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中国鉄路乗車記:N879/882次

2006-08-28 | 鉄道[中華人民共和国]
  

(この記事は乗車日にあわせた過去ログ投稿です)

8月26日、広州からのK202/3次列車(乗車記参照)で重慶へ辿り着いたMAKIKYUは、改札を出た後すぐに、その足で28日に利用予定の成都行き列車の乗車券購入へ。

重慶~成都間は最近まで夜行列車以外にこの区間のみを運行する列車はなく、昼行列車はせいぜい重慶から成都を経由して四川省南部へ向かう長距離列車が走る程度、それも南側を大回りする上に単線で線形の悪い路線を運行するために、高速バスで5時間程度の両都市間を12時間程度かけて運行しており、とても使い物にならない代物でした。

しかし今年春には重慶の北郊から遂寧へ向かう新路線が開通し、この路線を経由して重慶~成都間を運行する城際列車(快速)が1日に2往復設定(朝・夕各一往復)される様に(他にも列車設定がある様です)なり、この列車を是非利用してみたいという事で、もし駄目ならバスで移動でも…と考え、28日午後に重慶を出発するN882次の乗車券購入を申し込むとあっさりと発券、この乗車券を購入する際のメモ(中国語会話の出来ないMAKIKYUには不可欠です)には特に希望等級は記載しませんでしたが、4号車硬座の下層(1階)で発券され、あとは乗車当日に重慶站へ向かうだけです。

28日、この日は昼の暑い盛りに市内を少々活動しており、市内の某所で道を迷ったりしたので重慶站到着は15時前、検票(改札)が1階だったのは幸い(重慶站の候車室は2層構造で、大半の列車は2階です)でしたが、それでも検票を済ませた頃には15時を回っていました。

ホーム頭端に駅舎のある重慶站で15時7分発のN882/3次に乗車するには少々厳しい感じで、まして乗車前に先頭の機関車まで出向いて乗車記念に写真を撮影&編成確認…と考えているMAKIKYUの様な人間はなおさらで、結局先頭まで行って機関車の撮影は出来たものの、その後指定された客車に向かう途中で服務員がドアのステップを畳みだし、他の号車から慌てて乗車する羽目に。

日本の感覚でしたら、異編成が併結して車両間の貫通路が設けられていない場合などの特別な事例以外は、何処の車両から乗車しても問題なしですが、中国では複数の等級車両が連結されている列車が多い事もあり、下等(硬座車)の乗客が軟座車や寝台車に流れ込むのを防ぐ事もあってか、各車両に乗務している服務員は停車中に他車両との往来が出来ない様に車両間の貫通路に鍵を掛けてしまうので、列車発車まではこの飛び乗った車両内に缶詰めです。

列車が出発するとようやく服務員が貫通路の鍵を開放し、指定された車両への移動を開始するものの、連結されている車両は2階建て車両ばかりで、重たい荷物を持った状態の移動なので結構厄介でした。

ちなみにこの列車の編成ですが、SS7E型電気機関車が客車を牽引し、客車は最前部に発電車、その後ろには10号車~2号車までと加2号車、そして1号車の順に2階建て硬座車(SYZ25B)が連結され、最後尾の加1号車のみ普通の硬座車(YZ25G)という編成で、見た所軟座車の連結はなく、硬座のみのモノクラス編成です。

またこの列車の大半を占めているSYZ25B型客車は、最高速度こそ120km/hですが塗装は白と紺色で見た目は特快と遜色なく、線形が悪く高速運転も困難なこの地域ではこれで充分な感じです。

ようやく指定された客席(4号車 下0号)に到着すると、指定の座席には既に先客が居り別の席を勧めてくるものの、これはMAKIKYUが好まない進行方向と反対側の座席という事もありパス。

所定の座席に着くと、乗車前に動き回っていた事もあり汗だくで息を切らす有様で、これには相席の中国人も気になったのかティッシュを差し出され、有難く頂戴。

座席に着いて少々落ち着いた頃には重慶北站を通過、重慶は高低差のある街という事もあって線路も掘割を走る区間が多く、MAKIKYUが乗車している1階席からだと車窓が望めない所も多いですが、居住性はこちらの方が良いのでどちらも一長一短です。

またこの列車は重慶站始発にも関わらず、始発の時点で既に乗車券が完売した様で無座の乗客も散見、ただ各車両に四角いプラスチックのイスが数個ずつ転がっており、また2階建て車両という事で階段部分にも座り込めるので、本当に無座となってしまう乗客はさほど居らず、最悪無座になってしまった場合でも、早めに乗車するように努めれば何とかなりそうな感じでした。

列車は重慶の市街地の西側で本線(?)に合流、その後は北へ向かう路線を1時間程走りますが、この路線は単線で途中で列車交換のための運転停車もあり、山間部を走るので線形も良いとはいえない状況、輸送基盤の脆弱さを感じさせられます。

1時間ほど走ると今度は今まで走っていた路線から分岐し、西へ向かう新線に入りますが、ここも分岐部こそ上下線に分かれて随分立派に作られており、将来の輸送力増強を見越した感じですが、路線そのものは単線です。

新線に入ると線形は割合まっすぐで、所々で緩やかにカーブする感じでなだらかな起伏のある地形の中、トンネルや掘割、土手の続く線路を徐々に高度を上げていく感じで駆け抜けて行きます。

新線では所々で真新しい站が散見され、ガラガラで人気のない站舎が目に付きますが、途中の駅の中には站名票の見当たらない所や、ホームが数両分しかない所もあり、それでもホームに係員が立っているのはさすが中国といった所です。

16時半頃に運転停車した所ではN888/9次・成都-重慶とサボを出した列車と交換、こちらはオレンジ色の25G型客車で硬臥車をはじめ、短距離列車にも関わらず食堂車まで連結されており、他の夜行列車の間合い運用の様な感じでしたが、寝台車の客扱いを行っているか否かは確認できませんでした。

17時過ぎになると、小さいながらも街らしい景色が見える様になり、すると既存の路線と合流して程なくこの列車唯一の停車站・遂寧に到着、この時点では列車はほぼ定時での運行です。

遂寧站は現在工事中でホームは2面2線の使用(站舎側でない方のホームは、片方の線路が剥されている)となっており、丁度站舎側ホームにはこの地区では数少ない特快(武昌行き)が入線という事もあり、站舎とは反対側のホームに停車、この站での下車客も結構居ましたが、時間帯の関係もあってか逆に乗車は少なく、車内は空席も散見される状況になります。

ここでは10分ほどの停車時間があり、MAKIKYUは一旦ホームに降りて先頭の機関車を撮影、この站のホームは屋根の掛かっている部分が少なく、重慶站出発時より随分綺麗に撮影でき、これなら急いで重慶で撮影しなくても…という感じですが、列車が遅れて停車時間が短縮されると、そうも行かなくなるので難しい所です。

また中国でそこそこの規模の站では大抵ある乗客目当てのカート販売(主に飲食物)などは見かけませんでしたが、その事もあってか自分の車両に戻り、ドア付近で検票中の服務員に乗車券を提示して乗り込む際、重慶からの乗車券という事で奇妙な顔をしていました。
(物販などがあると一旦ホームに降りる乗客も結構居ますが…)

列車が遂寧を出発すると、車窓は新線と似た様なもので、日本の田舎の様で何処か違う様な…といった感じの風景が続きますが、線形は新線に比べると格段に悪い事もあり、カーブが多く車輪を軋ませる音が頻繁に聞こえる様になり、また車内は遂寧で下車した乗客が結構居た事もあって、無座の乗車券で乗車した乗客も空席にありつける状況で、通路に転がっているプラスチックの椅子は服務員が片付けを行っていました。

また遂寧から先の路線も電化こそされているものの単線区間で、途中では何度か交換待ちで運転停車がありますが、途中では成都→重慶のN884/5次とも交換し、こちらはMAKIKYUが乗車している列車に連結されている2階建ての硬座車(SYZ25B)が9両連結されている他に、2階建ての軟座車(SRZ25B)が1両連結されており、重慶~成都間の城際列車も列車によって編成が異なる様です。

列車は成都方面へ向けて徐々に高度を上げていく感じで西へ進んでいきますが、19時頃に金堂付近を通過する際は、ちょっとした山越えになり、その後は盆地というより平野の様な感じの四川盆地に入ります。(ここは海から2000km位離れており、中国のスケールの大きさを感じさせられます)

四川盆地に入ると成都近郊の農村風景が広がり、田園風景の広がる平坦な地形は何処か日本的な感じですが、8月の終わりにも関わらず現地時間で19時(日本時間で20時)を過ぎてもまだ外は明るく、随分遠くまで来たものだと感じさせられます。
(空を飛ばず、専ら陸路&海路でここまで来たので感じる事なのかもしれませんが…)

四川盆地に入ってからは途中で上海南行き快速と交換し、この時点で数分の遅れが…そして成都北站(俗に北站と呼ばれる成都站とは別の站です)を19時40分頃に過ぎると外はようやく暗くなり、ここまでは割合順調に走ってきた列車も35分ほど足止めに。

これは他の列車の遅延などで、終着の成都站在線容量が確保できないのが原因かと思われますが、ここまで来て…となると閉口させられます。

終点到着の案内放送(だと思います)が既に放送された事もあり、中国人乗客の過半数は気が早いのか、この運転停車の時点で席を立ち始め、デッキへ向かっていましたが、運転停車の時間が余りに長く、中には一旦席に戻る乗客も居る有様でした。

列車が動き出すと程なく終点成都站・20時30分過ぎに約40分の遅れで到着し、ホームに降りると四川という事もあって夜にも関わらず結構蒸していましたが、重慶に比べると大分マシです。

ただ列車を降りた後は、他の列車も到着したばかりなのか出口付近は大分混雑
列車を降りた後はその後の列車手配は旅行社に依頼済みという事もあり、すぐに路線バス(1元)で手配していた宿舎へ直行です。


重慶~成都間は、以前なら大回りで半日程度を要する列車しかなく、夜行以外は専らバスという状況でしたが、新線の開通に伴って城際列車(2階建て車両による空調快速)が2往復、他に間合いで新線経由の空調快速も一往復設定(両都市を13時頃出発)され、これらだと両都市間は約5時間程度(定時運行の場合)、これから状況も更に改善されそうで期待の路線です。

この区間の列車は、硬座以外の車両が連結されている列車と、そうでない列車(MAKIKYUが乗車したN879/882次など)があり、運行時間帯や使用車両などを色々研究した上で適当な列車に乗車されると良いと思います。

ただ硬座に乗車される場合でも新型空調車で居住性もまあまあ(MAKIKYUが乗車した限りでは日本の普通列車並みかやや劣る程度)ですので、無座でもない限りは充分過ごせるかと思いますし、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様が中国へ行かれ、重慶~成都間を移動される際にも充分オススメできる列車だと思います。