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中国鉄路乗車記:N119次

2006-08-09 | 鉄道[中華人民共和国]
 

(この記事は乗車日にあわせた過去ログ投稿です)

MAKIKYUの2006年夏中国旅行は大連からスタート、今回まず最初に乗車した中国鉄路の列車がN119次です。

この列車は大連を1656に出発し、終点の瀋陽北には2232に到着する管内快速(一つの鉄路局内で運行が完結:車次の頭にNがつく)で、約400km・所要約6時間の道程は中国鉄路では比較的短距離列車の部類に入ります。

この様な都市間を結ぶ短距離列車は「城際列車」と呼ばれ、長距離列車と異なり座席車主体の編成で構成され、大連~瀋陽北間では快速・特快あわせて5往復が設定されて、乗車券も比較的購入しやすいのが特徴です。

そのため中国入国の当日に大連→瀋陽を移動予定(夏のオンシーズンで大連のホテル代が高く、瀋陽には安くて快適な日系ホテルがあるので…)で、乗車当日に乗車券を購入したいMAKIKYUは、比較的乗車券が購入し易いこの城際列車に照準を絞る事に。

大仁フェリーで大連港から入国し、中山広場近くの中国銀行(ここまでは路線バスで移動)で両替を済ませたMAKIKYUは早速大連站へ。といっても、せっかく大連を訪れたからには…という事で、銀行→大連站へ向かう際は銀行から5分程歩き、その後日本時代の旧型車がリニューアルされて今も活躍する203路有軌電車(路面電車)で移動です。

大連站へ到着したら、瀋陽までの乗車券が確保できない事には予定も立たないという事で、まず最初に乗車券売り場へ。列車が確保できない場合は、最悪バスでの移動も検討しなければ…と思っていましたが、第一希望のN119次乗車券購入希望のメモを窓口に渡すと、比較的乗車券の購入し易い列車という事もあって無事購入。

ちなみに大連~瀋陽北間は昨年にも乗車しており、この際は特快の軟座(名ばかりで硬座と大差なし・MAKIKYUの中国鉄路デビュー)でしたので、今回はそれと異なる列車を…という事もあって敢えて快速に、また購入した乗車券は新空調硬座で55元ですが、これは新型空調車で座席が確保できれば、わざわざ高い軟座を使わずに硬座でも充分と踏んでの事です。

乗車券を購入した後は大連の市内探訪ですが、この時既に1230を過ぎており、銀行での両替と列車の乗車券購入だけで随分な時間が…中国へ来た事を実感させられます。

大連は昨年も訪問し、その際にMAKIKYUは鉄軌道系に一通り乗車しているので、まずは站前から出ているトロリーバスに乗車、その後最新型の電車が使用されている202路有軌電車などにも乗車、最後には201路有軌電車に…と思ったら、これは汽車(バス)に置き換えられ、電停を我が物顔で占拠しているバスには驚かされました。

今回は時間が短いので随分慌しい感じで、以前訪問しているMAKIKYUの様な人物ならともかく、大連初訪問なら最低一日の滞在は欲しい所です。

(大連の市内交通に関しては以下に記事がありますので、興味のある方はご覧下さい)
http://blog.goo.ne.jp/makikyu/e/07dd9207fed589f91fd5b78eccf3fa0e

市内探訪の後16時過ぎには再び大連站へ、そして1656に大連を出発しますが、この列車は大連始発にも関わらず検票(改札)は40分過ぎになってようやく開始、もう少し早く検票をはじめて頂きたいものです。

検票を終えてホームに向かうと、まずは編成確認と乗車記念に写真撮影という事で
乗車車両(05車 038号)とは逆の先頭へ、硬座とはいえ座席が確保されており、発車数分前位に乗り込んでも平気です。(大きな荷物を持った乗客が多数乗車し、無座客も多数居る長距離列車では大変ですが…)

編成は先頭がディーゼル機関車のDF4D、N119次の運行区間は全線が電化区間なので電気機関車が牽引するものと思っていましたので意外でした。

機関車の次位には、この車両だけ異なる塗装(白と青に赤帯の特快色)の行李(荷物)車が連結され、その後ろは加1号車と18号車~4号車が硬座車、3・2号車に軟座車が連結され、最後尾には発電(電源)車となっていた様に記憶しており、この列車に食堂車や寝台車の連結はありません。

客車は新型空調車を使用した快速や普快では一般的な、グレーとオレンジの塗装の車両で、てっきり25G形と呼ばれる車両だけで構成されているかと思いましたが、MAKIKYUが乗車した5号車はYZ25B 343527、この他の車両にもこの25B形が数両連結されていましたが、空調つきでオレンジ色の塗装となると両者の違いは殆ど…という感じです。

発車数分前に客車に乗り込むと、車内は空調を入れていないのか蒸し暑く、列車が大連站を発車した頃にようやく空調が入る有様でしたが、空調が入り始めてからは涼しく快適なものでした。

列車は大連の市街地を少々走り、周水子を過ぎた辺りでは大連机場(空港)も見えますが、丁度この辺りを通る頃に車内では何処かで聞いた事がある様な音楽が…

中国の列車では、運行区間や状況に応じて服務員が客室に音楽を流しており、これも色々有る様ですが、この時流れていたのは、どう考えても「川の流れの様に」(美空ひばりの末期の曲)で、しかもその時机場にはANA機の姿も見える状況でしたので、これでは何処の国に居るのか?と錯覚させられる状況でした。
(ANA機と「川の流れの様に」はただの偶然かもしれませんが、かつて全日空が「川の流れの様に」をCMで使っていた様にも記憶しており、随分出来過ぎている気もします)

その後少々走ると最初の停車站・金州で、大連から約30分・近郊都市と言った感じの所ですが、早くもここで下車する乗客も見られ、短距離利用もそこそこある感じです。

ここまでMAKIKYUが座っていた座席は、進行方向とは反対(この列車の座席はボックス配置です)の通路側でしたが、向かいの進行方向に座っていた乗客(中国人)が雑誌を読んだり、居眠りをして時間を潰している様な感じでしたので、筆談で座席交換を申し出るとあっさりと申し出を引き受けて頂き、進行方向と逆を向いて座る(中国人は慣れているのか、違和感を感じない方が多い様です)のに違和感を感じるMAKIKYUとしては非常に助かります。

18時頃には2つ目の停車站・普蘭店に到着すると、ここでも結構な数の乗客が下車し、こちらのボックスの窓側に居た乗客も下車したので、ここで窓側に移動。

こうなると車窓を楽しむには絶好で、しかも進行方向右側というポジションでしたので、すれ違う列車なども眺める事も出来るのでなかなか面白く、鉄道旅行の醍醐味を感じさせられます。

車窓は荒涼とした感じの畑が広がる中を、長大編成の列車が左右になだらかなカーブを繰り返しながら、緩やかな丘陵の様な所を走っていく様は、中国入国初日にして異国に居る事を強く実感させられます。

ただ3つ目の停車站・瓦房店を過ぎ4つ目の停車站・熊岳城が近づく頃には19時を過ぎて外は暗くなり始め、車窓も楽しめなくなり、以前にも一度この区間を乗車しているMAKIKYUは大体車窓の想像がつくのでまだ良いのですが、初めて乗車される方だと少々惜しく感じるかもしれません。

熊岳城を過ぎ、外が完全に真っ暗になってしまった後は、もう瀋陽まで暗い中を乗車しているだけ、という事で20時過ぎに大石橋を出た頃に少々車内見物へ。両隣の車両は乗車している車両と同じ硬座車で、見た感じも同じ様なものでしたが、内装は両者とも化粧板などが異なっており、バリエーションは色々ある様です。

大石橋辺りでは座席の割り当てがないのか、無座(座席指定ナシ)の乗車券を所持した乗客もチラホラと乗って来ましたが、この辺りまでで降車する乗客も多いので、夜通しで走る長距離列車の様に大混雑という事はなく、硬座車でも比較的快適に過ごせます。

また2つ後ろの車両(3号車)は軟座車で、更にその後ろにもう一両(2号車)連結されていますが、こちらは硬座の乗車券で乗車しており、上級車両へは入れないので、4号車から様子を眺めただけですが、硬座より少々ゆったりとした感じの両側2人掛け(硬座は通路を挟んで2列と3列です)のボックス席はガラガラで、殆ど乗客は乗っていない様な感じでした。

まあそれもその筈で、この列車は大石橋を過ぎて海城に向かう途中の信号所の様な所で特快(大連~瀋陽北)の退避があり、特快の方が「大連を遅く出て、瀋陽には早く到着」する上に軟座の料金は変わりなく、高い料金を支払って軟座に乗る乗客にはあまり人気がないのは当然の話(運賃の安い硬座は特快には連結されていない様で、こちらは結構人気があります)で、敢えてこの管内快速の軟座に乗車するのは、特快が満席か通過する駅の利用者、それに物好き位かもしれません。

こんな所で特快を退避するのは意外でしたが、ここを含め停車中はトイレも施錠されてしまう(中国の列車のトイレは、殆どが垂れ流しです)ので、食事の後などが怖いのですが、これで後は不用意にトイレ閉鎖という事もないので、この信号所で特快が通過するのを確認した所で夕食に。

といってもこの列車は食堂車や弁当の販売はなく、せいぜい車内販売のカップラーメン(市価より値段が上乗せされています)位ですので、乗車前に買っていた辛拉面(韓国製のカップラーメン)とジュースで済ませましたが、お湯は殆どの列車で各客車に用意されていますので、カップ面を幾つか買い置きしておけば列車内の食で困る事はまずなく、現に中国人が車内にカップ面を持ち込み、食べている姿も頻繁に見かけます。

その後も鞍山や遼陽辺りで結構乗客の下車もあり、こうなると1ボックスを2人程度で使う事も出来る様になり、座席の足元も広くなるので、終点まで乗り通す乗客が多い特快の軟座より快適かもしれません。

遼陽を過ぎ、22時頃になると早くも車内清掃がはじまり、服務員がホウキやモップで車内の床を清掃し、乗客の足元も平気で退ける有様は文化の違いを感じさせられます。

清掃も一通り終わり少々走ると、街明かりが見え出し遼寧省の省都・瀋陽の街中に入り、東京駅とよく似た駅舎が特徴の瀋陽站には22時30分過ぎ、ほぼ定刻に到着。

ここでは過半数の乗客が下車しますが、この先の終点・瀋陽北站近くにホテルを確保しているMAKIKYUはまだ乗車です。

瀋陽周辺では列車が込み入っているのか発車も少々遅れ、その後も短い距離ながらノロノロ運転が…結局終点の瀋陽北站到着は22時50分過ぎ、10分程の遅れで約6時間の列車旅は終わり、到着した後は直ぐにホテルへ向かいました。

この列車(N119次)は同じ区間(大連~瀋陽北)を走る特快より2時間ほど余計に時間がかかり、その上途中で特快に追い抜かれますので、ビジネスなどの急ぎで利用する際には不適な列車ですが、既に大連~瀋陽北間の特快には乗車した事があり何か他の列車に乗車して見たいという方や、軟座は割高に感じられるので硬座で行きたいという方には是非オススメの列車で、空調車両で運行されて車内もさほど混雑しませんので、硬座でも極端に不快に感じられる事はあまりないと思います。(これは個人差がありますが…)

またこの列車は特快に比べて停車站が多く、その分乗車途中の印象も残ると思います(通過する所は、意外と印象が薄れるモノです)ので、大連~瀋陽間をゆったりと快適に列車旅を堪能されたいという方にも、この列車の軟座はガラガラで快適に過ごせそうで、また乗車券も容易に買えそうなのでオススメです。


写真は大連站に停車中のN119次列車と、そのサボです。