NTTドコモがこれだけの成功を収めた一番の理由を問われれば、僕は「i-mode」とは答えない。もちろんそれが直接の原因ではあるのだが、その背景にあるのは、これだけ携帯電話が急速に普及したにも関わらず、電波という有限な資源に対して、総務省が3社にしか割り当てないという「電波行政」によるものだと答えるだろう。つまり圧倒的な参入障壁に守られた業界なのだ。
CNET Japan:「携帯電話の新規参入はルールを守るべき」--KDDI小野寺社長
ITmediaモバイル:「1.7GHz帯はバイパス」――ソフトバンク、800MHz帯免許を申請
ただだからといったこれではいけないというつもりはない。確かに、ドコモとAU、ボーダフォンの3社で巨大な市場を分け合うのは適切なことではないだろうが、だからといって孫正義が言ってるように何でもかんでも新しい事業者を参入させれる仕組みが必要だとは思わない。これは「通信」なのだ。市場原理だけでモノを決めていい問題ではない。
仮に戦争が起こったとする。対戦国の子会社がこの通信事業者になっているとしたらどうだろう。「通信の秘密」や安定した通信は守られるのだろうか?
中越地震のような震災が起きたとする。人々の不安や復興のために何はともあれ事業者は現地の人々が通信網を利用できる環境を作らねばならない。そこに採算性や費用うんぬん以前に社会的責任を果たすという姿勢が問われるのだ。
あるいは「通信」は個人情報を多分に含んだものだ。クレジット番号はもちろん通話内容も「法的措置」を除けば第三者に漏れてはならないものだ。当然セキュリティを高めると言うことは、効率性とは反するものであり、コストがかかるものだ。何も安くサービスが提供できれば多少個人情報が漏れようが関係ない、と言ったものではない。
それが通信と言うものなのだ。
またこれまでの日本型資本主義の延長と言われるかもしれないが、ある意味NTTを中心とした通信事業者は日本のメーカーの通信技術開発を先導するためのパトロンとしての意味もある。一昔前であればNTT東西の電話交換機というのは「電電ファミリー」といわれたメーカーにとっては大きな収入源であった。技術開発はNTTと共同で行いそれをメーカーが製品化する。その技術を他の製品や海外での通信機器開発に活かしていく。細かい違いはあるとしても、NTTデータが担った役割やドコモが担っている役割と言うのも大枠は同じである。
日本の通信技術発展のための「公共工事」のような役割を通信事業者は果たしていたのだ。
このやり方がいいことばかりだと言うつもりはない。しかしこと通信技術に関する限り、日本のメーカーは自らデェフェクトスタンダードになろうという気概を感じることはない。いつまでもMSとCISCOの後塵を拝しないためにもこうした存在は必要だし、日本メーカーがネットワークシステムを構築するのであれば、そこに下請/孫請企業などの仕事が発生するのだ。
そうした点を考えると、何でもかんでも資本主義のルールどおりの正しさをこの「通信」の世界に当てはめるのは無理があると思う。
ことこの問題に関しては孫正義を応援する気にはなれない。
自らが参入したいというだけでアメリカの外圧を使ったり、これまでの議論の過程を無視したり、その一方で相変わらず「個人情報」は漏れているし、しかしながら社会的責任に対しての意識は全く感じられないし…
これまで参入している3社に対しては利益を社会に還元してもらう必要はあるとはいえ、新規事業者には節度と責任感のある企業にのみとして欲しいモノだ。
CNET Japan:「携帯電話の新規参入はルールを守るべき」--KDDI小野寺社長
ITmediaモバイル:「1.7GHz帯はバイパス」――ソフトバンク、800MHz帯免許を申請
ただだからといったこれではいけないというつもりはない。確かに、ドコモとAU、ボーダフォンの3社で巨大な市場を分け合うのは適切なことではないだろうが、だからといって孫正義が言ってるように何でもかんでも新しい事業者を参入させれる仕組みが必要だとは思わない。これは「通信」なのだ。市場原理だけでモノを決めていい問題ではない。
仮に戦争が起こったとする。対戦国の子会社がこの通信事業者になっているとしたらどうだろう。「通信の秘密」や安定した通信は守られるのだろうか?
中越地震のような震災が起きたとする。人々の不安や復興のために何はともあれ事業者は現地の人々が通信網を利用できる環境を作らねばならない。そこに採算性や費用うんぬん以前に社会的責任を果たすという姿勢が問われるのだ。
あるいは「通信」は個人情報を多分に含んだものだ。クレジット番号はもちろん通話内容も「法的措置」を除けば第三者に漏れてはならないものだ。当然セキュリティを高めると言うことは、効率性とは反するものであり、コストがかかるものだ。何も安くサービスが提供できれば多少個人情報が漏れようが関係ない、と言ったものではない。
それが通信と言うものなのだ。
またこれまでの日本型資本主義の延長と言われるかもしれないが、ある意味NTTを中心とした通信事業者は日本のメーカーの通信技術開発を先導するためのパトロンとしての意味もある。一昔前であればNTT東西の電話交換機というのは「電電ファミリー」といわれたメーカーにとっては大きな収入源であった。技術開発はNTTと共同で行いそれをメーカーが製品化する。その技術を他の製品や海外での通信機器開発に活かしていく。細かい違いはあるとしても、NTTデータが担った役割やドコモが担っている役割と言うのも大枠は同じである。
日本の通信技術発展のための「公共工事」のような役割を通信事業者は果たしていたのだ。
このやり方がいいことばかりだと言うつもりはない。しかしこと通信技術に関する限り、日本のメーカーは自らデェフェクトスタンダードになろうという気概を感じることはない。いつまでもMSとCISCOの後塵を拝しないためにもこうした存在は必要だし、日本メーカーがネットワークシステムを構築するのであれば、そこに下請/孫請企業などの仕事が発生するのだ。
そうした点を考えると、何でもかんでも資本主義のルールどおりの正しさをこの「通信」の世界に当てはめるのは無理があると思う。
ことこの問題に関しては孫正義を応援する気にはなれない。
自らが参入したいというだけでアメリカの外圧を使ったり、これまでの議論の過程を無視したり、その一方で相変わらず「個人情報」は漏れているし、しかしながら社会的責任に対しての意識は全く感じられないし…
これまで参入している3社に対しては利益を社会に還元してもらう必要はあるとはいえ、新規事業者には節度と責任感のある企業にのみとして欲しいモノだ。
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