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JR男鹿線を走る新型「電車」EV-E801系~国内3例目の充電式電車

2018-07-01 | 鉄道[東北]

今日秋田県男鹿市に男鹿市が整備した複合観光施設「オガーレ」がオープン、またこれに併せてJR男鹿線の終着駅・男鹿駅の駅舎も移転し、新駅舎の営業を開始しています。
(移転したのは駅舎のみで既存ホーム終端に新駅舎を建設、線路配置などは変化していない様です)

この男鹿駅の属するJR男鹿線は、単線非電化の典型的な地方ローカル線で、昨春までは定期旅客列車は全て気動車(ディーゼルカー)で運転、随分前は機関車牽引による客車列車も存在していました。

しかしながら昨春、非電化のままながら新型「電車」の運行が始まり、この男鹿線で運行中の新型電車がEV-E801系、MAKIKYUも今春秋田県内へ足を運んだ際に乗車機会があり、今日はこの新型電車に関して取り上げたいと思います。

JR東日本の非電化路線では既に烏山線で蓄電池を搭載した充電式電車・EV-E301系「ACCUM」を運行、またJR九州でも非電化路線の若松線で充電式電車・BEC819系「DENCHA」を運行しており、男鹿線のEV-E801系はこの2路線に続く国内3例目の充電式電車となります。

烏山線は起点の宝積寺で接続するJR東北本線(宇都宮線)が直流電化となっている事もあり、直流架線からの給電となっていますが、若松線(筑豊本線)は電化区間となっている折尾駅構内、また一部列車が延長運行される筑豊本線(福北ゆたか線)折尾以南が交流電化となっているため、交流架線からの給電となっているのが大きな違いです。

男鹿線は周波数こそ異なるものの、追分で接続する奥羽本線(男鹿線列車は秋田発着で運行)がJR九州の電化線区(関門トンネル区間と筑肥線以外)と同等の交流電化となっており、これに加え小ロットの交流充電式電車を新たに設計するのはコスト面でも負担が大きい事から、EV-E801系はBEC819系の設計を流用しカスタマイズしたものとなっています。

 
そのお蔭でJR東日本の車両らしくない雰囲気が随所に漂っているのが大きな特徴で、外観は塗装を除くとJR九州の車両そのものと言っても過言ではない程ですが、男鹿のなまはげにちなみ赤と青の2色に色分けされた編成を見ると「なまはげDENCHA」と言いたくなる位です。

外観上の大きな差異としては、側面窓の一部が開閉式となっており、これも後から改造で開閉可能にしたのでは…と感じさせる様な仕上がり、必要最小限の設計変更に留めた事を物語っている様にも感じられたものですが、JR東日本ではさすがに「DENCHA」というワードを用いたくない様で、烏山線EV-E301系と同じく「ACCUM」の名称が付けられています。
(さすがに車両名称で「なまはげDENCHA」は厳しいとしても、車両塗装や地域性を考慮し「なまはげACCUM」にでもできなかったのか…と感じています)


車内に足を踏み入れると、車内設備はオールロングシートとなっており、最大でも乗車時間は1時間程度の男鹿線ならこれで充分と感じる向きも多いと思いますが、多少はボックス席などがあっても…と感じる旅行者なども出るのでは…と感じたものでした。

 
さすがにJR九州ならではとも言えるこだわりのデザイナーによるロゴや英文字、最近好んで用いている合板などは見当たらないものの、製造メーカー・日立製作所の標準仕様アルミ車「A-train」設計の特徴も随所に見受けられ、国鉄設計を除くJR東日本各車両の中では、MAKIKYUが乗車した事がある範囲では最もJR東日本らしくない車両とも感じたものでした。


外観だけでなく車内造作などもBEC819系と共通する部分が多々あり、蓄電池充電状況を案内するモニターを装備している事などは充電式電車らしい特徴ですが、BEC819系がJR九州らしからぬドアチャイム(最近のJR東日本首都圏一般車両や東京メトロ車両などと同等)を用いているのに対し、EV-E801系ではドアチャイムでこのタイプは用いられず、旧営団地下鉄の車両などでお馴染みのタイプが用いられていたのは意外と感じたものでした。


ちなみにBEC819系は都市型ワンマン運転実施線区で運用、各車両各ドアからの乗降が前提なのに対し、EV-E801系は車内収受式ワンマン運転実施線区で運用、ワンマン運転時の無人駅乗降は1両目の後乗り前降り、1両目真ん中と2両目の各扉は締め切りとなる事もあり、BEC819系の様なドア上LCDモニターによる自駅案内などは実施しておらず、代わりに運転席後部に運賃表示器としてLCDモニターを設置しています。


JR東日本のワンマン運転実施線区では、ワンマン運転時の運転席背後だけ運賃表示器として使用、それ以外は電源OFF状態という事が多いものの、EV-E801系ではワンマン運転時の2両目後部も次駅表示のみ案内を行う形で活用されており、これはJR東日本に限らず他社の車内収受式ワンマン運転実施車両でも是非積極的に実施して欲しいと感じたものでした。

男鹿線では試行導入という事もあり、EV-E801系はまだ2両1編成のみ、今後充電式電車先行導入2線と同様に充電式電車が本格導入される事になるのか否かも気になる所です。

旧型気動車(キハ40系列)が男鹿駅新駅舎に発着する期間はそう長くないと思われ、また秋田地区では五能線などで電気式の新型気動車導入も発表されていますが、旧型気動車代替後の男鹿線はEV-E801系で統一される事になるのか、それともこの電気式新型気動車なども併用される事になるのかも気になる所です。

充電式電車は今後の非電化線区における車両代替手法の一つとしても注目され、このEV-E801系をはじめ、EV-E301系やBEC819系に乗車した事がある方も居られると思いますが、その際の感想や各形式を乗り比べた際の差異などで気になる事がございましたら、コメントでの言及もどうぞ。

また以前「MAKIKYUのページ」で取り上げた充電式電車2形式の記事をご覧になりたい方は、以下のリンクをクリックして頂けると当該記事をご覧頂けますので、興味ある方は併せてご覧頂けると幸いです。

EV-E301系(烏山線)  https://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20141023
BEC819系(若松線)  https://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20161214



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