CNETやITmedia、RBBに音楽配信を巡る記事が立て続けに載っていた。これだけ音楽ビジネス、コンテンツではなく再生デバイスや提供するための仕組みについて話題になる年は久しぶりなんじゃないだろうか。クリスマス商戦ということもあってMDのCMも盛んに流れているが、これも最後の稼ぎ時というか、確実に流れはMDやCDといった「物理的メディア」ではなく「デジタルコンテンツ」そのものを利用しようと言う流れになったなと感じてしまう。
まず「OCN MUSIC STORE、購入した楽曲のCDへの書き込みが可能に」という記事。まぁ、iTMS対抗ということなのだろうが、最初に述べたように、物理的メディアではなくデジタルコンテンツそのものを扱おうという趨勢の中で、現実的にこの機能をどれだけ必要とされるのだろうか。HDDデバイスだと壊れてしまえば全ての曲がダメになるという危険性はあるものの、一度使い出すとCDやMDのようにメディアを取り替えながら音楽を聴くということが億劫で、バックアップをとるとしてもPCのHDDで十分というのが実感ではないか。CDならば聴けるという環境はまだまだ数多存在するとはいえ、HDDプレイヤーを接続できる方法を考えるか、そもそも諦めてしまうのではないか。それくらいHDDプレイヤーは音楽の聴き方を変えるものだ。戦略上、他社に劣っている部分を改善する、安心感を生むというのも大事だろうが、あまりユーザーへの訴求はないのではないかと思う。
OCN MUSIC STORE、購入した楽曲のCDへの書き込みが可能に:RBB NAVi (ブロードバンドコンテンツ 検索サービス) 2004/12/17
WMT系の音楽デバイスも出回りつつあるとはいえ、iPodの勢いが止まらない。「ついに2億曲に--iTunes Music Storeからの音楽ダウンロードがさらに加速」の記事によると「最初の5000万曲を販売するまでに11カ月かかったが、その後1億曲には4カ月で、また1億5000万曲には3カ月で到達し、さらに今回の2億曲突破にはわずか2カ月しかかからなかった」とのこと。しかも「iTunesの曲が再生可能な携帯電話の来年前半投入を目指してMotorolaと提携する」などiTMSのプラットフォーム化、デバイスの違いによるリスクヘッジにも余念がない。
ついに2億曲に--iTunes Music Storeからの音楽ダウンロードがさらに加速
具体的にどのような形になるのかは非常に興味が湧くところだ。ITmediaの韓国MP3フォンの記事などを読んでいると、韓国では日本の「着うたフル」のように音楽配信を受けるためのデバイスとして携帯電話を捉えるというよりは、携帯電話にメモリー(場合によってはHDD)を搭載しPCで蓄積した楽曲を携帯電話にCOPYし持ち歩くという使い方が主流のようだ。まぁ、著作権がルーズな韓国ならではといえなくもないが、ある意味、シンプルな携帯電話と音楽デバイスの融合だろう。
ITmediaモバイル:MP3フォン、韓国で流行中~著作権問題も沸騰
iTMSが狙うのもこちらの形態になるのではないだろうか。PC上のiTuneから携帯電話に曲を転送する。要はiPodの機能とハードウェアを分離し、携帯電話には機能としての「iPod」を搭載させるイメージだ。通信キャリアではない以上、携帯電話へ直接音楽配信することのうまみはあまりないだろう。ただでさえ1曲あたりの収益率はそう高くないのに、通信キャリアの課金プラットフォームを利用するよりはiTMSの機能をフルに利用させた方が効率的だろう。まぁ、このあたりはiMODEの成功を知っている通信キャリアとしては、何とか連携したいだろうからいろいろ駆け引きがあるのかも知れない。
iPodはiモードになれるか?
それに対抗するのが日本の「着うたフル」だ。まぁ、当たらし物好きの先進ユーザーが飛びついた段階なのでまだ何ともいえないが、3週間で1人約2曲のダウンロードというのは非常に好調な出足なのではないだろうか。
ITmediaモバイル:着うたフル、開始3週間で36万ダウンロード突破
ただKDDIの小野寺正社長の「フル楽曲のダウンロードは分かりやすい。ブレイクは意外と早いのではないか」とコメントしているが、これにはかなり疑問だ。iPodにしろみんながみんなダウンロードした楽曲のみを利用しているわけではない。既存の音楽リソースへの対応をきちんとしなければ、今から1曲100~300を払って好きな曲を集めていけるほどユーザーは寛容ではない。「着うた」は電話がかかってきたときに自慢するためのものであるが、「着うたフル」は通勤通学や出かける時に常に音楽を身近にするためのツールなのだから。
そう考えると、著作権問題への対応はあるもののMP3フォンのモデル、つまり携帯電話は音楽配信を受けるためのデバイスではなく、これまでのウォークマンと同様音楽を持ち運ぶためのデバイスとして利用するのが、携帯電話のポストカメラの機能かもしれない。
ITmediaモバイル:携帯“ポストカメラ”の主役は何か
「着うたフル」の可能性 | 通信はどこまで安くなるか番外編
携帯電話を音楽配信を受けるためのデバイスとして考えるのであれば、既存リソースをどう使えるようにするか(ユーザーのコンテンツへの負担の削減)、購入した楽曲のハックアップをSDメモリーといった中途半端なメディアを利用するのではなく、ネットを利用していつでも自分の所有しているコンテンツにアクセスできる環境―ネット上でのホスティングサービスの提供、PCや携帯電話といったデバイスの違いに関係なく自らの所有しているコンテンツを利用できる環境作りが求められるだろう。
そう考えると、iPod/iTune/iTMSのビジネスモデルというのはもっと研究する必要があるだろう。ただし単なるモノマネではなく、コンセプトやビジョンといった部分を含めて。
まず「OCN MUSIC STORE、購入した楽曲のCDへの書き込みが可能に」という記事。まぁ、iTMS対抗ということなのだろうが、最初に述べたように、物理的メディアではなくデジタルコンテンツそのものを扱おうという趨勢の中で、現実的にこの機能をどれだけ必要とされるのだろうか。HDDデバイスだと壊れてしまえば全ての曲がダメになるという危険性はあるものの、一度使い出すとCDやMDのようにメディアを取り替えながら音楽を聴くということが億劫で、バックアップをとるとしてもPCのHDDで十分というのが実感ではないか。CDならば聴けるという環境はまだまだ数多存在するとはいえ、HDDプレイヤーを接続できる方法を考えるか、そもそも諦めてしまうのではないか。それくらいHDDプレイヤーは音楽の聴き方を変えるものだ。戦略上、他社に劣っている部分を改善する、安心感を生むというのも大事だろうが、あまりユーザーへの訴求はないのではないかと思う。
OCN MUSIC STORE、購入した楽曲のCDへの書き込みが可能に:RBB NAVi (ブロードバンドコンテンツ 検索サービス) 2004/12/17
WMT系の音楽デバイスも出回りつつあるとはいえ、iPodの勢いが止まらない。「ついに2億曲に--iTunes Music Storeからの音楽ダウンロードがさらに加速」の記事によると「最初の5000万曲を販売するまでに11カ月かかったが、その後1億曲には4カ月で、また1億5000万曲には3カ月で到達し、さらに今回の2億曲突破にはわずか2カ月しかかからなかった」とのこと。しかも「iTunesの曲が再生可能な携帯電話の来年前半投入を目指してMotorolaと提携する」などiTMSのプラットフォーム化、デバイスの違いによるリスクヘッジにも余念がない。
ついに2億曲に--iTunes Music Storeからの音楽ダウンロードがさらに加速
具体的にどのような形になるのかは非常に興味が湧くところだ。ITmediaの韓国MP3フォンの記事などを読んでいると、韓国では日本の「着うたフル」のように音楽配信を受けるためのデバイスとして携帯電話を捉えるというよりは、携帯電話にメモリー(場合によってはHDD)を搭載しPCで蓄積した楽曲を携帯電話にCOPYし持ち歩くという使い方が主流のようだ。まぁ、著作権がルーズな韓国ならではといえなくもないが、ある意味、シンプルな携帯電話と音楽デバイスの融合だろう。
ITmediaモバイル:MP3フォン、韓国で流行中~著作権問題も沸騰
iTMSが狙うのもこちらの形態になるのではないだろうか。PC上のiTuneから携帯電話に曲を転送する。要はiPodの機能とハードウェアを分離し、携帯電話には機能としての「iPod」を搭載させるイメージだ。通信キャリアではない以上、携帯電話へ直接音楽配信することのうまみはあまりないだろう。ただでさえ1曲あたりの収益率はそう高くないのに、通信キャリアの課金プラットフォームを利用するよりはiTMSの機能をフルに利用させた方が効率的だろう。まぁ、このあたりはiMODEの成功を知っている通信キャリアとしては、何とか連携したいだろうからいろいろ駆け引きがあるのかも知れない。
iPodはiモードになれるか?
それに対抗するのが日本の「着うたフル」だ。まぁ、当たらし物好きの先進ユーザーが飛びついた段階なのでまだ何ともいえないが、3週間で1人約2曲のダウンロードというのは非常に好調な出足なのではないだろうか。
ITmediaモバイル:着うたフル、開始3週間で36万ダウンロード突破
ただKDDIの小野寺正社長の「フル楽曲のダウンロードは分かりやすい。ブレイクは意外と早いのではないか」とコメントしているが、これにはかなり疑問だ。iPodにしろみんながみんなダウンロードした楽曲のみを利用しているわけではない。既存の音楽リソースへの対応をきちんとしなければ、今から1曲100~300を払って好きな曲を集めていけるほどユーザーは寛容ではない。「着うた」は電話がかかってきたときに自慢するためのものであるが、「着うたフル」は通勤通学や出かける時に常に音楽を身近にするためのツールなのだから。
そう考えると、著作権問題への対応はあるもののMP3フォンのモデル、つまり携帯電話は音楽配信を受けるためのデバイスではなく、これまでのウォークマンと同様音楽を持ち運ぶためのデバイスとして利用するのが、携帯電話のポストカメラの機能かもしれない。
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携帯電話を音楽配信を受けるためのデバイスとして考えるのであれば、既存リソースをどう使えるようにするか(ユーザーのコンテンツへの負担の削減)、購入した楽曲のハックアップをSDメモリーといった中途半端なメディアを利用するのではなく、ネットを利用していつでも自分の所有しているコンテンツにアクセスできる環境―ネット上でのホスティングサービスの提供、PCや携帯電話といったデバイスの違いに関係なく自らの所有しているコンテンツを利用できる環境作りが求められるだろう。
そう考えると、iPod/iTune/iTMSのビジネスモデルというのはもっと研究する必要があるだろう。ただし単なるモノマネではなく、コンセプトやビジョンといった部分を含めて。