ110形が活躍

2011-08-03 | 鉄道[東北]

先日MAKIKYUは青春18きっぷを利用し、南東北へ足を運んだものでしたが、その際には仙台市内と石巻の間を結ぶ仙石線を利用する機会がありました。

仙石線は私鉄買収線区という経緯もあって、東北地方のJR線では唯一の直流電化線区となっており、この事もあって専ら首都圏で活躍した通勤型電車が転用される事で知られています。

駅間が短く、比較的簡素な雰囲気の駅が多いなど、仙台近郊を走るJR線の中でも、他線とは大きく様相が異なるのも特徴です。

しかしながら一部区間は松島湾に沿って走る路線条件などもあり、3月の東日本大震災では地震による被害に加え、津波による被害も発生しており、輸送量の多い仙台方の複線区間は比較的早期に復旧できたものの、今でも復旧見込みの立たない不通区間が存在しています。

松島湾に面した野蒜付近などは鉄道だけでなく、地域全体が凄まじい被災状況となっており、地盤沈下や集落が移転する可能性などを考えると、復旧までに相当な時間を要する事が予想されますが、石巻方も矢本~石巻間は今回の震災による影響も少なからず発生したとはいえ、先月中頃に運転再開を迎えています。

MAKIKYUは間に代行バスを挟む形ながらも、仙石線を仙台方(あおば通駅)から石巻まで通して利用した事もあり、矢本~石巻間では運転再開からまもない列車を利用したものでした。

矢本~石巻間は普段なら専ら直流通勤型電車が走る区間でありながらも、運転再開後は電車ではなく、気動車での運行となっています。


変電所が被災し、架線設備も損傷した事で、電車での運行が困難な事が、イレギュラーな気動車での運行となった大きな理由ですが、これに加えて一部区間の不通が続く事で、仙石線の車両基地(宮城野電車区)と石巻方再開区間の間で車両の入出庫が困難となっている事も理由として考えられ、現段階では小牛田運輸区所属の陸羽西線用両運転台気動車・キハ110形が4両活躍しています。


車両性能や保守面の問題、車両長などを考えると、石巻線で活躍する国鉄型気動車(キハ40系列)ではなく、新系列車両のキハ110系列が動員されるのも分からなくはなく、矢本~石巻間では2or4両編成で運行(比較的乗客数の少ない昼間時間帯に2両で運行)しており、側面行先表示はLED式を採用している事もあって、きちんと矢本行きの行き先も表示されます。

小牛田に所属するキハ110系列は、陸羽東線用の片運転台車キハ111+112形2両編成も存在するのですが、仙石線では敢えて単行運転可能な両運転台のキハ110形ばかりを寄せ集めているのは特徴的で、両運転台車ばかりが4両連なる編成はかなりインパクトがあります。

また仙石線で運用される車両は、一応石巻駅の小牛田・仙台方に仙石線~石巻線間の連絡線が存在していますので、この連絡線を通じて仙石線に入線しているはずですが、基本的に小牛田へは帰庫せずに仙石線内に留まっている様で、限定された車両が用いられています。

 
仙石線内で限定運用となっている車両の車体側面には、何種類かの石ノ森イラストが貼られ、「簡易マンガッタンライナー」といっても過言ではない雰囲気となっていますが、その一方で元々が陸羽西線用の車両である事から、「Mogami-gawa Line」のロゴも残存しているのは奇妙な感じがします。


車内に足を踏み入れると、客室設備自体は他線区で活躍するキハ110形の一般型仕様車と大差なく、1人掛けボックスシートが混在するセミクロスシートとなっており、仙石線では不要なワンマン設備もそのままで、暫定使用と言う事もあるのか、車内には仙石線の路線図が見当たらないのも気になったものでした。

設備的には通常は一部列車の1車両に回転式座席があるか否か、他はオールロングシートの仙石線にしては、ややグレードアップしていると言っても過言ではありません。


特徴的な点としては、仙石線が通勤電車向けの比較的高いホームとなっており、これに伴って低床ホーム対応のステップ付き気動車では逆段差ができてしまうため、ステップ部分を暫定的に埋めている事が大きく、ステップを埋めた部分の足元が黄色くなっているのが特徴です。

これに加え、矢本~石巻間では乗車時間が短い事や、定期的に車庫へ帰区する機会がない事も影響してか、各車両に設けられたトイレが封鎖され、使用停止の告知が貼られているのも特徴として挙げられます。

本来であれば仙石線は、キハ110系列が定期的に走る路線ではなく、震災発生前の電車による運行が望ましい所ですが、車両や設備面の関係で所定の運行が困難な状況下において、暫定的な形態であっても可能な範囲で運行を再開させた事は大いに評価できるものです。

仙石線以外の他線区において、平時とは大きく異なるイレギュラーな車両が常用される可能性は極めて低いかと思いますが、東日本大震災で大きな被害を受けた路線の中でも、比較的早期に復旧が可能な区間が他にもあるならば、部分的な暫定運行でも再開して欲しいと感じたものでした。



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