ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

SFDCと組織文化の変革に必要なもの

2012年06月03日 | ビジネス
あらためて組織文化を変えるのは大変なことだと思う。今回は僕は「変えられる側」あるいは「変えていかねばならない側」ではあるのだけれど、変えようとしている側=経営陣・経営企画部門が何をしようとしているかが分かるからこそ、遅々として進まない状況にあらためて感じるのだ。

今、僕らの組織ではSelsforce.com(SFDC)を活用しようとしている。

こういうと前向きな表現だが、本当はそうではない。会社の経営陣が狙っているのはあきらかにこれまでの組織文化を打破し、リアルタイムに営業の状況を把握するための仕組みだ。受注確度に関わらずどのような案件が、現在、いくつ進行しているのか、その進捗はどうなっているのか、受注に結びつけるためにどのような打ち手があるのか―そうしたことを全社的に共有し、組織として対応していく。

このことは営業の第一線と経営陣との距離を近づける取組みでもある。現場で起きている事象をタイムラグがないまま経営陣が把握する。これまでであれば、担当者がいて、係長がいて、課長がいて、担当部長がいて、部門長がいて、本部長がいて…といくつものステップがあり、そのたびに情報が滞り、あるいはフィルタがかかり、正確な情報が届かない。

特にある程度官僚化が進んだ組織では、それぞれが上司に対してはいい話や無難なことしか報告しようとしない。仮によくない話を報告する場合でも、事前にそれに対する対策を練ってからにしたり、問題が沈静化してから事後報告のような形で上げたりする。しかし現代はそんなに流暢なことをしていられる時代ではない。

個人が解決できなくとも組織全体でなら解決できる問題もある。このチームでは難しくとも別なチームが加われば結果を得られることもある。しかしそれらも組織横断的な取組みができるからこそだ。

だからこそこうした取組みは必要となる。

しかしその一方で、頭では分かっていてもそれについていこうとしないのが現場の部隊だ。まずい情報はあげたくない、そのために余計な仕事が増えるのも困る。できないヤツだと思われたくもない。頭では分かっている、でもまず防衛反応が先にたってしまう。その結果、現場が抵抗勢力となり、組織変革は進まない。よくある話だ。

こうした変革が進まない根本はどこにあるのだろうか。

根本にあるのは組織文化の問題だ。

現場や部下が、「いい報告」>「悪い報告」という価値観をもっていれば、悪い報告はあげようとしないし、悪い報告をあげる時にもリカバリー策など対策を練ってから報告することになる。これを「迅速に報告をあげる」>「報告の内容を峻別する」「都合の悪い情報はあげない」という価値観を作らねばならない。

また報告が上がってきたときの上司の対応も大事だ。悪い報告が上がったときに闇雲に部下をしかったり、責任を押し付けたり、無闇やたらにその後の対応策や予防措置を求めたりされれば、報告はあげにくくなる。

迅速に報告を上げさせるということは、結論が出ていない報告が上がってくるということでもある。そうした状況に「共に」闘おう、解決しようといったスタンスがなければ意味はない。単に上司の「知りたい」「知らないと不安だ」という個人的欲求を満たすだけで、部下にとっては何のメリットもない。共に闘ってくれる上司、共に問題を解決してくれる上司であれば、部下は内容のいい悪いに関わらず報告するだろう。

システムを導入したから組織文化が変わるのではなく、組織文化を変えようという意思・姿勢が見えることが先にあり、システムは組織文化変革をサポートするものでしかないのだ。


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