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三陸鉄道 36-700形気動車~南リアス線運転再開に併せて導入された新型気動車

2017-02-12 | 鉄道[東北]

先月MAKIKYUが東北へ足を運んだ際には、仙台圏で活躍を始めたばかりのJR東日本の一般型電車や、同系も運用される常磐線の内陸移設復旧区間乗車だけでなく、もう少し北へ足を延ばし三陸鉄道にも乗車したものでした。

三陸鉄道は現在北リアス線と南リアス線の2路線を運行、東日本大震災以来JR山田線・宮古~釜石間の不通が続き、現在2路線は分断状態になっています。
(東日本大震災前はJR山田線を挟み、3路線間を直通運転する列車も走っていました)

MAKIKYUは震災後に一度、津波による甚大な被害を被った三陸沿岸へ足を運んだ際は、北リアス線は島越(Shimanokoshi)駅周辺を除いて復旧していたものの、南リアス線は全線不通状態で代わりに運行していた路線バス(釜石~盛(Sakari):岩手県交通)も便数が極めて少なく、現在はBRTとして運行しているJR大船渡線・気仙沼~盛間も不通状態で路線バスの便数も極めて少ない状態であるなど、公共交通機関を利用して岩手県南部沿岸を移動するのは非常に不便な状況でした。

震災から6年以上が経過した今日でも、被災地はまだ復興したとは言えない状況の都市も多く、東日本大震災の凄まじさを改めて実感させられますが、今年初頭に足を運んだ際には以前に比べると被災各都市や被災地域の交通網なども、状況は随分改善されています。

その中でも釜石・大船渡両市間を走る三陸鉄道・南リアス線は、全線不通が2年以上続き2013年に一部区間(盛~吉浜)が運転再開、残る吉浜~釜石間も2014年に運転再開となり、震災から3年強で全線鉄路復旧を果たしています。

この南リアス線は建設・開業から比較的日が浅い路線と言う事もあり、不通やBRT仮復旧となっている三陸沿岸のJR線に比べると、設備面での被害が小さく済んだ(それでも結構な被害ですが…)のは幸いだったものの、南リアス線の車両基地は今日に至るまで盛駅に隣接した箇所に設けられています。

ここは海からも近く標高も低い所だった事も災いし、車両基地内に留置されていた各車両も損壊は免れたものの、浸水して使用不能となり、大地震発生時に営業運行中→トンネル内で緊急停止した1両を除き、残念ながら廃車となっています。

そのため南リアス線運転再開時には、36-700形と呼ばれる新形式の気動車が導入され、現在の南リアス線における主力車両となっていますが、足を運ぶ機会も少ない土地という事もあり、MAKIKYUが同形への乗車したのは今年ようやく…という状況です。


この36-700形は国内気動車製造では定評ある新潟トランシス製、近年各地の第3セクター鉄道などに導入されている同社製標準車両という事もあり、見た目は白を基調に青と赤の三陸鉄道塗装となっている事を除くと、地方第3セクターの標準的な車両という印象を受けたものです。


中東の産油国として有名なクウェートからの支援を受けて導入した事もあり、車両側面には「クウェート国からの支援に感謝します。」という表記を日本語と英語、そしてMAKIKYUは文字を解読するどころか、書き写す事や何処までが1文字なのかを判別する事すらできないアラビア語の3か国語で記したステッカーが貼られているのが大きな特徴です。
(英語以外の外国語でも「쿠웨이트국으로부터의 지원에 감사합니다.」や「感谢来自科威特的支援。」などの表記なら、書き写す位は何とかなりますが…)


車内に足を踏み入れると、こちらも座席形状などは標準的な仕様ながらも、近年第3セクター鉄道向けに導入される新潟トランシス製標準仕様気動車は簡素な雰囲気の車両も多い中で、木目を用いた化粧板やフローリング風の床材などは温かみが感じられ、豪華ではないものの標準仕様気動車の中では見栄えがする部類などでは…と感じたものです。

 
座席配置も1両ワンマン運転が主体の一般車両と言う事もあり、地方ローカル線区で活躍する一般車両としては標準的なセミクロスシートですが、旅客数がさほど多くない上に観光で利用する客層が一定数・割合で乗車する事も考慮してか、ロングシートは車椅子トイレ付近に若干設定されている程度、トイレと逆側は出入口直後の座席もクロスシートになっているなど、ボックス席の比率がかなり高くなっているのが大きな特徴です。

元々経営状況が芳しいとは言い難い中で、公的支援なども大きく作用したとは言えども、南リアス線が全線鉄路復旧となっただけでも驚異的な事とすら感じる中で、標準仕様気動車を上手くカスタマイズして結構意欲的な車両を導入したな…と感じたものです。

またこの車両は南リアス線に3両導入された後、乗車機会はなかったものの、北リアス線でも既存車両代替用に導入されています。

今後予定されているJR山田線の震災不通区間(宮古~釜石)の三陸鉄道移管復旧後には、主力として活躍し更に増備される事も見込まれますが、現行仕様のまま増備となるのか、仕様変更などが行われるようになるのかも気になる所です。



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