MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

非電化線区を走行するライナー列車「ホームライナー太多」

2010-04-07 | 鉄道[東海]

数日前MAKIKYUは青春18きっぷを利用し、関西方面へ出向く機会があったのですが、その際には途中で以前から気になっていた列車の一つでもあった「ホームライナー太多」号に乗車する機会がありました。

この列車は名古屋~美濃大田間を多治見廻り(中央本線・太多線経由)で運行しており、中央本線と太多線に跨って運行される唯一の定期列車で、非電化線区を走る数少ないライナー列車としても知られていますが、ライナー列車の特性上休日運休(名古屋発は土曜日も)となっています。

ダイヤは名古屋郊外の居住者向けに設定されているため、下り列車(美濃太田行)の太多線内はとても余所者が使える運行時間帯ではないものの、上り列車(名古屋行)は現行ダイヤでは下り「ムーンライトながら」号から普通列車を介し、乗り継ぐのに丁度良いダイヤとなっています。

そのため中京圏外の居住者でもその気になれば比較的容易に乗車でき、MAKIKYUが乗車したのも当然上り列車の方で、MAKIKYUが美濃太田へ向かう際には岐阜廻り(高山本線経由)のルートを利用したのですが、このルートだと美濃太田での乗継時間が3分と短く、この短い乗継時間でライナー券を購入(グリーン車[指定席で青春18きっぷでの利用は不可能です]以外は、事前に岐阜などの他駅でライナー券を購入する事も出来ません)して別のホームへ移動しなければなりません。

「ムーンライトながら」号から乗り継ぐ場合は多治見廻りの方が早く美濃太田入りが可能ですが、これだと来た道を返すという事で面白みに欠けると感じてしまいますので、好みが分かれる所ですが、始発の美濃太田から全区間の乗車に拘らなければ、名鉄で犬山を経て新可児へ抜けるルートなども使えます。


車両はワイドビューひだ・南紀号で使用されるキハ85形を用いており、何度か高山本線や紀勢本線を利用した事があるとはいえ、これらの路線に乗車する際は専ら青春18きっぷを利用し、普通列車に乗車しているMAKIKYUは、キハ85形の姿は幾度となく見ているものの、実際に乗車したのは初めてという有様でした。

列車名も特急運用時は、先頭部はイラスト入りで名称が標記された幕が出てくるのですが、「ホームライナー太多」号では専用の幕は用意されず、単に黒字に白文字でホームライナーと表示されているだけなのは少々味気ないもの(側面もホームライナー表示のみで行先表示なし)で、車内のLED案内表示装置も列車名や駅名表示は無表示での運行という有様でした。
(余談ながらライナー列車でもJR東日本の「湘南ライナー」などは、ライナー専用のイラスト入り字幕が用意されています)

編成は5両での運行となっており、朝ラッシュ時間帯には10両編成の列車が次々と走り、中京圏屈指の混雑線区としても知られる中央本線では極めて短い部類に入りますが、それでも太多線内ではホーム長さが足りずに一部駅でドアカット(一部号車のドアを締切)している有様でしたので、太多線内の設備を考えるとこれ以上の編成で走らせる事は厳しいと言えます。

5両の中で多治見寄りの1両はグリーン車となっており、残りの4両は普通車、車内はワイドビューを名乗る車両だけに座席が段上げされており、一部車両の車端にある車椅子対応座席だけ段上げされていない点は特徴的です。

 
車内を見渡すと、天井などは東海道新幹線の300系を連想させられるものがあり、普通車は全体的に落ち着いた雰囲気の車両が殆どを占めていましたが、MAKIKYUが乗車した1両だけはやや派手な雰囲気となっており、また乗車した編成には連結されていなかったものの、キハ85形普通車の中には赤系統の座席モケットを採用し、更に派手な印象を受ける車両も存在しています。


多治見方先頭のグリーン車は非貫通型となっているために、編成の両端で先頭形状が異なるのも特徴で、グリーン車は2+1列の豪華な設備を誇っています。

しかしグリーン車は割高なグリーン料金を要するだけに、列車の特性上利用率は悪く、美濃太田出発時点では乗客の姿は皆無、多治見駅停車時点でも数名乗客の姿が目撃できる程度でしたので、「ホームライナー太多」号に必須の設備とは言い難いものです。


これなら普通車を増やすか、グリーン車なしの4両で運行して太多線内ドアカットを解消した方が…とも感じてしまいますが、「ホームライナー太多」号自体が特急(ワイドビュー)ひだ号の間合いで走らせている事や、運転台付き車両を確保する事を考えると、グリーン車を外すのは厳しいかと思いますので、ライナー向けに普通車より少し割増した程度の料金で利用できるようにするなど、空気を運ぶよりはもう少し利用促進を考えても…と感じたものでした。

ちなみに上り「ホームライナー太多」号は美濃太田を出発すると、多治見までの太多線内は各駅に停車し、多治見から先の中央線内は、名古屋市内の大曽根までノンストップの運転形態となっています。

太多線は一応名古屋の通勤圏に含まれるとはいえ、非電化単線で普通列車のみのローカル線ですので、行き違い設備すらないホーム1本の無人駅も存在し、こんな駅に5両編成の特急車両が停車するのは、場違いな雰囲気を感じてしまいます。

この様な駅では当然乗車前にライナー券を購入するのは不可能な事もあり、4両の普通車は指定席と自由席に分かれており、座席の確保が保障されないとは言え、「ホームライナー太多」号では乗車後に車内でライナー券を購入する事も可能です。

この点は首都圏のライナー列車などとは異なる特色と言え、車内では無人駅からの乗客向けに「**駅からご乗車のお客様は、○号車△番~□番の座席に…」といった案内もありましたので、無人駅向けの座席枠も存在している様です。

太多線内各駅に停車して多治見に到着した後は、ここで進行方向が変わる事もあって7分も停車するのですが、座席は回転可能なものの、美濃太田出発時点で逆向きとなっており、太多線内からの乗客は殆どがそのまま座っていましたので、折り返しの際に座席の向きを変える乗客は少なく、乗り慣れた乗客が殆どと言う雰囲気を感じたものでした。

多治見での停車時間の間には、名古屋方面への快速列車が先発し、こちらに乗り継ぐ方が名古屋市内への到着は早く、この様なダイヤ設定を見ると「ホームライナー太多」号は速達性を考慮していない列車である事が明確と言えます。


快速は10両編成にも関わらずかなりの混雑で、MAKIKYUもこんな列車には乗りたくないと感じる状況でしたので、多治見からもライナー券を購入して「ホームライナー太多」号に乗車する乗客の姿が多く目に付いたものです。

多治見を過ぎて中央本線に入るとライナー券の拝見があり、愛知県内に入って高蔵寺を過ぎると、多治見を先発した快速列車と「ホームライナー太多」号の間に普通列車が割り込みます。

普通列車は名古屋まで「ホームライナー太多」号より先着するダイヤとなっている事もあり、混雑とは無縁の空間でゆったりと過ごせるものの、この列車に前方を押さえられてノロノロ運転が続きますので、ライナー料金は完全に設備料金と感じさせられるものです。

そして名古屋市内に入ると、大曽根や千種で下車する乗客の姿も目立ち、名古屋到着時には座席の半分以上が空席という状況でしたが、編成が短い事もあってか多治見~大曽根間では結構な盛況ぶりで、行き違い設備すらないホーム1本の無人駅にも停車し、5両編成ですらドアカットを行わなければならない駅に停車する列車らしくない気もしますが、多治見からも多数の乗客が乗車した状況を見ると、中央本線が中京圏屈指の混雑線区と言われるだけあると感じたものでした。

またMAKIKYUは「ホームライナー太多」号でキハ85形気動車にも初めて乗車したのですが、普通車は310円のライナー料金さえ支払えば、美濃太田~名古屋間の1時間半近い時間、割安な青春18きっぷを利用して乗車する事も可能で、中央本線内の多治見~名古屋間でも、内外装の色彩などが通常車両と異なる程度の3ドア近郊型車両に同じ310円を払うよりは、ずっと乗り得と感じるものです。

非電化単線の太多線内を各駅に停車し、中央本線では前方を走る列車の続行で走るダイヤでは、車体傾斜を装備していない気動車の中では国内屈指の性能を誇るキハ85形の高速性を体感するのは不可能です。

休日運休という運転日の制約もありますが、キハ85形へのお試し乗車にも丁度良いのでは…と感じたもので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も興味がありましたら、是非一度「ホームライナー太多」号に乗車してみては如何でしょうか?



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (セト市交通局)
2010-10-01 12:44:06
 こんにちは。「ホームライナー太多」は高蔵寺に停車しないので利用したことはないのですが、この列車の先行列車は瀬戸口始発の列車なので何度も利用したことがありますが、中央西線はJR東海ではもっとも混雑する路線なので、高蔵寺から先はかなりの混雑で、多治見からでも座れないことが多く、朝ラッシュ時に運転されるホームライナーは人気がありますね。
 ちなみにホームライナーは太多号以外は383系での運転がほとんどですが、下り列車で1本のみ「セントラルライナー」車両を用いた列車があるので注意が必要です(グリーン車マークがついていない列車がそうです)。
 
返信する
こちらが乗車した時も… (MAKIKYU)
2010-10-02 15:23:00
セト市交通局様お久しぶりです。

こちらが乗車した時も多治見から結構な乗車があり、高蔵寺を過ぎると先行列車の影響でノロノロ運転になるなど、中央本線名古屋口の混雑を実感させられたものでした。

またホームライナーもハズレが一本だけ混入しているのは要注意ですが、それでも500円という高い料金でボックス席に詰め込まれる首都圏の2階建て車両よりはマシかもしれません。

ただライナー以外の一部列車でも充当され、その際は特別料金不要という事も考えると、ハズレと知らずに期待した時のガッカリ感は相当かもしれませんが…
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。